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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
4章

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133話 毎度お馴染み、ギルドの乱

 ハーロウとの激闘を終え、アルクーンの街まで辿り着いたのはすっかり日が昇った頃だった。


 夜通しオバケたちと戦い続け、最後には明らかに格の違うモンスターとも戦い、満身創痍の俺たちは宿につくなりバタンキュー。そのまま夕方近くまでぐっすりと泥のように眠った。


 何となく目が覚め、二人を連れてギルドへ諸々の報告をしに行ったが、そこでもまた一波乱。


「あのう……ハロウィンモンスターを狩ってきたんですけど、鑑定お願いできますか? それから、これも」


 そう言って俺は、ビー玉サイズの魔結晶をたくさんと、顔くらいある巨大な暗紫色の結晶――《ロイヤル・リッチ》の魔結晶を鑑定箱へ詰め込んだ。


 ハーロウとの戦いで得たものは三つ。まずはこの世界にはとんでもない相手がいるっていう教訓。それから、このでっかい魔結晶に、ハーロウが身に付けていたマントだ。


 厳密に言えば大きさや形状はやや異なり、手にした時に現れたウィンドウには〔夜露のマント〕とかかれていた。いちいちカッコいいな。


 形とか色合い的になんとなく男物っぽかったし、ハーロウの忘れ形見な気がして、みんなと話し合った結果俺が譲り受けることとなった。これを売るなんて、とんでもない。


 鑑定を依頼してからしばらく待っていると、セラ姐が鬼の形相で迫ってきた。


「マ、マヒルさんっ!? これは……この魔結晶、どうしたんですか!?」


「うおっ、顔怖ぇっすよ……それに、どうしたもなにも、壮絶な戦いの末に手にした努力の結晶ですよ」


 セラ姐の迫力に圧されつつも、俺は得意気に答えた。


「はぁ……? いや、これは《ロイヤル・リッチ》の魔結晶ですよね!? 危険度Bはくだらない、強敵ですよ!?」 


「……俺たちが、倒せるハズがないと?」


「いや、それは……」

 

 俺が目を細めてそう聞くと、目を泳がせてしどろもどろに答えるセラ姐。図星かい。


「相当ギリギリの戦いではありましたけどね。 あのハーロウってやつ、間違いなく過去一の敵で――」


「ハーロウッッッ!?!?」


 夕暮れ時、少し静かな冒険者ギルド内にセラ姐の絶叫がこだます。いつかの酒場で、ドスの効いた声を聞いたことはあったけど、シラフの状態でセラ姐の絶叫を聞けるとはな。


 俺たちの様子をなんとなく見ていた周りの冒険者や、他のギルド職員の視線が痛い。


「は、は、ハーロウですって!? いや、そんかハズ――でも、確かに魔力反応は異常な数値を――」


 セラ姐はアゴに手をやり、ブツブツと独り言。

 早足になってあっちへツカツカ、こっちへフラフラ。

 しばらく考えた後、カッと目を見開いて俺を凝視。


「マヒルさん、もうしばらく待っていていただけますか? できれば一時間程」


「一時間ッ!?」


 "しばらく"の範疇を優にオーバーしてる気がするんですが。


「なにせ、もう少し詳しく調べないといけないですし、色々と聞かないといけませんので」


 まいったなぁ……

 いや、特にこの後予定もないから、断る口実がなくてまいったなぁ……


「うーん……それでしたら、残るのは俺だけでも大丈夫ですか? 二人とも、もろに魔法をくらって疲れてるハズなんで」


「それは、構いませんが……」


 ベルとラヴィは、何か言いたげに俺を見てくる。

 二人揃って、頬をぷくっと膨らませて。可愛い。


「マヒルさん、ワタクシ全然元気ですわよ? ほら、ご覧の通りピンピンですわ!」


「せ、拙者も! ほら!」


 二人して元気アピール。

 なんだよ、構ってちゃんかよ。


「でも、ダメだ。 お前ら二人そろってぶっ倒れてただろ? 何があるとも分からんから、念のため休んでてくれ」


「仲間外れ、反対ですわ! ワタクシたちは、断固として抗議するー」


「するー」


 ベルとラヴィはまるで、デモのように何度も手を掲げる。やめなさい、恥ずかしい。

 え、なんでそんなに?倒れてた割には、引く位元気じゃんコイツら。


「……俺としては、今夜の宴の為に体力を温存して欲しかったんだが――」


「それでは、宿屋で待ってますわね! なるべく早く帰ってきてくださいまし!」


 俺が言い終える前に、ベルはラヴィを引っ掴んでギルドを出ていった。ようやく静かになった……


 それから待つこと一時間弱。先程までとうってかわり、いつものクールな表情でセラ姐がやってきた。

 その後ろでは、明らかに俺が来てから慌ただしく動き回るギルド職員たち。まーたやらかし案件か、これ。


「マヒルさん、大変お待たせいたしました。 照合の結果、《ロイヤル・リッチ》の"名有り(ネームド)"と判明いたしました」


「……なんですか、その名有り(ネームド)っていうのは」


名有り(ネームド)は、同一種族においても秀でた能力を有している特別なモンスターにつられる称号、肩書です……って、冒険者なのになんで知らないんですか」


「はい、すいません……」


 あれか、俺のよく知ってる言い方だとユニークモンスターとか言うやつか。今回はハロウィンってことだから、ハロウィン限定の超特殊なモンスターの討伐に成功したってことか?大手柄じゃん。


「……ともあれ、恐怖の帝王ハーロウの討伐ありがとうございました。 今回の件につきましては、後日正式な報酬をお渡しする予定ですが、今はひとまずこれを」


 そう言ってセラ姐が差し出した容器には、金貨が七枚――つまり七万ゴルドと、見たことない白いコインが五枚。


「……? これ、何ですか?」


「これは、金貨の上……通貨の最上位の単位、白金貨です。 これ一枚で、百万ゴルドです」


「ひゃっ――!?」


 なんとなくで容器を受け取った手が、震える。

 おいおい、そんな軽~く言ってるけど、俺的には大事件なんだが!?そんな大金、もっと丁重に扱えって……!

 

「正式な報酬が出るまで、ひとまず白金貨五枚……つまり、五百万ゴルドを報酬としてお納めください」


「ごひゃっ――!?」


 それからの行動は早かった。どこか現実味のないフワフワした気持ちで宿へ戻り、ひとまず、何も伝えずに、知ってる限りの高級な酒場に出掛けた。

 もう、こんなん、飲まなきゃやってられんでしょ!!

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