第17話『パンツの行方と、はじめての真面目クエスト(?)』
「……で、今どこだ?」
カケルは自分のパンツを手にしながら、神界パンツマーケットのど真ん中で呟いた。
「“神の遺品”返還クエスト、達成おめでとー!」
「達成って何だよ!!」
シエルは両手を叩きながら嬉しそうに言った。
「さて、気を取り直して。次の本題!」
「こっからやっとクエストなの?」
「うん、実は――今、異世界の東に“黒い霧の村”っていう異変地帯があって、神界でも調査が難航してるの」
ミナが腕を組みながら真面目な顔になる。
「そこに向かってほしいんだよ。あんたのスキルと、“バカ騒ぎ”が必要でさ」
「雑に必要とされる理由が謎すぎる!」
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【数時間後:黒い霧の村・周辺】
カケルたちは、魔物避けの装備と共に現地に到着。霧がどろどろと蠢き、空気は不穏そのもの。
「なにこれ……空気が重い……。これ、ただの異変じゃないわ」
シエルがスキルを展開するも、視界は限られていた。
「この奥に“深層フロア”があるの。そこに“願いを喰らう魔”が封印されてるはず」
「名前からして碌でもねぇ!」
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【村の深部:封印広間】
そこには、ひとりの女の子が倒れていた。銀髪の少女。
そして霧の中心から響く声。
『来たか……神選者よ……。お前の“願い”を、寄越せ……』
「うわ、いきなりラスボス感満載だ!」
しかし次の瞬間――
シエル:「カケル、絶対に“パンツだけは奪わせないで”!」
「いやそこ!?守るとこ!?もっとあるだろ!?」
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そして――現れた魔は、巨大な人型……ではなく、ドでかい黒猫のような形をしていた。
『にゃああああああああん!』
「声が可愛いなおい!?ギャップがひどい!!」
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【バトルフェーズ開始】
シエル「聖なる加護、カケルに集中!」
ミナ「私の剣、願いに届いて――!」
カケル「パンツ!……じゃなかった、いくぞおおお!!」
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(※戦闘描写はギャグとシリアスのミックスで進行。以下、バトルのテンポに合わせてざっくり)
黒猫型の魔は「願い」を口実に、カケルたちの過去の恥ずかしい記憶を実体化して襲ってくる
カケルの中学時代のポエムが爆発する
ミナの寝言が物理化して飛んでくる
シエルの「女神試験赤点」の答案が敵の装甲になる
「やめろおおおおお!!黒歴史武装とかやめてえええ!!」
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最終的に、カケルが「願い」を叫ぶ。
「……俺は……こいつら2人と――ずっと、笑っていたいんだよッ!!」
その願いが霧を払い、黒猫の魔を浄化。
『……にゃ……にゃふぅ……(満足)』
黒猫は毛玉を残して消滅した。
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【クエスト完了】
「終わった……」
「ちょっとカッコよかったじゃん、カケル」
「惚れ直したかも?」
「でもパンツは脱げてるから台無しだね」
「やめてえええええええええ!!」
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