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金持から始まる異世界転生(1)
私の名前はビル・ゲルゲ。
石油王ではないが、それなりに金持だ。日本の国家予算さえ凌駕する莫大な個人資産を駆使すれば、この世界を動かす事だって出来るだろう。
成り上がりの切っ掛けは、ただ同然で買い叩いたソフトの転売だった。クソみたいなソフトなのにこれが大当りしたのだ。更に運が良いことにこのソフトが国策で世界標準になった。当たり前のようにもっと良いものがあったのだが、作ったのが弱小国だったので経済圧力で握り潰してくれたのだ。勝てば官軍。このカーストが変わることは自分が生きている内は無いだろう。
今、世界は大きな戦争に突入しようとしている。リアルタイムに衛星経由で送られてくる画像の一つには、第5世代戦闘機からのフレアと狙い打つファランクスの弾幕が映っている。その閃光が90インチの8Kモニターに拡がった。
『フレアでもファランクスでもありません。』
光の中から誰かがしゃべった。
『貴方を異世界に転生します。』
「!?」
ベストよりベター。
求めすぎない事も大切です。




