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【完結】島流しされた役立たず王女ですがサバイバルしている間に最強皇帝に溺愛されてました!  作者: やきいもほくほく
四章 最強の皇帝

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59/78

⑤⑨


貝と格闘しているベルーガを呼んで、昼食の準備を手伝う。

いつも通りにしていると次第に女神様扱いはなくなっていった。


懐かしいスパイスの香りは食欲を刺激する。

一番楽しみなのはもちもちとした主食だ。

昼食が出来上がり、端の方でその様子を見ていたベルーガに声をかける。



「ベルーガさんも食べましょう?」


「私は大丈夫です」



きっちりと燕尾服を着込んでいるからかなんだか暑そうだ。

彼は水分補給も食事もとっていない。

メイジーはある考えが思い浮かぶ。


(このまま限界まで島にいたい……まだまだやりたいことがたくさんあるもの)


メイジーはどうしたら長く島にとどまれるのかを考える。

帝国にいても部屋の中でダラダラ過ごすだけだ。


(どうしたらベルーガさんを巻き込めるかしら……)


ベルーガが食いつきそうな話題をみつけたメイジーは口を開く。



「今日は皇帝陛下が一番好きだったスープなんで……「食べますっ!」



珍しく食い気味のベルーガにメイジーは驚いていた。

やはりガブリエーレが食べたという台詞が効いたようだ。

キラキラした瞳でこちらを見ているではないか。

メイジーは隠れてガッツポーズをしていた。

大きな魚を釣り上げた高揚感だ。


彼の分も昼食を用意するように頼むが、葉の上に置かれた料理に戸惑うベルーガ。

だが皆の真似をしながら恐る恐る口に運んでいく。 

メイジーも久しぶりのもちもちとした主食を指でちぎり頬を押さえた。


(久しぶりのこの味……幸せすぎるわ)


メイジーは慣れた手つきで口に運んでいく。

ベルーガも恐る恐る木でできたスプーンを使いスープをすくう。

「食べたことがない独特な味ですね」と、感想を述べつつもまた手が伸びる。


メイジーがベルーガの言葉を通訳をしつつ、皆との楽しい昼食を終えた。

片付けを終えてから再び海岸へと戻る。

ムーたちに集めてもらった貝を色別に仕分けしていく。


波が高い間は、島民たちの手伝いを行っていた。

ベルーガはメイジーが怪我をしないようにと警戒している。


それから島民たちのおやつである芋虫を集めに向かう際、彼は険しい顔をしていた。

島に慣れるまでメイジーも同じような表情をしていたと思うと考え深い。


いつもの日常に戻ったといったところで、空は夕日でオレンジ色に染まっていく。

メイジーは何が言いたげなベルーガを必死に避けていたが、ついにこの時がやってくる。



「メイジー様、そろそろ戻りましょう」


「……っ!」



メイジーは大きく肩を跳ねさせた。

ベルーガにもう一度名前を呼ばれてゆっくりと顔を上げる。

彼は笑みを浮かべているが、怒りを孕んでいるように見える。


彼はメイジーに言いたいことがあるのだろう。

笑みを浮かべつつも口端がピクリと動く。

しかしガブリエーレのこともあり言葉を飲み込んでいるのだろう。


メイジーは立ち上がってスカートについた砂を払う。



「ベルーガさん、言いたいことがあるなら言ってくれませんか?」


「…………え?」


「ずっとその視線を向けられるのは疲れます。皇帝陛下には黙ってますから」



ベルーガとメイジーの間に風が吹いている。

今、子どもたちは木に巻き付いているツタを取りに行っていた。

今しかベルーガと二人きりになる機会もないだろう。


彼から表情がスッと消えていく。

手のひらをギュッと握ったベルーガはこちらを静かに睨みつけている。



「正直、あなたのことが気に入りません」



メイジーは納得したように頷いていた。


(……でしょうね)


ベルーガはガブリエーレの指示でここにいるが、不本意なのだろう。

帝国でメイジーに好意的なのは侍女長のエレナくらいだろうか。

ベルーガもメイジーの存在が面白くないはずだ。


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