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第7話 曲芸団『茶釜』4

「こんな蹴りで吹き飛ぶなんてお前ら本当に御伽守護隊か?ウッキッキッ」


「こんな雑魚共、一瞬で終わるぞ」


「沢蟹が俺に命令するな」


猿黒と剛白は『さるかに合戦』の異能が宿っている柿を齧り詠唱を始めた。


「うごめけ、暗黒の猿、恐怖を巻き散らせ!神憑(かみづか)り『悪猿(あくえん)』」


「強固たる、鉄壁の甲羅、絶望に引きずり込め!神憑(かみづか)り『剛蟹(ごうがに)』」


二人は第七部隊の部分的な憑依とは違って全身に猿と蟹の能力を憑依させていた。


「俺達ですらまだ部分的にしか憑依出来ないのに、全身に能力を憑依させてやがる...」


蓮達、第五部隊は神憑(かみづか)りを目の当たりにして一瞬で実力の差を理解した。


「俺達をさっきの呪縛者共と同じだと思うなよ、俺と剛白は柿原さんの『黒子』。お前らにも分かりやすく言うと、さっきの呪縛者が原本の力の10%だとしたら今の俺達は50%、原本の半分の力を引き出せる」


『幻想栞』で強制的に原本の力を使わせる事が出来るのは原本の力の10%〜40%までだが、『特異隊員』や『黒子』は50%〜80%まで原本の能力を引き出すことが出来る。そして原本の所有者は原本の能力を90%〜100%まで引き出すことが出来る。


「じゃあ俺はこっちの獣臭い奴らを片付けるとするか、ウッキッキッ」


「なら俺は余り物のこいつらでいい」


猿黒は第五部隊、剛白は第七部隊と標的を定めた。

『特異隊員』と『黒子』の衝突が始まりそうになっていた頃、ステージ上の原本の所有者達も今にも交戦が始まりそうだった。


「そろそろ俺達も殺り合おうぜ!キッキッキッ」


柿原は嶽本に勢いよく飛びかかった。


「やっぱり俺の相手は君になるか、お手柔らかに頼むよ」


「殴り殺すか、真っ二つに切り刻むか。キッキッキッ」


柿原は『さるかに合戦』の原本を取り出した。


原本領域(げんぽんりょういき)・序幕・猿蟹合戦(さるかにがっせん)


『原本領域』は原本の所有者のみが使える特殊な能力で、能力の種類は序幕・幕間・終幕の三段階に分かれている。

柿原の「序幕・猿蟹合戦」の能力は原本から暴猿(あばれざる)泡蟹(あわがに)を召喚して敵を制圧する能力。原本領域で召喚された暴猿と泡蟹は倒されても所有者の童波(どうは)が足りなくなるまでは無限に原本から召喚され続ける。召喚する数に制限は無いが数が多くなれば一体一体の力は弱くなる。


「こいつら呪縛者と同じか、いや特異隊員に引けど劣らない強さがあるな」


車サイズの巨大な暴猿と泡蟹が嶽本に襲いかかる。

嶽本は壇上の障害物を上手く使いながら攻撃を交わしているが防戦一方だ。


「なるほど、この猿が攻撃担当でこっちの蟹が防御って所か」


暴猿の攻撃をかわし反撃を試みても泡蟹が鉄壁の甲羅で間に入ってくる。


「どうした?第七席さんよ、防戦一方じゃねーか。キッキッキッ」


「はぁ...久しぶりに使うか」


嶽本は懐から灰の木刀を取り出した。木刀を手に取った瞬間凄まじい威圧が柿原を襲った。


「キッキッキッ、とんでもないオーラを放つじゃねーか!キッキッキッ」


原本共鳴(げんぽんきょうめい)


「花咲く力、宙を舞う花弁、我の下僕となれ。『万花(ばんか)』」


嶽本の灰の木刀には『万』の刻印が刻まれた。『万華』は万種の花を意味しており、嶽本は万種の花の能力を使用する事が出来る。


「この刀を目にして楽に死ねると思うなよ」


暴猿と泡蟹は連携して嶽本に攻撃を仕掛けた。


「十九章・華幻舞(はなげんぶ)


万華の灰が月見草の黄色い花弁となり暴猿と泡蟹の周囲を囲んだ。二体は花弁を吹き飛ばし、嶽本に強烈な攻撃を喰らわせた。そのまま嶽本は吹き飛ばされて全身から大量の血を流し意識を失った。


「これは幻覚か?キッキッキッ」


二体は何も無い壁に向かって攻撃をひたすら続けていた。


「『花さか爺爺さん』の原本の特性は『幻覚』。とういわけで幻覚を使うのは十八番ってやつだ。お前も体験してみるか?俺の手のひらで踊らされる終わりのない幻覚を」


「キッキッキッ面白ぇ!!」


一方すぐ隣では、桃井が影山の猛攻を浴びていた。








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