レイナ、合コン?に行ってみた 3
合コン?編、終わりの回です。
「わー、次、次、早くやろうよ!」
早くも最高潮な感じのサンノさんから催促の声が飛んだ。
コルクを一個ずつ引いて、せーのっ!で、みんな、そっと番号を確認する。
「やったー! 俺、王様ね~! よっしゃー!」
ノリノリのサンノさんが王様になった。
この人、大丈夫かな・・・どんな難題を出されるかかなり心配。
「じゃあね~、二番と七番は、俺の両隣に立ってかわいいポーズをする!」
「二人とも男だったらどうするんだよ。」
「コーリ、今日の俺は運が向いているから、絶対女の子だ!」
「お前、今日で一生分の運を使い切るんじゃないか?」
「ネイト、俺はそれでもいいんだ! 今日は楽しくやるぞ~!」
「「「おー!」」」
町長とネイトさんにいろいろ言われているけど、全然動じないサンノさん。
どれだけ、この合コン?に燃えているんだろう。
「さぁ、俺の二番ちゃんと七番ちゃんは誰かな?」
「はーい、私・・・二番です。」
「えー、マーヤ! そんな・・・俺のマーヤがサンノの生贄になってしまった・・・」
「七番は私です・・・」
ぎゃー、七番を引いちゃうなんて! でもリルと一緒でよかったかも。
「レイナ、ポーズを決めよう。 あの、相談するのでちょっとお待ちください。」
「どーぞ、どーぞ、いくらでも待ちますよ。」
ウキウキなサンノさんに声をかけて、二人で部屋の隅でコソコソと相談することにした。
「レイナは何か、いいポーズは知ってる?」
「ないよ~、全くないし、全然思い浮かばない! リルはどう?」
「そうねぇ・・・こういうのはどう? ごにょごにょ。」
「えー、無理無理無理無理、絶対無理!」
「だよね、私もできない。」
は? 自分もできないこと、提案しないでよ~、リルってば!
「ふふふ、じゃあ、こういうのは? コソコソ。」
「あー、まだその方ができるかも・・・」
「あのー、まだですかねー。」
さっきは、いくらでも待つと言ったのに、サンノさんから催促の声がかかる。
「じゃあ、これでいきましょうか、あ、サンノさんにもこうやってもらおうよ。」
「それ、いい! ではそれでいこう!」
私は覚悟を決めて、リルと一緒に、サンノさんのところへ行った。
「サンノさんの両隣に立って、でしたよね。
それと、サンノさんは両手を頭に持っていって、ネコの耳のようにしておいてください。」
リルがサンノさんに説明して、やってもらう。
私とリルは、手でこぶしを作って、ネコのようにした。
「では、レイナ、せーの!」
「「にゃん、にゃん!」」
「「「おー、かわいい~!」」」 「「あー、二人とも、かわいすぎー!」」
もう、布団をかぶって顔を隠したいぐらい恥ずかしいけど、みんなが喜んでくれているのは嬉しいかな。
「ちょーっと待ったー! これ、俺、二人の様子が全然見えないじゃん!」
「サンノ、今気が付いたのか? でも両隣って言ったのはお前だぜ!」
「・・・ち゛ぐじょう゛・・・」
ネイトさんの言葉に言い返せないサンノさん、ちょっと半泣き。
みんな、大笑いだ。
落ち着いたところで、次の番。
王様はまたリルだった。
「ふふふ、私がまた王様ね。
では、次はね~、五番と六番の人。
五番の人が執事かメイドになって、六番に声をかけてください。
セリフはあとでこっそり五番に教えます。」
「俺、俺が五番だ。」 そういうのはネイトさん。
「わ、私、六番です・・・。」 立ち上がったのはルミナだった!
「じゃあ、ルミナ、ここへ立って。
そして、ネイトさん、言ってもらいたいセリフはですね、ごにょごにょ、でお願いします。」
「ほほー、了解です。 ルミナさんの執事になって言うんですね。」
「そうです! よろしくです!」
何を話したのかわからないけど、リルもネイトさんも楽しそう。
ネイトさんは、ルミナのところに行き、向かい合わせに立った。
「ルミナお嬢様、おかえりなさいませ。 御用をお申し付けください。」
背の高いネイトさんは少し腰を折り、右腕を胸に当てて、ルミナの顔に少し寄せながら素敵な笑顔でそう言った。
ルミナの顔がどんどん赤くなっていく・・・ルミナが顔を手で隠した。
「キャー、夢に出てきそう・・・」
ルミナが小さい声でつぶやいた。
確かに! あれはちょっとヤバすぎる!
席に戻ってきたルミナを、リエナと一緒に迎える。
「頑張ったね! ルミナ!」 リエナが声をかける。
「夢を見る前に、今日は眠れそうにないわ~。」
ルミナはちょっとぽわん、としてる感じだ。
私はルミナの頭をなでてあげた。
「それでは、最後の引きにしましょうか。」
リルの言葉で、みんな気合が入る。
「わー、私が王様だよー。」 そう言ってはしゃぐリエナ。
『何を言うんだろう』と、みんなが見守る中、リエナの言葉が響いた。
「えーと、三番の人は四番の人に『好きです!』と告白をする!」
な、なんてことを言い出すの! リエナ!
私は自分の番号をもう一度確認した・・・よかった、五番だった。
「俺、四番だ。」 立ち上がったのは、町長だった。
「わたしです、三番です。コーリヒト様に告白できるのね!」
変な高い声がしたかと思ったら、サンノさんが立ち上がった。
いきなり、もう寸劇が始まっている・・・。
「お、おまえかぁ、相手は・・・」
町長がサンノさんを見て、後ろに後退る。
サンノさんは、手を胸のところで組んで、目をパチパチさせている。
イケメンなサンノさんがやると、ちょっとかわいいところが解せない・・・。
突然、町長が叫んだ。
「マーヤ、俺はこれから告白を受ける・・・そんな俺を許してくれ!」
「リルマーヤ様、コーリヒト様のことはわたくしにお任せください!」
酔いが回ってるのか、町長もノリノリだよ。
サンノさんも合わせているし、この二人、打ち合わせしてきたかのようだ。
「リヒト、言ってることはめちゃカッコいいのに、やってること、変だよね~。」
リルが笑いながら言ってきた。
「ダメだよ~、そんなこと言ったら。 あの二人、大真面目なんだから!」
「あはは、そうだね。
でも、リヒトもこういうことにノルとは思わなかったな。」
「町長、いいことも悪いことも騎士学校時代に教えてもらったって、前に言ってたから、いろいろ経験してきてるんじゃないのかな。
それにサンノさんも同じ騎士学校なんでしょ?
こういうことって合わせやすいのかもしれないね。」
「そうなんだ。 ふふふ。」
リルはこういうノリの町長を見るのは初めてみたいだけど、その目は嬉しそうだ。
まったく、夫婦なのに恋する乙女みたいな顔しちゃって!
「コーリヒト様、わたくしは、前から・・・ずっと前からあなたをお慕えしておりました。
好きです! 私の愛を受け取ってください!」
「サンノ、うれしいぜ。 俺も好きだぜ!」
そう言うと二人はがばっと抱き合った。
うわー、イケメン二人が抱き合うなんて・・・なんか、違う意味でいいかも・・・。
「いーぞー、サンノ~。」
「コーリさん、がんばって!」
男性陣二人から声援が飛ぶ。
女性陣は大笑いで、言い出したリエナは涙を拭いている。
「そこで誓いのキスを!」
ネイトさんが更に煽った。
「「そこまではしないぞ。」」
町長とサンノさんが息ピッタリでネイトさんに言って、寸劇が終わった。
こうして、大笑いの渦の中、初めての合コン?は幕を閉じた。
◇◆◇
合コン?のその後、私たちに変化があった。
まず、リエナ。
『頭を撫でた感じがかわいかった』と、デュークさんと順調に仲を深めている。
今度、二人でご飯を食べに行くと言っていた。
うらやましいよ、リエナ。 絶対応援したい!
ルミナは、特別目立ったことはないが、リエナによると、ネイトさんの役場巡回が絶対増えた!と言っていた。
ネイトさんは、見廻り中、役場に寄って受付のルミナに必ず声をかけるらしい。
受付だから他の人にも変に思われないし、でも確実に話せるし、と、リエナはネイトさんに感心していた。
ルミナはこれからが期待だね!
そして、私はと言うと・・・何もなかった。
合コン?の中の男性だと、あとはサンノさんがいるけど、憶測伯爵勘当息子はちょっとお断りかな。
私はまた、新しい出会いを求めて頑張るわ。
合コン?は楽しかったし、女の子四人の絆がもっと深まった感じ。
それだけでも、今回はすごく良かったよ。
さぁ、次はどんな出会いがあるのか楽しみに、今日も一生懸命働きます!
読んでくださり、ありがとうございます。
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