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リルマーヤの一日 2

前回の続きです。


ウェインとロッテと三人でリヒトの出勤をお見送りしたら、私の時間。



今日は市場が立つ日ではないから買い物は行かなくてもいいかな、天気がいいから洗濯をしよう。

この世界の洗濯機は、ちゃんとあるのだ!

洗濯板でゴシゴシやらなくちゃいけないかと思っていたから、すごく助かる。

風呂桶の小さい版のような桶に、ちゃんと石路が通っていて、水の魔法陣で水をためて、風の魔法陣で水流を作れるようになっている。

仕上げは水を抜いて風を送れば脱水もしてくれる。

自動でやってくれるわけではないので、自分で止めて水を抜いたり、ためたりしなくちゃいけないし、全自動洗濯機の存在を知っている身としてはここが、あそこが、もうちょっとこうなれば、とも思うけどそれでも便利だ。


洗濯機の様子を見ながら、お皿を洗ったりゴミをまとめたり片付けをしたりする。

洗濯物を干したら、次はお掃除。


私はお掃除があまり好きではないのよね。

せめて、掃除機があればよかったのに・・・。

掃除に関しては、無理はしない。 あれもこれもとやろうとすると嫌になっちゃうから。

一日二か所ぐらいずつ、自分をごまかしながら掃除をするのが私には合っている気がする。

今日はリヒトたちがいないから、二階の仕事場とリヒトの部屋の掃除をする。


とりあえず、はたきを作ったよ。

布を切って棒につけて、というだけのモノなんだけど。

はたきでバシバシ叩いて調子をとりながら、歌ったり、時々踊ったりしてなるべく楽しく掃除をする。

そのあとは箒で履いて、テーブルを拭いて終わり!


仕事場は物があまり置いてないから掃除も楽でいいんだけど、問題はリヒトの部屋・・・。

置いてあるものは少ないんだけど、落ちているモノが毎回ある。

リヒトの部屋に入って見渡してみる・・・ぎゃっ、何? あの黒い物体は・・・。

恐る恐る近づいてみる・・・あ、靴下だ。 もうビビッて損した!

今日は靴下だったね。 あら?片方しかないけど、もう片方はどこへ行った?

こういうところが男の子っぽいよね。

この前はタオルが置きっぱなしだったし、その前は服が脱ぎっぱなしだったし。

可愛いというか、手がかかるというか、リヒトの部屋に入ると私はお母さんになるよ。


リヒトの部屋も掃除をしたら今日のノルマは終わり!

お昼の準備までの間はちょっとゆっくりしちゃおう。

紅茶をいれて・・・あー、茶葉が少なくなってきている。

この茶葉は侍女のジゼルが持たせてくれたのよね。 私が好きな紅茶だからって。

彼女は元気かな・・・いつも一緒にいてくれたジゼル。 やっと彼女のいない生活に慣れてきたところ。

ジゼルに送ってもらうよう手紙をだそうかな。 この町でも好きな香りが見つかればいいんだけどな。

近況報告も兼ねて紅茶を送ってもらうお願いの手紙をジゼルに出そう。



「リルマーヤ様、お昼ご飯は何を作りますか~? ピザの生地を作りましたけど、それでいいですか~?」


あ、もうこんな時間! ロッテがお昼の用意の手伝いに来てくれた。


「はーい、ありがとう、ロッテ。 あとはジャガイモを茹でてあるので、ニョッキを作ってチーズクリームソースを作ろかと思って。」

「いいですね。 ピザには何を乗せましょうか?」

「えーと、ベーコンがあって、トマトと玉ねぎとほうれん草でいいかな。 トマトソースもあるよ。」

「十分です。 それにチーズをかければ上出来ですよ。」


二人で手分けして作っていく。 私もなかなか手際が良くなってきたじゃない?

お昼ご飯はロッテも手伝ってくれるから頼っちゃう。

前の世界の時は、お昼ご飯は食べに行くか、買って食べるか、という外食系だったので、お昼ご飯を作るっていう習慣があまりなかったのよね。

一日三食、毎回一人で作るとなるとちょっと大変だけど、お昼ご飯だけでも手伝ってもらえると本当に助かるのよ。


「ただいま~、お腹空いたよ~。」


ふふふ、リヒトはお昼に帰ってくると毎回同じセリフ。 自分では気がついていないみたい!


お昼はロッテ達も一緒に食べる。 ロッテがいるから会話に困らない。

今朝はどうだった、から始まって、あそこの○○さんが、とか向こう側の△△さんが、というどこでどう仕入れてくるのかと思うほどの地域情報を教えてくれる。

小さい町だから、というのもあるだろうけど、おばさまたちの情報網は素晴らしいわ。



ロッテが片づけを、ウェインがリヒトの馬の準備をしてくれている間に、私はリヒトのお昼のお見送りをする。

この前指輪交換をしたあとからリヒトは、私の額にキスを落としてくれるようになった。

リヒト曰く、これがあるとないのでは午後の頑張りが違うらしい。

ふふふ、私もその気持ちはわかるよ!

じゃあ、私もほっぺに、って言ったら、リヒトの顔がみるみる赤くなって・・・

「それはまだできないっ!」

だって。

リヒトはされる方なので、だまってされていればいいのに、今はまだダメらしい。


リヒトは奥手なのに真面目だから、たまにこっちが赤面するようなセリフや行動を直球で投げてくるから困るよ。

それ、自分でやっていて恥ずかしくない?! とツッコみたくなる。

けれど、言った本人は何が恥ずかしいのかわからないみたいで、なんだ? みたいな顔をして、私ばかり赤面しちゃう。


先日は、料理をしている途中でビンの蓋が開かなくてうんうんうなっていたら、『開かないのか?』と言いながら後ろからリヒトが来て、私を抱えるように腕を回して、まるで二人羽織みたいにして、蓋を開けてくれた。

な、なんじゃー!と思って、私は後ろも見れずにボソッと『ありがとう・・・』と言っておいたけど、リヒトはそのまま何事もなかったかのようにリビングの方へ行ってしまった。

あの時はびっくりしたけど、そのあとリヒトはソファに座って頭を抱えて悶えていたから、あとになってじわじわと恥ずかしさがこみあげてきたんだと思う。

そういうリヒトを見るのは可愛くて、楽しい!


さて、今日の午後はまったり時間・・・になる予定だったけど、お酒屋さんが頼んでいたお酒を持ってきてくれて、畑を手伝ってくれているグランさんが野菜を届けてくれて、郵便屋が来て、近所の方がお花の苗を持ってきてくれたのでみんなで一緒に庭に植えて、洗濯物を取り込んでたたんでいたら見知らぬ行商のおじさんが来たので、ロッテを呼んで一緒にお断りをして・・・。

そんなことをしていたら、あっという間に夕ご飯を支度する時間になってしまった。

来ない時は誰も来ないのに、今日はなぜか次から次へと客人がやってきた。



私のまったり時間を返して~。




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