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第10話『転職は突然に。初クエストは迷子から』
次の日。
村の掲示板にて、シエルがクエスト用紙をじっと見つめていた。
「……あった。初級クエスト。『迷子のドラゴンの捜索』って、これならいけそう」
「……待て、迷子? ドラゴンが?」
カケルのツッコミは当然だった。
「まあまあ。依頼人は“ドラゴン愛好家”の変わり者おじさんらしいし、ペットの小型ドラゴンらしいよ」
「よっしゃあああ!! 初任務だあああ!! 旅の始まりじゃあああ!!」
クロトがテンションMAXで飛び跳ねたが、案の定、着地に失敗して転がった。
「ぎゃふんっ」
「語彙力! どうなってんの!?」
そこに一人の少年が近づいてきた。 白髪で、片目に包帯を巻いた美少年。
「……あの、君たち。ドラゴンのクエストを受けるの?」
「え、うん。誰?」
「僕はリク。ちょっと、同行させてほしい」
「理由は?」
「……ドラゴンに踏まれたことがあるから」
「何そのトラウマ系スキル!!」
かくして、5人目の仲間・リクが加わった。 少し無表情で、どこか闇の香りが漂うが、たまに鋭すぎるボケをぶち込んでくる。
――そして。
カケルたちは、森へ向かう。