③⓪
それからメイジーはガブリエーレの世話をしつつ、ミミの家事を手伝い、島全体の仕事を終えたら網をひたすらに編んでいく。
それと並行して、丸く固く小さいものを探していた。
(核になるものが必要なのよね……そもそもあの噛みつき貝に核を入れることなんてできるのかしら)
真珠を作るために何年かかるかもわからないし、まだまだ実験したいこともたくさんある。
(紙とペンがあったらいいのに……葉を削って書き残すことはできるかしら)
記録をつけてトライアンドエラーを繰り返すしかないのだが、この環境ではそれも難しい。
二日ほどかけて色別に分けられているほどの網を作り上げるが、予備にともう一つ網を作らなければならない。
今日もガブリエーレに食事を運んだ後に、その場に座って網を作っていた。
『おい……』
「…………」
『聞いているのか?』
「…………」
『おい、メイジー!』
「へっ……!?」
名前を呼ばれたメイジーは驚いて肩を跳ねさせた。
キョロキョロと辺りを見回しつつも、ガブリエーレの青い瞳と目が合ったことでハッとする。
どうやら網を作るのに夢中になりすぎてしまったようだ。
彼は葉っぱに置いてある食事に一切手をつけていないではないか。
(どうしたのかしら……食欲がないとか?)
メイジーが手を止めて、ガブリエーレに向き直る。
すると不機嫌そうな彼がこちらをじっと見つめていた。
「具合でも悪いの?」
『……気分が悪いだけだ』
「どうして?」
『…………』
もう食べないないのだろうかと片付けようと手を伸ばすが『勝手なことをするな』と一蹴されてしまう。
(意味がわからないわ。どうしてほしいのかしら)
メイジーはガブリエーレを見て、ドーやデーやムーたちを思い出していた。
よくわからないわがままを言う姿は子どものようにも見えてくる。
「ちゃんとやって欲しいことを口にしないとわからないわよ?」
『……!』
ついミミがドーやデーたちに言っているようにガブリエーレに言ってしまった。
メイジーは失言してしまったかもと口元を抑えつつも、ガブリエーレが怒っているかと思い顔を上げる。
すると何故か真剣な表情でこちらを見ていたガブリエーレから放たれた言葉は信じられない一言だった。
『それを食わせろ』
「は……?」
驚きに目を見開いているメイジーだったが、食事を食べさせろというよくわからない命令に困惑していた。
「な、なんでわたしが……っ!」
『やって欲しいことを口にしろと言ったのはお前だぞ、メイジー』
「……っ!」
こんな時ばかりお前ではなく名前で呼ぶのはずるいと思った。
まるで肉食獣のようにこちらを捉えて離さないガブリエーレの瞳。
拒否したいのに、そうすることができない。
ガブリエーレの考えていることがわからずに困惑するばかりだ
(どうしてわたしがこんなことを……!)
そう思いつつ木の棒を削って作ったフォーク代わりのものを握ってフルーツを刺した。
ゆっくりとガブリエーレの口元へと運んでいく。
形のいい唇が開いて震える手でその中へ。
妙な背徳感にメイジーの頬が赤く染まっていく。
ガブリエーレはメイジーから視線が外れることはない。
心臓がドキドキと音を立てていた。
なんだか悔しくて睨み返すようにしてガブリエーレを見た。
するとガブリエーレは意地悪な笑みを浮かべているではないか。
『次……早くしろ』
「わかっているわよ!」
メイジーがもう一つフルーツを刺してガブリエーレの口元を見た時だった。
彼の唇と唇の間に挟まっているあるものを見て、飛びつくようにして彼に覆い被さった。
『おい……! お前、何やってるんだっ』
メイジーの頭に直接響く声。
けれどメイジーはそれどころではなかった。
逃げられないようにと彼の頬を両手で顔を近づける。
(…………こ、これはっ!)
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