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旅の途中

作者: 昂河

 バスの中から見える景色がなんだか懐かしい。始めて来た場所のはずなのに、見たことがあるような風景だ。

 狭い路地。立ち並ぶ家々。だからだろう、バスは歩行者を気遣ってゆっくり進む。

 どうして見たことがあるんだろうと思いながら、同時にこれは子供の頃に見た景色なのだと思った。

 今住んでいる場所からは離れていて、だからこの景色のように住宅街でしかなかった。都市の中心の駅や繁華街に辿り着くには、それこそバスで三十分以上。まして、まだ幼稚園の頃の思い出だから、自力でそこに行った事などなくて。

 自転車で行ける距離、幼稚園の送迎バスの中から見ていた風景は、今見ているのと同じものだった。たぶん。

 覚えているそれは、でももう通り過ぎた時間だ。それでもこうして似たような場所を見ていると、まるでタイムスリップでもしたような気分になる。

 初めて乗ったバスの中。循環バスに乗っているのは数人で、きっと自分以外は地元の住民だ。

 自分はただ観光に来て、目的が済めば日帰りで日常に戻る。似たような風景のはずなのに、今いる場所はにぎやかな場所にあまりにも近くて。

 同じように住宅街で、狭い道に家が立ち並んでいるはずで。それなのに、あの場所は別に昔を思い出したりなどしない。

 それはきっと、やっぱりあの辺りは自分にとっての今だからだろう。

 そんな事を思いながら、それでもタイムスリップしたままになりそうな自分を留めているのは、イヤホンから流れている、今だからこそ聞いている音楽だった。







         (2021年霜月 白蛇水神社に向かうバスの中にて)





昂河こうがと申します。

現在は小説家になろう女性向けR18サイトのムーンライトノベルズにて、オリジナルBL小説「偶然の幸運から始めよう」を連載中です。ラインタンクと呼ばれる重機ロボットが活躍する時代、その美貌からアイス・ブロッサムと呼ばれる青年セレン(受け)と彼に一目ぼれしたラインタンクのエリートパイロットダグラス(攻め)が繰り広げるラブコメディ。

他にはやはり小説家になろうR18サイトのミッドナイトノベルズに、オリジナル小説「ワールドエンドリターンズ(完結済み)」を置いております。全世界規模の戦争から数百年後の地球を舞台に、人型兵器と呼ばれるロボットのパイロットウィリアムとそのロボット専用OSのAIピュア、そしてウィリアムの双子の兄スチュアートとピュアの開発者ロバートの二組のカップルの恋模様を軸に進むヒューマンドラマ(たぶん間違ってないはず)。人間とAI、男同士の一筋縄ではいかない関係を楽しんでいただければ。

お目通しいただければ幸いです。




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