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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
4章

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115話 ベルちゃん成長譚①

「クエストいきますわよ!クエスト!」


 まだ朝の日射しが優しい、穏やかな一時。俺の部屋に転がり込んできたベルがやかましく喋り出した。

 まだまだ寝ぼけ眼の俺には、キンキンと頭に響く。


「……おま、はあ? 朝の七時だぞ?良い子はまだ寝てる時間なんで」


「何を訳の分からないことを言ってるんですの! ほら、ラヴィさんも準備万端ですわよ?」


 そう言ってベルは、無理矢理連れてきたであろうラヴィの手をぐいっと引っ張る。

 美しい銀髪は寝起きを伺わせるボサボサ加減。特注のヘルムなんか、完全に逆を向いていて顔が見えない。


「お前……ラヴィを無理矢理――」


「ま、まあまあ! とにかくワタクシたちは準備できてることですし、早速行きますわよ! クエスト!」


「はぁ……」

 

 俺はため息と共に、ボリボリと頭を掻いた。

 こうなったら言っても聞かないんだろうなー。俺は重たい腰を上げ、渋々支度を始めた。


 ベルがこんなにやる気ある時は、どうせろくでもないことが起きるんだよ。絶対に。


 * * *


「嫌ぁぁぁぁ! 助けてぇぇ!!ですわぁぁ!!!」


「あいつ……毎度毎度何やってんだか」


 何やら新しく魔法を覚えたらしく、すぐさま俺たちにお披露目したかったようだ。

 まあ、当の本人はリザードマンの群れに追われまくっていてそれどころじゃないだろうが。


「ま、マヒルさん!! 麻痺を!麻痺をぉっ!!」


「キシャシャアッ!!」


 十体以上はいるであろう《リザードマン》は、小さくも鋭利な爪をブンブン振りながらベルに迫る。

 

「はいはーい、もうちょっと寄って~。 うん、いいねいいね。 はーい、いくよ~。 せーのっ【麻痺連鎖(ショック・チェイン)】」


 俺の手から放たれたエフェクトはバシィッ、バシィッ、とリザードマンを巡り、つたい、ほとばしる麻痺の連鎖を生み出した。


「ギ……ギギギギキシャアッ――」


 バタバタとドミノ倒しのように崩れていくリザードマンたち。ラヴィは即座に刀を構えると、音もなくそこへ飛び込んだ。


「はぁっ……!」


 目まぐるしい斬撃の嵐。一瞬ラヴィの姿が見えたかと思うと砂煙と共にすぐに消え、即座に次の敵を切り捨てる。バサバサと赤い飛沫が飛ぶ様は、まさに圧巻。


「強っ……強ぉぉ……」


「ら、ラヴィさん、あんなスキル持ってましたの……?」


「ふう……一丁、上がり」


 刀についた血や粘液、細かい鱗をバサッと振り落として鞘に納めるラヴィ。その顔は、実に満足気だ。


「ラヴィ、すげぇな今の。 新しいスキルか?」


「うん。 連続で、斬り続ける技。その名も……【乱華(らんか)】」


 乱れる……華……ッ!?

 いい、いいぞ!、めちゃくちゃ痺れるネーミングだな!


「へぇ、いつの間にそんなスキルを……。 かっこよかったぞ、ラヴィ!」


「えへへっ……」


 ラヴィは嬉しそうに微笑んでいる。

 返り血の量が尋常じゃないけど。

 


「さて、ラヴィの新スキルのお披露目も終わったことだし帰りますか!」


「はい、帰りましょうって違ぁぁう! 違う違う、そうじゃないですわっ!?」


 ベルはそう言いながら、ブンブンとツインテールを振り回して向かってきた。雑じゃない?自分の髪の毛なのに。


「なんだよ、ベル。 ラヴィの凄いスキルも見れたことだし、今日はもう帰ろうぜ?」


「目的が! 違いますわっ!! 今日は、ワタクシの凄い凄い魔法をお見せする為に来たんですのっ!!」


「……だってお前、リザードマンと追いかけっこして遊んでたじゃん」


「違いますわぁっ!? あれは、思ったよりも数がいて、ちょっと驚いて声を上げたらあっという間に……」


 うん。一部始終見てたから分かるけど、勝手に突っ込んでたくさんおびき寄せて、めっちゃ逃げて来てたもんな?下手したら俺たちも危ないところだ。


「……帰らないの?」


「ん、そうだな、ベルちゃんが何か見せたいそうだから、それを見てから帰ろうか」


「なんか子ども扱いしてませんことっ!?」


「してないしてない。 あ、ほら見てみろよ。 ちょうど一体だけ残ってるぞ?」


 群れの最後の生き残りなのか、リザードマンが一体。ネズミか何かを見つけたのか、じいっと地面を見つめている。

 ……あの様子だと、他の仲間がどうなったかも気付いてないらしい。お気楽なこった。


「いいですわ! 今こそ、ワタクシの真なる力を発揮する時! 高貴なる姿、その目にしかと焼き付けるが良いですわっ!」


 ベルの大声に気付いて、リザードマンはわたわたとこっちに向かってくる。ちょっとかわいいけど、人に危害を加えるからなぁ……討伐もやむ無し、だ。

 ……まあ、ベルに倒せるのなら、だけどな。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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