第6話 曲芸団『茶釜』3
「観客が一気に呪縛者に!?」
仁達、第七部隊は呪縛者に対して童異共鳴を使うのを躊躇していた。
「元々一般人だった人達だ、傷つける訳にはいかない」
晴彦が呟いた。一方で第五部隊は躊躇や迷いなどはなかった。
「第七部隊は考えが甘いな、お前ら俺達で全部片付けるぞ」
第五部隊、猿川蓮・雉羽絢香・犬塚優太ら三人は童異共鳴を使った。
「童異共鳴!!」
三人は『桃太郎』の原本の異能が宿った円形の玉「きびだんご」を食べて詠唱を始めた。
「猿の尾よ、我が身に宿りて、鬼を喰らえ。『憑依・地獄猿』」
腕と足が一回り大きくなり猿の様に毛で覆われた。
「雉の羽音、響け我が魂、美しき翼を齎せ。『憑依・音朱雀』」
背中に黄褐色に濃い褐色の翼が生えた。
「忠犬の誇り、鋭き牙で、幻を噛み砕け。『憑依・雷猛犬』」
頭には耳、口元には牙、そして長い尻尾が生えた。
三人はそれぞれ身体の一部が人獣に変化した。
特異隊員が使用する原本の能力は大きく分けて2種類に別れる。『花咲か爺さん』の原本の様に能力の一部が武器として出現する場合。もう一つは『桃太郎』の原本の様に原本の中の生物を自身に憑依させて人獣に変身する場合。
「これが憑依型の原本の能力!?」
桜は第五部隊の特異隊員の姿を見て驚いた様子だ。
「第七部隊はそこで座って見物してろ、これが俺達第七部隊の力だ」
三人は瞬く間に呪縛者達を倒していく。ただ眺める事しか出来なかった仁達に呪縛者が襲いかかる。
「ガルルルルル、たすけ...」
仁は呪縛者の助けを求める声に気がついた。そして仁は覚悟を決めた。
「二人とも俺達も戦おう。呪縛者も強制的に力を与えられて苦しんでるんだ。俺達の手で呪縛から解放させてやろう」
「うん!」 「あぁ」
桜と晴彦も覚悟を決めた。
「童異共鳴!!」
「桜の華、天より舞い降りて、儚く散れ。『夜桜』」
「美しき棘、誘惑の花、解き放て。『鋳薔薇姫』」
「植物の悪魔、影に潜みて、姿を現せ。『毒兜』」
第七部隊も灰の木刀に『桜』『薔』『毒』と刻印が刻まれ原本の力を宿し、本格的に戦闘を始めた。童異共鳴の力は凄まじく第五部隊・第七部隊共に、呪縛者を圧倒した。一度に多くの者を呪縛者にした為、原本の能力が分散され一人一人はそこまで強い力を持ってはいなかった。
「案外、呪縛者も大した事ないのね」
雉羽は最後の呪縛者を倒した。
「能力を使うまでも無かったんじゃないか?」
「それは流石に言い過ぎたよ蓮」
「ん?何か臭う...」
犬塚は嗅覚が鋭い為、異能力を使う者の独特の匂いを嗅ぎとる事ができる。少し遅れて他の桃井や花咲達も何か呪縛者よりも強い気配を感じとる。
「誰か来る」
天幕の扉が開き、二人の男が花咲達の方へと歩いていく。
二人の男は柿原の『黒子』、猿黒と剛白。
『黒子』は御伽守護隊で言う特異隊員の様な立ち位置だ。
「やっぱ呪縛者は使い物になんねーな、こんな奴らも倒せないなんて」
「お前も大して使い物にならねーからな、山猿」
「うるせーよ蟹歩きしか出来ねー能無しの沢蟹が」
男達は何やら喧嘩をしている様子だ。
「何者だ、お前達」
晴彦が男達に問いかける。
「あ?俺らはお前達、御伽守護隊を殺しに来た悪者だよ!ウキッキッキッ」
二人の男は、扉の前から第五部隊・第七部隊それぞれの前に一瞬で移動した。
「速い!?」
全員が同じ事を思った瞬間、凄まじい蹴りが飛んできて全員が吹き飛ばされた。




