表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/144

102話 ゴーレム討伐、大討伐

「マヒルさんに封印させられたワタクシの最終魔法……全てを灰塵に帰して差し上げますわ!くらいなさい【悲痛なる(ヒステリック・)大行進(ガトリング)】ッ!!」

 

 魔法陣からガトリング砲みたいなものがニュッと出現。淡く発光しながら、砲身に緋色の光が収束――

 ドガガガガガガ――――ッ!!!


 次の瞬間には、無数の魔法の弾が撃ち出された。無造作に吐き出される凶弾は、巨大な的……つまりオメガゴーレムの頭部に幾度となく命中!


「ああああああああっ!!!」


 ガトリングの反動でベルの金髪ツインテールはぶんぶん跳ね回り、ベルの体勢は徐々にのけ反っていく。いや、衝撃がすごいのは分かるがちゃんと狙えって!誤射されたら俺の体なんて一発で吹っ飛ぶぞ……!


 すんでのところで、ラヴィがベルの体をがっしりとキープ。屈強なラヴィに支えられ、ベル付きのガトリングはさらに精度をあげて頭部へ集中攻撃!


 シュウゥゥ――


 数十秒程、ありったけの魔弾を撃ちまくったところでベルの魔力切れ。ガトリング砲はシュンと消え、ベルはふにゃりと地面にへたり込む。


 ……にしても、相変わらずでたらめな魔法だ。さすがのオメガゴーレムも、たまったもんじゃないだろう。黒煙に紛れているが、今のところ動き出す気配はない。


「やったか……!?」

 ガレオポロリと漏らす。

 だめだ、その言葉は――


『グオォンオォ……』


 ほらぁぁ!俺の故郷地球では、”やれてない”時の常套句なんだよ「やったか!?」とかいうセリフは!こっちの世界でも同じ認識なんですね!ワールドワイドなフラグ設定!すごい!


 ゴゴ……ゴゴゴ……


 オメガゴーレムは、頭部をひどく破損しながらも動き出そうとする。――が、最早立ち上がるだけの力も残っていないようだ。体力が尽きるのも時間の問題に思われたが――


『ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……』


「え、なになに?何の音? なんにしても嫌な予感しかしないんですけど」


「マヒルさん、顔! ゴーレムの顔ですわ!」


「は?」


 見ると、倒れたオメガゴーレム頭部の目っぽいところが、ぼんやりと赤く光っている。

 そして、見る見るうちにそれは朱色っぽい薄い赤から、血を思わせるような深い赫へと変わっていく。


「え、なにこれ」


「レーザーだ! すぐに逃げろ!」


 ガレオとマルクスが叫ぶ。レーザー?そんなの、やっべえじゃん……!

 

 とりあえずパライズを放ってみる。

 麻痺ってはいるものの、頭部の光が消えることはなく――


『ピッピッピッピッピ……』


「やばい、止まらない!なんかタイマーみたいなのが早くなってる! それに色もやばい!こりゃあいかにも危険な赤信号だ!」


 こんな危ない赤信号、無視するに限る……!警察が見てたって文句は言えないはずだ!


 痛む体を引きずって、すぐさま逃げ出そうとする。

 しかし、違和感――俺を狙うわけでもなく、あらぬ方向に顔を向けたまま。……ゴーレムは、一体どこを見て――

  

「……! クルス!!」


 オメガゴーレムの赤い発光の先には、クルスが一人いた。MP切れが近いからと、少し離れたところで待機してもらっていたのが仇となった。


 その顔は、半分恐怖、半分諦めが混じったような表情を浮かべている。


「に、逃げろっ……!!!」


 この距離でレーザーを放たれたら、クルスが回避できる確率はほぼないだろう。


 分かっていても、叫ばずにはいられない。手を伸ばさずには、いられない。クルスも同じく手を伸ばす。――が、すぐに悟ったように穏やかな表情を浮かべる。


「ぱ、パライザー……最後に、お前に会えてよかったぞ……!!」


「クルスぅーーーーーッ!!!」


『ピピピピピピピッ…』


 カッ――!!!


 一瞬、世界が真っ白に染まった。

 しかし、ただそれだけだった。


「え?……これは……」


 恐る恐る目を開くと、薄っすらと灰色がかった世界。ゴーレムの発光も、立ち上る砂煙もそのままに――まるで全ての時が止まったかのような感覚。


 これは、あの時の――ゴブリンに襲われそうになったベルをなんとか助けられた時と同じ。

 何でまたこんなことになったのかは分からない。けど――


「これでクルスを助けられる……!」

 俺は、ほとんど止まったような時の中を駆け出した!体が痛ぇ?知らんっ!そんなことより今は――


 ブツンッ――


 そして時が動き出した。

 俺の真横を苛烈な熱線が過ぎ去っていき、頬にチリチリと熱を感じる。つい先程までクルスがいた場所で爆風が弾け、顔にピチピチと砂粒が当たる。


「大丈夫か、クルス!」


「お……えぇ……? あ、あぁ……えっ?」


 クルスはキョドキョドと辺りを見回す。ついさっきまで自分がいたはずの場所と、オメガゴーレム、そして俺を交互に目をやる。


 まあ無理もない。当の本人からしたら、いきなり瞬間移動したようなもんだしな。


「我は……助かった……のか? パライザー、お前が……?」


「ふふ、どうやらそうみたいだな」


「でも、どうやって……?」


「分からん!」


「えぇ……」


 困惑するクルスだが、何より無事で良かった。

 俺は寝そべったままの彼を起こすべく、スッと手を伸ばした。


 ぐいっ。クルスは当然その手を掴む。


「あだだだだだだ……!」


「ふ、フハハ! おぬしもボロボロじゃないか」


 そうだったわ。リミットパライズの体中筋肉痛でガッタガタだ。まあ、これも勝利の代償ってやつか。

 俺の後ろではオメガゴーレムがガシュンッと音を立て、銀や灰、薄ピンクの欠片がボロボロ崩れ落ちていく。


 ゴーレム、完全停止。俺、撃沈。

 マジでギリッギリの勝利。あぁ……もう、早く帰りてぇ……


『ピコンッ』


『スキル【■■■】を獲得』

【スキル:■■■】

 効果:5秒間、自身の時間感覚を麻痺させる。

 MP消費:■■■

最後まで読んでいただきありがとうございました!

感想、ブクマ等お気軽にいただけたら励みになります。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ