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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
2章

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30話 お嬢様は今日も愉快

 今回の依頼はオオネズミ十体の討伐。オオネズミ自体はただのでかいネズミで、Fランク、いわゆる最弱モンスターだ。


 だが数が多いために危険度が上がり、クエストはEランクに分類されている。


 俺にとっても、何かと因縁のある相手だ。


 アルクーンの街の外壁に沿ってしばらく歩くと、北側の農地周辺にたどり着いた。


「さて、ここらへんで目撃があったらしいが……」


 俺は辺りを見渡しながら呟く。


「こりゃひどいな」


 そこには規模こそ小さいが、無惨に荒らされた畑が広がっていた。


 ベルが眉をひそめ、


「許せませんわね」


 と言い、ラヴィもうなずいた。ラヴィの様子を見れば、酒の影響はすっかり抜けているようだ。


 畑の土をよく観察すると、突然、そこからボコボコとオオネズミが姿を現した。その数、十体かと思ったら二十近くいる。


「キッキッキッ……!」


 彼らは高い鳴き声を上げる。


 ベルは静かに黒い魔導書を取り出した。すると本が浮かび上がり、ページがバラバラと勢いよくめくれ始める。


「うおぉぉ、アニメとかのバトルシーンで見たやつだ!」


 俺は興奮気味に叫ぶ。

 ベルは凛とした声で叫ぶ。


「いくわよ、《グリム・ド・ベル》!」


 グリム・ド・ベル……?それってまさか、魔導書の名前か!?ううむ、自分の名を冠する武器とは、やっぱベルっぽいな…… 

 ベルは魔導書を掲げ、高らかと宣言。


「くらいなさいな、ワタクシの必殺魔法!【高貴なる咆哮(ロイヤル・ハウル)】!!」


 そして突然――


「お~~~っほっほっほっほっ!!!」


 謎の大声で高笑いを響かせた。

 ただ、その笑いは空気を震わせ、周囲に圧迫感が漂う。


 オオネズミたちは震え上がり、その場から一歩も動けずにたじろいでいた。

 ベルは俺たちへ振り返り、胸を張って言う。


「どうでした? ワタクシの新たな力、【高貴なる咆哮(ロイヤル・ハウル)】は!」


「……すごい、大きい声」

 ラヴィが小さく答えた。


「すげえぞ!ベル!すげぇうるせえ!」


 俺も思わず声を上げた。別に褒めてはないけど。

 すると、ベルは得意げに微笑んだ


「さあ、あの子たちが萎縮している間に倒してしまいなさいな!」


「へ?」


 俺は思わず声を漏らす。

 もしかして、あの高笑いで萎縮させて終わり? それだけでいいのか?


「こんちくしょーーう!!」


 そう叫んで、気合いを入れて、俺はスタンブレイカーを展開。

 ラヴィと共にオオネズミの群れへ駆け出した。


 * * *



「はあ、はあ……なんとか、全員やったか」


 俺は荒い息を吐きながら、辺りを見回す。


 ラヴィは平然とした顔で、


「うん。……もう、いない」


 と言った。


 ベルの高笑い魔法(?)が終わったあと、俺たちが一斉にオオネズミに攻撃を仕掛けると、あいつらも一斉に襲いかかってきた。


 萎縮効果なんて、あくまでほんのちょっとだったらしい。


 ベルは誇らしげに胸を張って言う。


「素晴らしいですわ!ワタクシの新魔法のおかげですわね!」


 俺は呆れたように答えた。


「お前……あれを魔法だとか言い出したら、いろんなところからクレーム来るぞ」


 ベルは鼻を鳴らすだけだった。


 視線を落とすと、無数のオオネズミの死骸が畑に転がっている。


 ラヴィがぽつりと言う。


「これ、回収しないと」


 俺はため息をつきながら近付こうとしたが、その瞬間、ラヴィが俺の肩を掴む。


「待って」


 彼女は静かに制した。


 畑の一角を指差すと、土がボコボコと盛り上がり、まるで何かが地面の下で暴れているかのようだった。


「な、なんだありゃ!」


 俺は思わず後ずさる。

 ラヴィは冷静に告げた。


「……来る」


「キシシャーーーッ!!!」


 次の瞬間、鋭い鉤爪を持つ巨大なもぐらが土煙をあげて姿を現した。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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