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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

いーじー✕

作者: HORA

4月。僕こと竹林考問(たけばやしたかと)は電車で2駅離れた進学校の私立中学に入学。1クラスのみの特別進学クラス。小学校が同じだった同級生は一人もおらず、僕以外の同級生はどこかの小学校と塾の集まりのようで入学式の日から固まってグループを作っていた。


(ⅰ)いじめられる

僕のことをろくに知らない癖に僕の事を学級委員に推薦し、ことあるごとに用事を押し付けてきた。すぐにエスカレートし、頭を後ろから叩かれたり、持ち物を捨てられたりしたが担任の先生は僕以外の複数人の言う事を信じる。民主主義の闇である。ジャイアンとスネオのような見た目の2人のAとBが主犯格なのは見てとれる。あいつらは小学校の時にもイジメのような事をやっていたのだろう。非常に手馴れておりなかなか解決策を見いだせずにいた。

5月。この絡まった糸を切るために権力を使う。両親に相談の上、イジメの証拠を付けて教育委員会と学校長に現状を伝える。その翌日からイジメの段階が二つ下がる。進路指導・学年主任・担任に手が入ったのだろう。あからさまなイジメが無くなるだけではない。会話に入れずに無視したり遠ざけたりする事もイジメの一種になるので、輪に加わるという状態を双方に強制させられた。もちろんこちらとしてもイジメっこと絡むのは嫌なのであるが、1クラスのみなので3年間変わらないクラスメイト。こちら側もある程度は水に流して線を引き、これから対立しないようやっていくのが無難な解決の形なのだ。


(ⅱ)いじられる

6月。喉元(のどもと)過ぎれば熱さを忘れるというように、やつらのイジメの段階が一つ上がる。叩いてきたり無視したりといった直接的な物ではないが、僕の分からない小学校のネタで話しかけてきたり、僕が学級委員長だからと掃除を押し付けきたり、背が低い事を揶揄(やゆ)しネタにしていじってくる。担任もその現場を見聞きしていてもヘラヘラしている。こいつらも担任も全く()りてない。5月にあれだけ杭を刺したのに、6月にはもうこれなのだからこいつらは今後変わらないどころかまたエスカレートしていくのだろう。


(ⅲ)いられる

7月。僕は昼休みにAとBを含むクラスでのカースト上位達に校舎の裏に呼ばれる。

「お前はチクり癖があるからな。またここで言った事をどうこうするかもしんねーけどさぁ。マジ調子に乗ってんなよ。」

「そうそう。俺らがお前に手を出してないからお前はクラスで多少雑務をしておくだけでいられるんだからな。」

「俺ら小学ん時とかもっと凄かったよな。宿題とか全部やらせてたし。」

「万引きとかもさ「おいっ!」」

「あんまり余計な事言うなって。こいつチクリンだぞ。」

「あっ、ごめ…」

「とりあえずお前は今日から3年間俺らのパシリだかんな。」

「大丈夫だって、そこまで追い込みはしねーよ。クラスに置いといてやっからよー。」

「受験受かってココ入ってっからあまり派手にはやらねーから。わっはっはっ。……でもまたチクったら分かってんよな?」


(ⅳ)いれる

8月。AとBが夏の補習が終わった後の学校帰りに失踪するニュースが全国に流れる。僕の好きな女性アナウンサーがそれを報じていて何だか嬉しくなった。僕はとりあえずイジメを主導していたAとBが何とかなればいいかなと考える。2人にお金を渡すから誰にもバレないように自宅(ウチ)まで来てと頼んだらのこのこと自宅まで来た。そして2人を拘束し自宅の監禁部屋に入れる。僕はAとBに言う。

「お前らはイジめ癖があるから何度でもやるだろ。マジ調子に乗ってんなよ。…ふふっ。」

2人は格下と思っていた僕にそんなことを言われプライドが許さないのか最初は口汚く、反抗的な態度を取り拘束を解こうとガチャガチャと暴れていたのだがほんのちょっと拷問を始めると年相応の涙と弱音を吐いた。両親が監禁部屋に入ってくる。

「お。やってるな。お前ら運が悪かったな。いや。運が良かったのか?ウチの子は天才だからな。」

「凄いわ。考問(たかと)ちゃん。やっぱり私達の子供だけあって才能の塊ね。12歳で一気に2人だなんて。…えっと、もう7人でしょう。8人だっけ?」

AとBの2人の喉元に熱湯を流し入れる。Aの髪の大半を抜き、Bの口に入れ全て飲み込むように言う。Bの爪を20枚全て剥ぎ、Aの鼻の奥深くに全部入れる。僕が考えた100段階の内の1から始めていく。欠かせない多種の杭もある。何から入れていこう。


(ⅴ)いる

9月。今日から新学期。AとBはもちろん学校に登校して来ない。クラスではその行方が(もっぱ)らの噂になっている。でも僕はどうせクラスでは空気。ただいるだけなのだから余計な事は言わないし聞かれないし考えないし答えない。学校から帰りまず最初に手を洗い、うがいをした後にすぐに監禁部屋に入る。僕が考えた(略)の大半を終えた2人は1つになった。どちらの名前で呼べば良いかもよく分からない赤や青や黒の塊ではあるが命はぎりぎり繋いでいる。たぶん。


(ⅵ)る

10月。AとBだったものの異臭が気になってくる。僕の唯一の友達もこうなってしまっては後はいつも通りの仕上げだ。

殴る。蹴る。潰す。割る。()める。折る。(あぶ)る。切る。刺す。(えぐ)る。開く。(やぶ)る。広げる。分ける。採る。詰める。(そろ)える。()ける。


(ⅶ)

両親が動き、監禁部屋から一切が消える。きれいさっぱり。しかし、(いじく)るものが無くなり心の中にぽかんと穴が空く。両親に相談はしてみるがやはり口を揃えて代わりを見つけてくるしか無いとのことだ。次の候補はもう決めてはあるんだけどね。


()を抜き。()を奪い。()に剥き。(れい)すらも引き続け()作業。


長持ちさせることと楽しさを得ることは二者択一。体と命の総量は一定。

今後何十人、何百人とイジくろうが正解の比は決まらないだろう予感。


どう引いていくかは奥が深く、決して簡単では無いのだ。

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