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そしてあっという間に島民たちに囲まれてしまった。
『ガブリエーレ様、何かしたのか!』
『お前、変! 急に、変……!』
「…………」
変だと言われても、メイジー自身もどうしてそうなったのかいまいちわかっていないため説明もできない。
『お前、ガブリエーレ様に嫌われた?』
『嫌われた、だから返された』
『役立たず……! コイツ、役立たず!』
まさか島流し先でも『役立たず』だと言われるとは思わずにメイジーは呆然とすることになる。
その間にもメイジーの扱いについて話し合われていた。
ガブリエーレに殺すなと言われた、けれど使い道もない……そんなところだろう。
(わたしが役立たず……役立たずねぇ)
メイジーの額に青筋が浮かぶ。
前世でもそう言われるのは絶対に許せなかった。
負けたくない……その思いだけで成り上がってきたのだ。
誰かに馬鹿にされたのなら、それを覆すまで走り続ける。
そうやって今まで生きてきたのだから。
「このわたしが……役立たずですって?」
メイジーは島民たちを見据えた。
『……怒った! 怒った』
『どうする? どうしたらいい……!』
どうやら彼らは言葉をよく繰り返すようだ。
戸惑う島民たちにメイジーに認めさせるにはどうすればいいのかを考えを巡らせる。
(彼らの役に立つには敵になっちゃダメ。今は仲良くすることが最優先……ここで生き抜くためにはどうすればいいの?)
メイジーは今まで経験した数少ない情報を整理する。
そしてあることを思いつく。
それは島民の信頼を勝ち取ることはできるかもしれないが、嘘がバレてしまえば死ぬという諸刃の剣である。
(ガブリエーレと島の長が何を話していたのかはわからないけど、今は言ってみるしかないのよ……!)
ここに来た経緯は島民たちには知られていない。
メイジーは大きく息を吸い込んで、そして吐き出した。
「わたしはガブリエーレ様の遣いです。先ほどあなたたちと交流を持てるようにと言葉を授かりました」
『『『……!』』』
「今日から皆さまと共にガブリエーレ様のお役に立ちますわ」
自分でこう言っておいて、何もできないことが悔しくて仕方ない。
だけど今はガブリエーレの力を借りるしか他に方法がない。
何の役に立てるのかもわからないのは、あまりにもここの情報が少なすぎるからだ。
こう言ったものの頭に羽根をつけている島の長の反応が気になるところだ。
メイジーは髪や服を整えて正々堂々と立っていた。
ピンチになった時こそ、お客様には焦ったところを見せるなと言われたものだ。
メイジーが反応を待っているが島民たちは固まっている。
次第に額に汗が滲んでいく。
(やっぱりダメだったかしら……次の手を考えないと!)
メイジーがそう思った時だった。
突然、周囲にいる人たちから雄叫びが上がる。
ウオォォッと地面が揺れているほどの声に、メイジー自身が驚いてしまう。
それからガブリエーレコールが巻き上がっている。
彼が島民たちにどんな恩恵を与えたのかが気になるところだ。
『ようこそ、我らの島へ』
『神の遣い、ようこそ!』
先ほどとは一転して、メイジーのことを歓迎してくれているようだ。
それこそ殺そうとしていたことが嘘のように……。
(とりあえずはここにいられそうね。はぁ……よかった)
メイジーは女性たちに連れられてガブリエーレが着ている布と同じものを渡された。
これに着替えろということらしい。
メイジーも神の遣い……つまりガブリエーレと近しい存在だと思われているようだ。
(次のチャンスを得たら覆す機会はいくらでもあるわよ……! 今は生き残ることを考えるの)
このままでいたら、ガブリエーレの気分次第でいつ殺されるのかわからない。
彼の気分が変わる前にメイジーが彼らにとって、必要で手放せない存在になればいいのだ。
(生きるためだったら何だってやるわ……! もう役立たずなんて言わせないんだから)




