レイナ、合コン?に行ってみた 1
『つまり、俺が彼女の夫でして』の番外編です。
本編 37.レイナ・シアーズ のお話のその後です。
レイナ視点になります。
3回に分けて投稿します。
よろしくお願いします。
本編は完結しています。
本編をお読みになっていただいた後で、番外編をお読みください。
本編・・・https://ncode.syosetu.com/n0971il/
よろしくお願いします。
「レイナ、ちょっといいか?」
「何ですか? 町長。」
夏も本格的に始まった暑いある日。
そろそろお昼休憩に行こうかと思っていた時に、役場に出勤していた町長から呼び留められた。
「この前、マーヤとお前たちが一緒に会ったときに、警ら隊を紹介して欲しいって言ったんだって?」
「え?! あー、そのお話ですか。」
リルのヤツめ! もっとこう、ぼんやりとごまかして言ってくれればいいものを、直球でお願いしたんだ!
「いえ、あの、先日警ら隊の方が来て町長とお話したんですって?
私はっ、知らなかったんですけどっ! 他の二人がその様子を見て、もしよければ警ら隊の方とお近づきになれればなーなんて、他の二人がっ!ちょっと言ってたんですけど・・・。」
「ああ、それでマーヤがいろいろ考えて “合コン” とやらをやろう、ってことになった。」
「合コン!・・・って何ですか???」
「いや~、俺もよくわからないんだが・・・マーヤによるとだな、男女同じ人数を合わせて一緒に飲んだり食事をしたりして親睦を深めることらしいぞ。」
「へぇ~・・・えっ、男性と飲んだり食べたりですか?」
「ああそうだ、女性側が四人だから男性側も四人集めるとして、俺とネイトは決まってるだろ、あとの二人の人選も、ネイトに警ら隊でお願いしてあるから身元は大丈夫だし、大勢だから問題ないだろう。
どうかな? マーヤは結構乗り気だったけど。」
「・・・行きます、やります! 他の二人にも連絡しておきます!」
ルミナとリエナも絶対行くと思うし、どうしようか迷ったら説得して見せる!
「じゃあ、決まりだな。 日にちは1か月後ぐらいを予定しておいてくれ。
店とかも決まったらまた連絡する。」
「よろしくお願いします!」
これは楽しみになってきたよ!!
◇◆◇
「ねえ、服は変じゃない?」
「かわいいよ、ちょっとリボンが曲がってる・・・これでいいわ。」
リエナもルミナも、気合入ってるね!
ついにこの日がやってきた。
私たち女性四人は、待ち合わせをして一緒にお店に向かう。
合コン? に、いざ行かん!
「マーヤ! ここだ!」
「リヒト、お待たせ~!」
お店の外で町長と警ら隊の二人が待っていた。
もう一人はまだ来ていないみたい。
「マーヤ、ここはすぐにわかったか?
待ち合わせなんて初めてだから、なんか楽しいな。」
「ふふふ、そうだね、待ち合わせって初めてだったね。」
「おいおい、そこ! 二人の世界に入らない!
全く、コーリがこんな風になるとは誰も思わなかったよな。」
「なんだよ、ネイト、こんな風ってどんな風だよ。」
こっちの人がネイトさんかぁ、確かに爽やかな風が吹きそう。
町長と二人でじゃれ合ってる姿は、目の保養になるわね。
そう思っていると、少し遠くから声が聞こえてきた。
「お待たせ~、みんな、揃っているみたいだね。」
「へ? なんで・・・お前がここに来てるんだ? どういうことだよ、ネイト!」
「コーリ、ほんと、ホントにすまん! 俺の失態だ!」
「何を言ってるのかな、コーリヒト君。
女性の方々、お待たせして申し訳なかった。 さぁ、お店に入ろうか。」
まるで自分がこの企画をしたかのように、彼の先導でお店に全員入る。
最後に遅れてきた彼は、これまた美形な男性だった。
所作は紳士的なんだけど、醸し出す雰囲気が・・・チャラい、非常にチャラいという不思議な人だった。
町長ともお知り合いみたいだから、悪い人じゃないみたいだけど。
リルがお店の人と話をしている間に、私たちは少し広めの個室に通されて、男女向かい合わせで座った。
ほえ~、めっちゃ緊張する! なに、この質の高さ! 全員かっこよくて、全員剣の腕も立つ(警ら隊だから剣もできるよね?)、スゴイわっ!
私たちは大丈夫かしら・・・ううん、私たちだってリルを筆頭にみんな、可愛いよね!
と、そこへリルが戻ってきた。
「お酒は白ワインと赤ワインを頼んであります。
一杯目は全員白ワインにしちゃったけど、それでお願いします。
お料理も、もう頼んであるので順次出てきます。
じゃあ、乾杯の音頭は町長のコーリヒト様からお願いします。」
「お、俺? “おんど”ってなんだ?・・・まぁいいか、了解です。」
リル、すごい手際の良さだわ~。
こういうことって、やり慣れているのかしら。
グラスに入った白ワインが全員に渡されて、町長が話し始めた。
「えー、今日は皆さんお集り頂きありがとうございます。」
「コーリ、硬いよ~。」 チャラい人から突っ込まれた。
「サンノ、うるさいよ。 今日は楽しく過ごしましょう。 乾杯!」
町長の言葉でみんな、グラスを掲げた。
そのあと、向かい合って座っていた町長とリルが、グラスをカチンと当てた。
え? 乾杯ってそうするの? そんなこと初めて見るけど・・・。
みんな、不思議に思った顔をしていたけれど、右に倣えでそれぞれ向かい合った人とグラスをカチンと当てた。
く~、ワインが美味しい!
「ネイト、なぜサンノがここにいるのかちゃんと説明してくれよ、それを聞かないと始まらない。」
町長が、サンノさんと呼ばれた人をにらみながら、ネイトさんに話しかけた。
「だよね、これはホントに俺が悪い!
俺さ~、この話を聞いたすぐ後に、ちょっと実家に帰る用事があってコンハートの町に戻ったんだ。
その時にたまたまサンノに会ってさ、俺、この会のことをコイツに自慢しちゃったんだよね。
そしたら、サンノの目の色が変わって『絶対行くから、人数の一枠は俺にしろ』って言われて・・・」
「それからの俺の行動は早かったよ~。
勤務を調べたら、ちょうど今日は早番でよかったんだけど、明日が日勤になっていてさ。
他のヤツらの勤務を見たら、ちょうどヤッチが休みでさ~。
ヤッチに『お前、代われ』って言って、明日の休みをもぎ取ってきたよ。
俺は運命を感じたね、だからネイトは何も悪くないぞ!」
「ヤッチか~、じゃあしょうがないな。」 と、町長。
「そうだね、ヤッチじゃあなぁ、それは来るしかないか。」 ネイトさんまで!
え? ヤッチさんって方、知らないけど、そういう扱い?
「ヤッチさんって、リヒトたちの後輩で、すごく可愛がられているの。」
え? リル、今の会話から、どういったらそういう考えになるの?
え? 可愛がるって意味、あっち系?・・・この話はこれで終わりにした方がいいわね。
読んでくださり、ありがとうございます。
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