第14話『ワープの罠と、ミナの大脱走!』
「かけるー! こっち、こっちよー!」
「おいシエル!お前、どこから現れたんだよ!」
神殿の天井から逆さまに落下した女神シエルは、空中でくるりと一回転し、華麗に着地――と思いきや、顔面から盛大に床に激突した。
「……神ってのは顔面着地するものなのか……」
「えーっと、そういう日もあるの!ていうか、今はそれどころじゃなくて!」
ドレス姿のエリスとリアナが迫る中、シエルはカケルの手を取って、再び叫んだ。
「ワープ、“次のトラブルスポット”!」
「え、えぇぇっ!?なんでそんなとこ飛ぶの!?避けようぜそこは!」
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【瞬間ワープ後・謎の盗賊団のアジト】
ボンッ!
次に現れたのは、どう見てもアウトな空間だった。
「なに、ここ……牢屋?」
「しまった、飛び先間違えたかも……いや、正しくは“トラブルスポット”だけど!」
そこに現れたのは――
「……あんたら、まさかここに来るとは思わなかったよ」
錠前をひょいと外しながら、盗賊風の少女がニヒルに笑う。
「久しぶりだな、カケル。あたしの名前、覚えてる?」
「えっと……あー……み……」
「ミナ、だよ。ミ・ナ」
彼女の腰には短剣。見た目はラフだが、目だけは鋭かった。
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「ここ、あんたらをさらおうとした奴らの拠点さ。でも逆に、あたしが先に乗り込んでボス倒しといた」
「それを先に言え!」
「ふふ、言ったら面白くないじゃん?」
カケルは頭を抱える。シエルはというと、ミナにやたら懐いている。
「ミナってば超好き~!泥棒キャラでクール系、でもツンデレとか最高!」
「キャラ属性で人を語るなよ!」
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その後、脱出した3人はしばし街で休息を取ることに。
「しかし……ワープが暴走気味だな」
「たぶん、今のワープ設定、“面白そうな場所優先”になってるかも」
「ふざけんなッ!!」
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シエルはこっそり、「カケルの旅が退屈しないように」ワープ設定をカスタムしていたのだった。
当然、カケルは激怒。だが、すでに設定解除には神界の許可が必要というオチまでついていた。
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「次は静かな場所を……頼むぞ?」
「はいはーい! ワープ、“静かな、何もない場所!”」
ボンッ!
そして、次に彼らがワープした先は――
「うわっ!? ここ、火山の噴火口じゃねぇか!!」
「うん、静かで何もないでしょ?(地面以外は)」
「ちげええええええッ!!」
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