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リルマーヤの一日 1

いつものごとく、のんびり投稿です。


番外編は、思いついたことを載せています。

時系列がバラバラになっています。 すみません。


今回は本編『30.一世一代 コーリヒトのけじめ』の日のあとのお話です。

リルマーヤ視点になっています。

今回も長くなってしまったので、3回に分けました。


お読みくださる皆様には感謝しています。

楽しく読んでくださると嬉しいです。



ある日の夜、私は一人自分の部屋でベッドに横たわりながら、この前のことを思い出していた・・・。



先日、魔石のリングを受け取りに行った後で、私はリルマーヤだけどその心は別の人間なの、とリヒトに告白した。

ギリギリまで悩んで結局伝えたんだけど、まさかあんなに素直に受け入れてくれるとは思わなかった。

何も言わずに受け入れてくれたリヒトの懐の深さ、というよりは、私の今までの奇行に納得がいった、という感じだったけど。


私ってそんなに変だったのかなぁ・・・時々こっちの世界では使わないような言葉を言っちゃうし、私の作る料理はほとんど前の世界の知識だから、変に思うのも当然か!

でも、ちゃんと伝えてよかったな。

リヒトが私のことを信じてくれたっていうことが嬉しいし、何よりリヒトには何もウソをついていないということで気持ちが楽になった。

リヒトとは何事もちゃんと話し合える二人でいたいもん。


それにしても、あの時のリヒトはカッコ良かったな~。

剣を持って誓いの言葉を言ってくれるなんて、もう、映画みたいじゃん!

キャー! カッコ良さ、増し増しだったよ。

そんなことを思いながらベッドの上で枕を抱えてゴロゴロしていたら、部屋の続き扉がノックされ、扉越しに声がした。


「マーヤ、大丈夫か? なんか、声がしたけど・・・」

「あ、大丈夫です。 騒いじゃってごめんなさい。」

「大丈夫ならいいんだ、もう寝ろよ!」

「はい、おやすみなさい。」

「おやすみ~。」


おっと、いけない、いけない! 声が漏れていたみたい。 気をつけなくっちゃ。

こんな風に、リヒトは私を気遣ってくれる。

リヒトよりリルマーヤの方が年下なんだけど “私” としては年上なので対等のような話し方になっちゃう。

リヒトは、私の接し方は全く気にならないみたい。


だけど、日ごろはあまり感じないけど、ここは!っていうところでリヒトは頼りになる感じがする。

年下っぽい感覚だけど、でもいざという時はリヒトに任せておけば大丈夫、という安心感がある。

あんな告白をしたあとだからリヒトの態度が気になったけど、今までと全く変わらず接してくれた。

そういうところも、本当に尊敬しちゃう。


ベッドで横になっているので、腕を天井の方に上げて手の甲を見る。

左手の薬指には指輪が光っている。

全然実感がないけど、私、結婚したんだな・・・。

もう結婚して一緒に住んでるけど、気持ちとしては結婚を前提としたお付き合いをしているって感じ。


この前、リヒトは私に惹かれているよって言ってくれたけど、私もリヒトにだんだん惹かれているよ!

でも恥ずかしいから、本人にはまだ面と向かって言えないっ。




◇◆◇




一日の始まり。 朝は早く起きる。


人間ってすごい! 毎日同じ時間に起きていると、目覚まし時計がなくても同じ時間に目が覚めるようになる。

とはいえ、私は目覚めと同時に起きて行動する、なんてできないからもうちょっとお布団の中でぐずぐずしていよう。


そんな私に対して、リヒトは朝から元気だ。

さっき、隣の部屋でごそごそ音がしていたから、もう起きて町の見回りを兼ねたランニングと剣の素振り(“朝練”と私は呼んでいる)に行ったみたい。

朝からスパッと起きて、ササっとランニングに行っちゃうなんて、私にはできないことだわ。


帰ってきたらすぐに朝ごはんが食べれるように作らないといけないから、適当に起きなくちゃ。

夫より遅く起きる妻なんてリヒトには申し訳ないけど、でもこのまどろみの時間がなかなか大切なのよ!


今日は火の曜日だからリヒトは役場に出勤する日ね。

この世界の曜日は一週間が七日でほとんど前の世界と同じだけど、木曜日は風、金曜日は聖の曜日になる。

魔石の属性に合わせてあるみたい。


それと、一カ月は毎月30日間と決まっている。

ただし、8月はなんと、35日もあるのだ。

そして、四年に一度12月31日があり、その日は盛大にお祝いする。

この世界は前の世界と同じみたいだけど少しずつ違うところがあり、私には興味深かったりする。


話がそれちゃった。

とにかく今日はリヒトが出勤する日。そろそろ起きて朝ごはんを作らなくちゃ!

えーと、とりあえず昨日の残りのスープを温めて、それとサラダと、あとはベーコンを焼いて。

パンを石窯で温めておかないと。


この石窯、すごく重宝しているよ! 設置してもらって良かったな。

私はこの石窯に親しみを込めて名前を付けた・・・『ブオーノ君』と呼んでいる。

先日、ロッテと一緒にお昼ご飯を作っているときに、

「ブオーノ君に料理を入れて温めて!」

と言ってしまって、ロッテにはすごく変な顔をされた。

リヒトにも、名前を付けたと言ったらすごく笑われちゃったし。

でも、いつも使うモノには愛情がわいて、名前を付けたくなるよね!


リヒトが帰ってきて汗を拭いている間に、私は朝ごはんをテーブルに準備する。

そしてやっとリヒトと顔を合わせる。



「おはよう、リヒト!」

「おはよう、マーヤ。」



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