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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
4章

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136話 伝説の防具

「さあ、みんな行くぞ……!」


 肩で風を切り、うっそうとした森へ足を踏み入れる。

 ラヴィからの贈り物、鎖帷子(くさりかたびら)をその身に纏い―― 


 今朝、俺は贈り物を受け取ってすぐに、クエストを受けた。すぐにでも何かをしないと、俺の心がもたないと思ったからだ。


 ――それでも、鎖帷子(くさりかたびら)の重みが今朝の恥辱を嫌でも思い出させる。

 こうなったら、もう、モンスターに八つ当たりするしかないじゃんよぉ……!!


ーーー


【討伐クエスト】

 依頼内容:トロル二体の討伐(Cランク推奨)

 目的地:アルクーン南東の森

 報酬:25000ゴルド

 備考:森のトロルの鳴き声がうるさくてかなわん!頼むから、どうにかしてくれ!!


ーーー


 * * *


「それにしても……意外と動きやすいもんなんだな。 てっきり、重くてぶっ倒れちまうかと思ってたよ」


 俺は初めての鎖帷子鎖帷子(くさりかたびら)の着心地に、若干の感動を覚えていた。

 肩をぐるんと回しても、サッと体をかがめても、チャリチャリとした小さな音がなるだけで、他はほとんど気にならない。


「それは……多分、特別製、だから」


「特別製?」


 そう言えば、これを渡す時に"特注品"とか言ってた気がするな。


「《ミノタウロス》、覚えてる? けっこう前に戦った」


「んん~……あぁ、俺が【麻痺銃(パライ・ガン)】を習得した時の牛のバケモンだな。 それが、どうかしたのか?」


「あの時拙者、斧、貰った。 戦利品として」


「……そう言えば、そんなこともあったような……?」


 言われてみれば、ぼんやり思い出してきた。

 ラヴィが身の丈以上もある《ミノタウロス》の戦斧を、ズリズリ引きずって歩いてたのを。


「……えっ、まさかこれって」


「そう。 鍛冶屋にお願いして、斧から作ってもらった、特注品」


 すげぇ……

 あんないかつい斧をこんな繊細な装備に作り替えたの?鍛冶屋すげぇ……


「でも、いいのか? そんな大層なもん俺にくれちゃっても」


「……うん。 マヒル殿、すごい力持ってる。 けど、その服だと、ペラペラ過ぎる」


「あ、そう……」


 うん、確かに、ほとんどスウェットを着てるもんね。たまに違うの着てる時も、宿に備え付けの服着てるもんね、俺。確かに紙耐久。

 

「良かったですわね、マヒルさん! ラヴィさんの凛々しい鎧に、ワタクシの煌びやかなバトルドレスに比べて、あなたってば動きやすくて手触りの良い服ばかりでしたものね!」


 そう言ってベルは嬉しそうに高笑い。

 ……っていうか、けなしたいのか褒めたいのかどっちなんだよ。


「まあ、防御力皆無だったのは認める。 だが、ラヴィからの想いのこもった装備に加えて、"アレ"を身に付けたら俺は――!」


 そう言って俺は、密かに隠し持っていたハーロウの忘れ形見、夜露のマントを華麗に装着ッ!!

 バサァッと空を舞い、木漏れ日を跳ね返したマント。星空のように濃い群青色がキラキラと光る。


「これが、俺の最終形態……! さながら、伝説の装備に身を包んだ"勇者サマ"ってところか……?」


 ここぞとばかりにポーズを決める。

 鎖帷子(くさりかたびら)がチャリっと鳴った。

 そして、しばしの静寂。


「……うん、かっこいいよ、マヒル殿」


 やめてよラヴィ。その慰めるような、励ますような優しい声をかけるのは。


「……と、ともかく! 俺はこれで防御力も格段に上がったんだ! どんな敵が来ようとも――はぶぁっ!?」


 ドガァッ――!!

 瞬間、腹部に鈍い衝撃が走る――

 全身に痛みを覚えながら、ゴロゴロと地面を転がる。


「マヒルさん!!」


「マヒル殿!!」


「……ってぇ……!! クソ痛ぇ! なんだ、何があった!?」


 思いきり腹にパンチをくらったみたいな衝撃。

 ゴトリと音がして、見ると拳より余裕で大きい石がそこにあった。


「マヒルさん、大丈夫ですの!?」


 二人が慌てて駆け寄る。


「あ、あぁ……なんとか。 それより、何があった?」


「……多分、その石が飛んできた。 投げたのは、《トロル》だと、思う」


「……まぁじ?」


 馬鹿じゃん、こんなデカい石投げるなんて。

 学校で、石を投げてはいけませんとか習わなかったの?まじで。

 ……にしても、鎖帷子(くさりかたびら)あって助かったわ。ラヴィ様々。


「念のため、回復しますわね! 【ヤヤヒール】!」


 ふわぁっと淡い緑の粒子が俺を包む。

 効果のほどは相変わらずで、気持ち楽になったかな?程度ではある。


「サンキュー、ベル。 それに、ラヴィ。 これがなかったら、大怪我じゃ済まない所だったわ」


「……ううん、お役に立てて、よかった」


 俺は二人に手を貸してもらい、立ち上がる。

 そう、怒りに燃えて。


「おいこるぁ!! 危ないだろ馬鹿たれがぁっ! 来るならこい!俺が相手だ――ぶんげっ!?」


 再び、衝撃が走る。

 そして転がる。尚も立ち上がる。

 今度はどうやら、ぶっとい木の枝――というか、丸太ってレベルのをぶん投げてきやがった。


「……あったまきたっ……!!」


 俺は怒りに震える右手を空に突き出す。

 一度ならず、二度までも。俺に地面を舐めさせた代償はでかいぞ……?

 震えて眠れ、くそトロル――!!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

感想、ブクマ等お気軽にいただけたら励みになります。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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