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ひきこもりから始まる異世界転生(2)
僕はヒッキー。60歳の自宅警備員だ。
かつては家族が無理やり僕を外に出すために、ネットを使えないように画策した事がある。勿論、そんな暴挙は全力で阻止したが。僕は本気を出したら凄いんだ。
昨日はどうも長い夢を見ていたようだ。それも悪い夢だ。せっかく転生出来たのに、この僕の才能をいかせない世界なんて。そんな不条理があって良いのだろうか?いやそんなのはあり得ないだろう?
今の収入は90歳になる父親の年金のみ。1日に食パン2枚という生活を送っている。その綱渡りの生活もいよいよカウントダウンに入ってきた。父親が老衰で亡くなったときには手元に数万円の現金しかなく、葬式も出せずに遺体を放置する事になるだろう。
なんだか部屋が明るくなって来たので、そろそろ夜明けなのかもしれない。
今日も一日、世界の行く末を憂えた自分の事を自分で褒めてあげよう。
何時になったら本気を出すの?
今でしょう!