1-9 目的だけが通れる橋
「生きている理由か...そんな事、壮大すぎて俺は考える気にもなれない」
彼の言葉は、私と彼がまるで違う人間であるということを決定づけるものであった。
生きる理由というのは、私を成す根源であり、そして今も探し続けている恒星である。事故で平常の身体を失った時に、今までの私は死んだのだ。
生まれ変わったのは価値観。死生観といってもいいかもしれない。人生の終わりが見えてしまうってのは、やるせなさと焦りを私の心に与える。
それを彼は否定するでもなく、壮大すぎると言った。
彼くらいの齢ならそう思うのだろうか?
否、感じたのは違和感であった。
自分の意味がまだ見つけられないというニュアンスではなく、そんな物は自分は持ち合わせてはいないというような。
まるで、薪を燃やし尽くしたら消えてしまう燎火のような。
自らを使い切りの消耗品だと描出しているようであった。
それはなんというか、あんまりではないか?
これは、私が彼に抱いた反抗心。
私の命を削っても、生きる理由を追い求めて欲しくて、彼の脱出を約束した。
私の心は、焦燥という紫煙で満たされていた。
****
私とディエゴは連れ立って、高層建ての建築物、地上40メートルの階層に来ていた。
この建築物は全高60メートルであり、十幾層の階層から成っていた。私たちがいるのは、恐らく上から数えた方が早いであろう階層、四方を壁に覆われ、途中途中に空いた小さな孔が外の光を吸い込む無機質な空間であった。
この世界では積もるがほとんど無い埃を足跡に変え、私は口を開いた。
「私の勘だけど、キミは行先とか決まってないよね?」
「当然だ」
「きっぱりと言われても困るよ」
私は半分呆れを顔に出しながら、知ってることを告げる。
「この区の外は、どうなってるか未知の領域なんだ。それを知ってるのは、ここに入ってきた人だけってね」
つまりは何も知らなかった。話を聞いていたディエゴの表情が僅かに険しくなった気がしなくもない。
「それでも、ここから出ないといけない。例え崖を登ってでもな」
放っておいたら本当にやりそうである。それに関しては私の介するところではないので、勝手にどうぞとは思うが。
私はひたと向き直り、彼に問いかける。
「ディエゴ、なんだか何かに急かされてるように見える。私の思い違いかもしれないけど、そこまでディエゴを駆り立てるものは...?」
区外への片道切符を渡す者として、聞いておきたかった。地上から離れているからか、箱型の空間に雑音は無い。彼はなぜだろうか、重そうに口を開いた。
「数多の人を救いたい、それだけだ」
私は言葉を額面通りに受け取れなかった。救いたい?どの口で?簡単に人を吹き飛ばせるのに?
それでも、彼の言葉には真剣味があった。決して嘘や方便ではない、静かに発せられた語句には雄心が灯っていた。
「そっか」
私は右手を動かし、キュービットを操作する。壁の向こうで、細分化された質量が流れる音がした。
私が今造ったのは、この階層から伸びる幅2メートルの橋である。橋は上向き勾配で、区を収める盆地のヘリを目指しているが、区民が操作出来るキュービットの限界高度ラインで途切れている。両端を繋がなければ橋かけとしての意味は無い。
「もしまた会うことがあったら、新しい目標を聞かせてくれる?」
私は何となしに彼に問いかける。眼窩に据えられたブラウンの虹彩と視線が合った。目は口ほどに物を言うと言うが、彼の目線からは何かを感じ取ることは出来なかった。
私は瞼を閉じ、後頭部に意識を向ける。水路を塞ぐ厚板を抜く感覚。一拍ののち、周囲に燐光が迸った。
「...バルドル神のようだ、まるで」
ディエゴの言っている事はよく分からなかったが、その切れ長の目を見開くのも無理はないだろう。
私の髪の毛はほのかに紫紺がかった黒色であるが、メガスロットが移植された場所である後頭部からは、色素が抜けた様な銀色の毛髪が伸びている。メガスロットの力を行使する時だけ、この銀色の髪からコードのようなものが漏れ出す。
...何を言っているのか自分でも意味不明だと思うが、実際事実なのだ。
自分を照らす光源に違和感があると思い、一束に結んだ髪を首の前に持ってきたら、その髪はネオンのように光芒を放ち、数字やアルファベット、そして見たこともない文字が白色のデジタル基調のフォントで流れていたのだ。
光を孕んだデジタル文字は、髪の外から出ることはなく、私の銀色の髪が出来の悪いスクリーンになったようであった。
私は途中までしかない橋を一瞥する。創り出すのは、橋を伸ばし対岸に架けるイメージ。
ぱたぱたと、板が折りたたまれるような音が周囲に鳴り響く。暗く静かな空間が、音響のドームとなる。音のボルテージが肉薄したと思った途端、空間を割り光が刺した。
空間を成していた壁がキュービットの単位となり、一方向に流れていく。その様子は、風に吹かれる無数の花弁のようであった。
現れた天蓋は薄いオレンジに色づいていた。壁を失い、高所ゆえの突風が私を叩きつける。
私とディエゴは、キュービットの大群が大移動を行う様を眺めていた。私のライトグリーンに光る髪だけが、風に揉まれて激しく動いていた。
沈黙の時間は短かった。私がこの力を行使する時だけ、規定されている高度限界を突破できる。通常ではありえない高さまで昇ったキュービットが編纂されていく。
一直線に伸びる、キュービットの橋。幅3メートルで手すりも無く、真ん中まで渡れば荷重でたわむだろう。それでも、彼の行く道には不備はなかった。
「ほら、これで私の役目はおしまい。行って行って」
元はといえばこの区からの出入りは厳密な申請が必要なのだ。人の力では越えられない壁でも、そこから誰かを逃がしたというのは大っぴらにしたくはない。私は急かすように催促した。
「お前は行かないのか」
私の胸に鈍痛が走る。同じことを考えなかった訳では無かった。
「...そんなことより、急いでるんでしょ。あれだよ、あれ。私の気が変わらないうちに!ってやつ。せーので踏み切っちゃおうよ」
私は無理やり急かす。らしくない。引かれた手は取るのが私なのに。
ディエゴは一瞬なにか言いたげにした後、無言で走り去って行った。
私は立ち尽くしたままその姿を見つめる。風が新たな風を連れてくるたび、ディエゴの姿は小さくなっていく。蝋で塗り重ねたような不格好な通路は、毅然とその形を保っている。今は光を失った、私の銀色の髪だけが、風に揺れ踊っていた。
自分から脱出を提案したのに、心のモヤモヤはわだかまっていた。その理由が、なんとなくわかった気がする。
「あの人は、心の芯のままかくあるべきに動いている。理由なんてものに縛られてるのは、わたしだ」
自由に空を駆けるディエゴが眩しかった。何のしがらみにも囚われず、己が目的のために疾駆する姿は私と正反対であった。心の殻に収まる気炎を、彼は持っていた。
「ないよ、そんなもの」
本当に?
彼と私の違いは、あるようでないとも思える。薄紙一枚分、プリズムの覗く角度で見え方が変わるような物が本質だと思った。
「私も、行けるかな...」
他者のために造り上げた橋を見下ろす。吹き抜けになった階下の高さに一瞬ギョッとするが、すぐに目線を前に据える。
足を踏み出す瞬間であった。
耳元で連絡の通知であるリリリリという電子音が流れた。
「わっ、わあっ!?誰...?」
私はバランスの拠り所を失い尻もちを付く。空中に表示された電子版には、hatterと表示されていた。
高まりかけていた高揚感が霧散する。頭上に表示される現実を見据え、私は応答した。
「遅い!遅いよう!何時になったら君は捕まるんだい!?」
「...ハッター氏」
声のオクターブが一段低くなるのを感じる。私にはディエゴの脱出を見届けるという役割があるのだ。それまでは捕まってやる訳にはいかなかった。
「ボクはね、問題をそのままにしたくはないんだよ。アダムの事を知ってしまった君が気になって、夜も眠れないワケ!」
「...誰にも口外したりしません」
電子板越しに顔も見えないが、通話先の相手に目線を合わせまいと、我にもなく瞼を伏せる。虚空に映し出された電子板とそこから発せられる音響は、何も無い空間にあたかも人が存在しているかのような錯覚をもたらす。
「君の感想は聞いていないんだよ、情報なんてあらゆる所から漏れるからね。麻袋の穴がひとつ空いたようなものさ」
「ならアナタがひた隠しにするアダムって誰なんですか。私にはその人がどう危険なのか分かりません」
氷漬けの地下室で見たアダムの姿は、とても人とは似つかない姿をしていた。仮に人だとして、二足で歩けるのか、循環系はどうなっているのか、疑問が尽きなかった。もしかしたら、そのままでは器官が壊死してしまうから氷漬けになっているのではないか。
「アダムはね、人類の希望なんだよ」
「希望、と来ましたか。大きく出ましたね」
何が希望なのかさっぱり分からないが、これ以上深入りする案件では無いと見切りを付ける。あとはハッター氏の害意をどう逸らすか。
「...ん」
私は嘘をつくことにした。舌鋒で説き伏せるなんて私には不可能だ。ましてや得体の知れない相手ならなお。
遠方を見つめ、最大限のタメを作る。
「...ふふ、アダムの事を知っているのが私だけだと?」
「何?」
「秘密を共有した相手が、区の外に走り去って行きますけど?」
私はディエゴに無実の罪を擦り付けた。当然だが、彼にアダムの事を話したことはない。卓越した身体能力を持った彼なら、追われる事はあっても煙に巻けるだろうという算段だ。それに、何だか意に介さなさそうな感じもする。
彼は橋の半分ほどまで到達していた。もう数十秒あれば橋を渡り切り、前人未踏の区外にたどり着くであろう。
「何だと!?何てことをしてくれたんだい!一体誰が...」
通話越しに、ハッター氏の顔が固まった気がした。氏は急に黙りこくってしまい、この判断は効果覿面だったと手応えを感じる。
「私なんかに構ってる暇はないですよ。彼は私なんかより危険で...」
「あいつは地球にいるはずでは?何故ここにいる?」
「え?」
ハッター氏の飄々としたイメージが剥がれていく。それほどまでに、声音は真剣味を浴びていた。
「絶対に捕らえろ、なんとしてもだ」
通話越しに怒声が聞こえてくる。おそらく、私に向けられたものでは無いだろう。
ざあざあと、東から粒状のペレットが流れ落ちるような音が聞こえる。その音の発生源に顔を向けると、そこは私の足元であった。
「わわっ!?」
足元を大量のキュービットが走っていく。不規則に流れる小片はまるで意思を持ったようだ。私が立つ開けた床に絨毯を敷くように流れていく。その濁流に飲まれないよう私は不出来なタップダンスを踏む。
「捕らえろ、って...まさか!」
首筋をなぞられる感覚とともに目線を橋の方へ向ける。突如として押し寄せてきたキュービットの漣は、橋の方へ───正確にはディエゴがいる方向を目的地としている様であった。
「待っ...!」
呼びかけなんて意味が無いと気づいた時には、能力行使の残滓が残るメガスロットを駆動させていた。再び私の髪に明かりが灯る。この世界では絶対権威のモード。
我ながら素晴らしい反射神経で、作成した橋の一部を切り離す。ガコン、という音と共に外れたブロック塊は、一瞬重力で沈んだが、直後に底なしの浮力を得たように跳ね上がる。
私は手掌を手のひらが外側を向くよう構える。メガスロットによるキュービット操作はイメージによるものだ。身振り手振りで視野の情報を追加し、ベクトルを設定する。
ブロック塊は引き伸ばされたような薄い壁へと変貌し、遮るものがない道を進んできたキュービットとぶつかる。
「このっ...!勝手なことばっか!」
私は視界を広げるために目を見開き、衝突してきたキュービット片を吸収していく。吸収といっても、壁にキュービットを結合させ、動けなくさせるだけだが。
磁石と磁石がくっ付く時の音だろうか。まるで型にはまるように、パチパチパチという音が連続で聞こえてくる。その響きはまるで過剰量の火花が舞っているようだ。
「やめてっ...!」
視界の左端には、4632という数字が明滅している。4649あったライフは橋を作ることで4635まで減少し、今もゆっくりと減少していっている。その些細な数列の機微が、私にとっては文字通り致命的であった。
「なんで、そこまでして彼を助けるの?」
不意に、頭の中に声が響いた気がする。
「それは...」
咄嗟に答えられない。このライフが掌中の珠であるように、身を賭して彼を守る義理はないはずだ。
彼は目的を持っており、彼は私とは違う。誰にでもひとつはいい所があると言われるように、私は目的に邁進するひたむきな執心が彼の美点だと思っている。
では、私は?
未来が決まっているゆえに目的というものを持てなかった。遠い未来にある死から目を離せなかった。だからだろうか、空の匣にディエゴが持つ目的を入れることで満足したふりをした。彼の行く末を護る事で満たされる感覚を味わおうとした。彼が何のために今疾駆しているのかも知らないのに。
「結局、自己満足になっちゃうのか」
私は目を細めた。
今もハッター氏の妨害は続いている。私が手を抜けば、キュービットの大群はディエゴに襲いかかるだろう。
「あきらめちゃダメだ、君は生きているんだから。生きているヒトのやることなんて、ひとつしかないよ」
再び声が聞こえた。私の勝手な幻聴だと思っていたが、そういうわけでもないらしい。
「そんなの、私が知るわけないじゃん!死を理由にして、ずっと蹲ってたんだから!」
「わかるよ、キミなら。だって今も命を削って、誰かを進ませようとしてるんだから」
「えっ」
私は思わず後ろを向く。そこには誰かの気配ひとつ無かった。そこで私は、今は気の抜けない緊急事態である現実に引き戻された。
「しまっ...」
気を抜いてしまった。押し寄せるキュービットは壁を上下からすり抜け、ディエゴに接近する。
「はたき落とせっ!」
繋がりっぱなしの通話口から、ハッター氏の胴間声が聞こえた。すり抜けたキュービットは結集し、ひとつの槍となる。貫くことではなく押し出すことに特化した槍は、ディエゴを橋から叩き落とそうと突貫する。
「...間に合わない。だめ、なの」
私の抵抗も無駄だったのか。ディエゴとゴールまでの距離は20メートル程を残していた。幾らディエゴの身体能力が秀でていたとしても、突風が吹き荒れる高所で、支えもない橋の上で直撃したら間違いなく転落する。人がその高さから地上に激突したら、どうなるかは想像に難くなかった。おまけに、脱出の柱を登った時のような建造物も周囲にはない。
私の位置からはディエゴの様子がよく見えた。キュービットの槍が彼に肉薄する様子も直視できた。───そして、見えるはずのないディエゴの口の動きも見えた気がした。
「この先まで走り抜く、それがお前と交わした約束だったな。俺は約束を違えない、この先もだっ!」
虚空の一点に重力場ができたように。
ディエゴの身体が前傾姿勢のまま跳ね上がった。
「ちょっ...何して...杖?」
ディエゴが腰から取り出したのは黒い杖だった。まるで空間に空いた孔のように、その細身は黒々と存在感を放っていた。
「シィッ!」
固まった空間、そこを引き裂くのは私が取り漏らした一塊のみ。それでも彼なら打開するだろうという確信があった。そう思った瞬間、ディエゴは杖の先端を迫り来るキュービットの槍に向けた。
遠目で細かくは見えないが、私の腕より細いであろう痩躯。精緻なだけで棒切れにも等しい杖が、何十倍の質量もあるキュービット塊の矛先と衝突する。
無音だった。静謐の世界が一瞬その空間を包んだ。
刺突に勝利したのはディエゴだった。彼は危なげなく着地し、杖を腰元の鞘に戻す。
彼を押し倒すはずのキュービットでできた槍は、衝突の刹那、黒色の風塵へと姿を変えた。杖に触れたキュービットが黒色の粒子となり、凝集から解放され散っていったのだ。
「...やっぱり、キミがやったんじゃん」
自分の部屋に空いた風穴。
脱出の柱を根元からへし折った痕。
そして、キュービットの槍を霧散させた一閃。
全て、黒色の杖がもたらした壊疽であった。
ふと階下を見渡す。地上数十メートルで起きている非常事態に、踵を止めて仰ぎ見ている人もちらほらいるようだ。その中にはディエゴがキュービットを黒変させた瞬間を目撃した人物もいるだろう。これで私の濡れ衣も晴れればいいが。
目線を前に戻す。区を囲う壁の縁にたどり着いたディエゴと目が合った。
何か言わなきゃと思った。色々な事があり振り回されたりもしたが、彼の脱出という目的が成し遂げられたのは素直に喜べる気になった。私は大きく息を吸い、肺を膨らませる。
「いっぱい!苦労したんだからねっ!!このーーーっ!!!!」
精一杯の大声を出したが対岸には届いただろうか。何しろ、私が立つ建物と区の端では相応の距離がある。
確かにメガスロットのライフを4632まで消費したし、妨害からディエゴを守るのには神経をすり減らした。それでも、その場にあるはずの無い心地よい充足感があった。
私は頬を弛緩させているのに気が付かなかった。ここから新しい世界に踏み出すディエゴに対する羨望も。
向こう側からは声が返ってくることはなかった。だが、ぺこりと、軽く会釈する姿が見えた。その姿に思わず吹き出してしまった。
「感謝なんかより、早く行きなって」
口中で喉元に留めた言葉。その言葉が聞こえた訳では無いだろうが、彼は区の外側に飛び降りた。
彼を区外に脱出させる。小さな目的だが、どうにか達成することができた。
風が私の顔面を叩きつける。どっと疲れたを感じたのもあり、体育座りの姿勢に倒れる。
鼻腔をくすぐる風は、ほのかな汗の匂いがした。
「ふぃ〜...」
年寄りのようなため息をつく。そういえば、ハッター氏との通話は続いたままだ。以来音沙汰もないが、そのままでいいのだろうか。
途端に重くなった腰を上げ、私は通話を切ってしまおうと手を伸ばした。だが帰ってきた声は、繋ぎっぱなしの電子板からではなかった。
「だめだよ、絶対にこの場所から出たら」
「っ!だ、誰!?」
子供のような声が頭の中に流れた。今まで味わったことの無い経験に身を竦ませる。
「さっきの男の子はいいよ、無関係だから。それでも、キミは行っちゃいけない。大変な目にあってしまう」
頭の中に響く声は止まらない。声が流れる度、後頭部のシルバーヘアに光が流れるのに気がついた。
「...大変な目って、何?」
誰が何を伝えようとしているのか。情報は虫食い状態だが気になった単語をピックアップする。
「君のメガスロットが狙われてしまう。そうしたら、生きていけないんだろう?」
どうやら私を気遣ってくれているようだ。一拍置いて、言葉が続く。
「ボクの名前はアダム。寒い部屋で出会ったのはキミだよね?レオルの人?」
この区での私の懊悩は、もう少しだけ続きそうだった。