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インターハイから始まる異世界転生(1)
僕は桐生彦根。高校三年生の一流アスリートだ。
陸上インターハイの常連で、今年も当たり前のように国立競技場に来ている。
100メートルで名を馳せているが、他の陸上競技は勿論の事、過去にはサッカーなどでもそれなりの実績をあげている。
要は走るだけの男ではない。
今、まさにスタートラインに並び、スタートのピストルが鳴ろうとしている。
「位置について!」
「よーい・・・」
「バーン!」
乾いた音が立ち、僕は直ぐに体を引き起こす。
周りの時間がゆっくりとなるのを感じる。まるでスローモーションのようだ。
いわゆるゾーンと呼ばれるものに入ったのかも知れない。
『ゾーンではありません。』
光の中から誰かがしゃべった。
『貴方を異世界に転生します。』
「!?」
学校レコードレベル位なら出せましたが、その程度ではインターハイでさえとても無理でした。