表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

124/141

123話 秋の終わりとハロウィーン

 怒涛のモミジ狩りを終え、懐はほっかほかに温まった。しかし、そんな俺たちとは対称的に、街の雰囲気はどこか暗く、ずんと沈んだ空気が漂っていた。


 露店の呼び込みもどこか静かで、秋の涼しさというより……どこか寂しい様な――


「……なあ、最近なんか街が暗くないか? 秋だからってだけじゃない気がするんだけど」


 俺はたんぽぽ亭の食堂で遅めの朝食をとりながら、たまたま一緒になったベルになんとなく聞いてみた。


「えぇ? もしかしてマヒルさん、ハロウィンを知らないんですの?」


「は、ハロウィン? いや、名前位は知ってるけど……」


 確か、あれだよな?十月三十一日に仮装をして街中を練り歩いて、お菓子をくれなきゃイタズラするっていうはた迷惑なあれだろ?


「で、街の雰囲気とハロウィンの何が関係あるんだ……?」


「だから、今はちょうどハロウィンの時期ですし、みんなが暗くなるのも仕方のないことですわ」


 うーん、分からん。

 今は十一月。ハロウィンって十月じゃなかった?


 それに、なんでハロウィンだからみんな暗くなるっていう結論になるんだ……?なに、そんなにひどいイタズラされるってこと?


「それは、モンスターがたくさん現れるからだよ」


 俺の困り顔を見かねたのか、頼んでいたポタージュを持ってきたミレナさんがそう呟いた。

 ん?聞き間違い?今、モンスターがなんとかって言わなかった?


「モンスター、ですか?」


「そうだよ。 ハロウィンモンスターは毎年、悩みの種でねぇ……」


 ハロウィンモンスター……?

 どうやら、またもや俺の知っている日本のハロウィンとは違いそうだ。関わらないほうがいい気もするが――


「えと、ちなみにどういうモンスターなんですか? 参考までに」


「う~ん……一言で言うと、オバケ?かねぇ」


「オバケ……」


 ミレナさんはそう言い残して、厨房へと戻っていった。そしてベルは、オバケという言葉で一瞬のうちに顔が曇っていった。


「……なんだよ、ベル。 オバケ怖いのか?」


「べっ!? べ、別に、こ、こ、怖くなんてっ!?」


 声、上ずってる。目、泳いでる。

 怖いんだろうなー。強がってるつもりなんだろうけど、顔は青いしツインテールも元気がなさげだ。


 にしても、オバケか。オバケ型のモンスター?それともモンスター型のオバケ……?どちらにしても、関わりたくねぇー。


「ま、まさかマヒルさん、"ハロウィンパーティー"に参加する気じゃ、ありませんよね!?」


「なんだよ、それ」


「何って、ハロウィンモンスターを駆除するためのイベントですわ! ああ、考えるだけでも恐ろしいですわ……!」


「……もう、恐ろしいって言っちゃってるしな。 気にしなくても、そんなイベント参加する気は無ぇよ」


 俺の言葉を聞いて、心底ホッとしたような表情のベル。どんだけ怖がってるんだよ……


「マヒル殿、ベル殿、おはよう……」


 しばらくすると、ラヴィもやってきた。

 ついさっき起きたようで、髪の毛はあっちこっちへ元気に跳ねまくっている。


「おう、おはようラヴィ」


「おはようございます、ですわ」


「ちょうど今、オバケの話でベルが怖がってたところだ」


「んなっ――!? そ、そんなことないですわ! それに、女の子はみんなオバケが怖いですわ! ですよね、ラヴィさん!」


「ううん、怖くない。 むしろ、敵」


 焦りまくるベルに、ラヴィは淡々と言い放つ。


「ラヴィさん!?」


「……すげぇな」


 オバケを異常に怖がるベルと、堂々と敵認定するラヴィ。いやはや、さすがの俺もオバケを敵視したことはなかったわ。さすがラヴィ。


「じゃあ、ラヴィはハロウィンパーティーに出たいのか?」


「ハロウィン……パーティー? なに、それ」


「……だってよ。 ベル、説明してあげたらどうだ?」


「え、い、いやですわ?」

 

 即答。

 さすがのベルでも、即答。

 教えちゃったら、行かなくちゃぁいけないもんな?


「……どうして?」


「そ、それは……」


 無邪気に首を傾げるラヴィ。

 思わず目を背けるベル。

 両者、一歩も譲らず――ラヴィが若干優勢かッ!?


「……拙者のこと、キライ?」


「はわっ――!?」


 ベル、完全ノックアウト。

 しきりに「そんなことないですわ!」とまくし立てながら、ハロウィンパーティーについてペラペラと喋り終えたベル。終えてしまったベル。


「ハロウィン、パーティー! 行く……!絶対に……!」


 当然、キラキラと目を輝かせるラヴィに、"やっちまったぁ"という渋い顔をするベル。シワシワで、なんか年取ったブルドッグみたい。

 まあ、ラヴィにここまで言われたら参加確定だろう。御愁傷様です。


 ふんふん、なるほど。

 今度のイベントは、ハロウィンパーティーか……!

 うん、全然想像できねぇな!?オバケ退治?分からん!――よくは分からんが、今はベルの面白い顔を楽しむとしよう。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

感想、ブクマ等お気軽にいただければ励みになります。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ