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第8話『男が一人、祭りが一つ、爆発は予定外』

村はお祭りの準備でにぎやかだった。

 広場には屋台、提灯、そしてなぜか大量の干物(理由は後述)が積み上げられている。


「カケルくん、クエスト来たよ~!今度は“祭り準備”!」


「平和でいい!温泉スライムに比べたら天国だ!」


 しかし──その背後から、なにやら騒がしい声が近づいてきた。


「ちょっと!この荷車どかせよバカ女ァ!!俺の花火が粉々じゃねぇか!!」


「バカって言うな!ちゃんと運んでたもん!!」


「お前の“ちゃんと”はだいたい大惨事なんだよ!!」


 そこにいたのは、緋色のマントを羽織った、銀髪・短髪の少年。

 額には絆創膏、手には花火、口は悪い。


「……誰?」


「あー紹介するよ。彼は【クロト・ラング】くん。爆裂系アイテム職人!口は悪いけど、実はいい奴。……たぶん!」


「たぶんて言うなミナァ!!」


「よし仲良くなれそうにねぇ!!」


 


 こうして、爆裂少年クロトが強引に(花火の補償金目的で)仲間に加入。

 三人で「村祭り用・愛と平和の仕掛け花火設置クエスト」に挑むことに。


 


「よし、じゃあこの魔力火薬をこの筒に……っておいカケル!そこ踏むな!!」


「え? あ、これ?」


 ――ボンッ!!


 空高く打ち上がる爆竹花火(予定より5時間早い)。


「ぎゃああああああ!!?俺の右眉毛!!」


「爆発ギャグって本当にあるんだな……!!」


 


 その頃、シエルは祭り用の“巫女舞”の準備中。


「……カケルくん。今日こそ、“お祭りデート”してくれるわよね?」


「え? いや、俺準備係って……」


「……“神の雷”って聞いたことある?」


「デートしよう!喜んで!この世界最高!!」


 


 夜。祭りが始まり、屋台と音楽と花火が広場を彩る。


 ミナは浴衣姿で焼きそばを口いっぱいに頬張っていた。


「もがもがっ、おいひいぃ~!」


「口の端にソースついてるぞ……って、あっ、そこじゃなくて……」


 つい指でふき取ってしまうカケル。


「……っ!」


 ミナが一瞬固まる。


「……バ、バカ……」


「ご、ごめん……反射的に……」


「……いいよ。カケルくんだし……」


 ちょっとだけ沈黙が流れた。


 


 そして。


 ドカーン!!


 空に舞い上がる巨大な花火。その中心には……


「おい!?文字浮かんでるぞ!?『カケル、爆発しろ』ってなんだこれえええ!!」


「俺の“愛と平和の仕掛け花火”の新作だ、光栄に思え!」


「絶対悪意あるだろコラァァ!!」


 


 こうして、男一人が増えたことでギャグが二割増しになったカケルの異世界生活は、さらににぎやかになっていくのだった――。


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