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第4話 曲芸団『茶釜』1

巷では、全国を周りながら芸を披露している有名な曲芸団『茶釜』が東京にやって来たと噂になっていた。


「それでは皆さん茶釜名物『大綱渡り』です!」


観客の溢れんばかりの歓声と拍手が天幕中に響き渡った。綱は地上から10m以上も高い場所に設置されている。すると舞台の袖から茶釜が一口現れた。


「ぶんぶくちゃがまに てが はえて

ぶんぶくちゃがまに あしが でる」


陽気な歌声と共に茶釜から手と足が飛び出してきた。この曲芸団『茶釜』の団長「白井茶介しらいちゃすけ」だ。彼は『分福茶釜』の原本オリジンの所有者でその能力で化け狸に変身することが出来る。


「ぶんぶくちゃがまに てが はえて

ぶんぶくちゃがまに あしが でる」


続けて陽気な歌声を響かせながら10m以上も上空にある綱に飛び乗った。会場は更に大きな歓声が上がった。


その夜『茶釜』の天幕裏。


「皆お疲れちゃ!」


団員が帰宅し茶介だけが天幕に残っていた。机の上には原本オリジンが置いてある。


「この能力があれば『茶釜』も安泰だっちゃ」


茶介は満足そうな表情をしていると1人の男が天幕裏に入ってきた。


「どなたっちゃ?今日はもうおしまいだっちゃよ」


「お前が原本オリジンの所有者か?」


その男は黒童こくどうのメンバー、『さるかに合戦』の原本オリジンの所有者・柿原賢かきはらけんだった。



数日後、第七部隊と第五部隊は零席の指示で二部隊合同での曲芸団『茶釜』の所有する原本オリジンの調査を命じられた。


「零席も粋なことするよね桃井」


「気安く話しかけるな」


それぞれの異能隊員も二人の後に続いていた。


「曲芸団『茶釜』ってめちゃくちゃ有名なんですよ!」


桜は『茶釜』の大ファンであり非常に興奮していた。


「その茶釜ってのそんな凄いのか?」


「仁くん!茶釜って言うのは...」


桜が『茶釜』について熱弁していると第五部隊の特異隊員・猿川蓮さるかわれんが会話に入ってきた。


「お前らは今から愉快にサーカスを見に行くつもりか?原本オリジンの回収に行くのに呑気な奴らだな」


「こういう呑気な女がいるから女一括りで馬鹿にされるんだよね」


第五部隊の女特異隊員・雉羽絢香きじばあやか


「お前ら見たいな桃井の金魚のフン共には『茶釜』の魅了なんて分かんねーよ!なぁ桜!」


猿山・雉羽と桃井の視線の間には火花が散っていた。


「はい、お前達じゃれ合いはそこまで」


そんなこんなで二班は曲芸団『茶釜』の天幕に辿り着いた。天幕の外には長蛇の列が出来ており、大人気なのは一目瞭然だった。


「あっ言い忘れてたけど、『茶釜』の所有者が友好的で話の分かる奴だったら監視付きで原本オリジンの所有を認めるとの事だから」


長蛇の列に並ぶと嶽本たけもとが特異隊員に告げた。


「は!?原本オリジンを回収するのが任務だろ!?」


「桃井、ちゃんと部下には教えてあげないと」


「気安く話しかけるなって言ってるだろ」


「猿山くん、御伽守護隊おとぎは原本を回収するのがもちろん仕事だけど、人々の笑顔を守るのも仕事なんだよ」


「こんなに皆が楽しみにしている『茶釜』から原本オリジンを回収したら楽しみしていた人達から笑顔が無くなっちゃうだろ?」


「確かに...」


「ぷぷぷ!!そんなのも分かんねーのか!!」


「うるせー!!!!」


その様子を少し離れた列から見ている男がいた。


2時間後、やっと長蛇の列を耐え抜きチケットを提示すると入場券と引き換えに天幕の中に入り席に着いた。


「それでは皆さんお待たせしました!!『ぶんぶく劇』開幕です!!」


順調に進行していき会場は熱気に包まれていた。

御伽守護隊のメンバーも桃井と嶽本以外は声を上げて楽しんでいた。


「次は茶釜名物『大綱渡り』です!」


舞台の袖から茶釜が一口現れた。観客の視線が茶釜に集まった時、桃井と嶽本は静かに立ち上がると一瞬で舞台上の茶釜に武器を突き付けた。


「嶽本隊長!?」


「桃井隊長!?」


仁達も何が起こっているのか分からず混乱していた。

会場の観客達は演出だと思い更に歓声が上がった。


「おい、お前これはどういう事だ」


桃井が刀を突きつけながら質問した。


「なっなんだっちゃ!?」


「この入場時に配っていた券、最初は暗くて分からなかったが幻想栞だよな?」


「俺は知らないっちゃ!お前は今まで通りに芸をしてれば何も邪魔はしないと言われたっちゃ...」


「誰に言われた」


すると上空の綱にぶら下がる黒童こくどうの柿原の姿があった。


「まさか御伽守護隊の奴らが来てるとは思わなかった、キッキッキッキッ」


「誰だお前は」


「俺かー??」そう言うと原本オリジンを取り出した。


『序章 蟹裂き』


柿原の手が蟹の爪のような巨大なハサミに変形した。

上空に繋がっていた巨大な縄を切り落とす。


「ドーンッ!!!」


舞台に大縄が叩きつけられ砂煙が宙を待った。

観客達も異常事態に気づきパニック状態に陥っていた。


「お前ら観客達を避難させろ」


舞台から嶽本の声が飛んできた。


「流石に一度に全員は無理だがある程度なら」


観客席に居る人達の持っていた入場券が光出した。入場券は幻想栞だった。幻想栞は原本オリジンの力の一部を強制的に使用させる事が出来る異能器いのうきだ。

観客達がどんどん凶暴な猿や蟹の姿に変貌していく。


「この姿は!?」


先日、童波どうはの調査の時に果樹園で幻想栞の力で暴れていた奴と同じ姿だった。


「あの果樹園の人を凶暴化させてたのも、あいつって事か」


仁達は激しい怒りを覚えた。


「こいつは俺が相手する、桃井お前は観客達の方に行ってやってくれ」


「俺に話しかけるなと言ってるだろ」


桃井が観客席の方に向かおうとした時。


「大和久しぶりだね」


「!?」


舞台袖の暗がりから聞き覚えのある声がした。


「なんでお前がここに居るんだ」


舞台袖から元御伽守護隊 第七席・影山創が姿を現した。

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