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修行から始まる異世界転生(1)
私の名前は小林明菜。
秘境の山奥にある少女U寺で狸囃子に唄われた三十六房の修行を修めている。高野山や比叡山とは別の一派だ。
現代の達人達は皆、保護されている。よって私達が表の舞台に出ることはない。
修行には蝋燭や鏡を使ったものがある。現実と幻を見極める為のものだ。だけど私は惑わされない。今、目の前にいるチャイナ服の少女は幻だ。
『幻ではありません。』
幻がしゃべった。
『貴方を異世界に転生します。』
「!?」
・・・
とある寺院の門の前。籠の中に私は入れられていた。
この空気の薄さ、冷たさからすると、高度4000メートルは下るまい。日差しが強く、雲も遥か下に広がっている。
「どうやってここまでたどり着いたのか?」
「これは神のお導きか?」
「目の力が明らかに違う。」
「この歳でこちらの言葉を理解しようとしているのか?」
「・・・」
「育ててみれば分かることだ。結果が全てを物語る。」
幼少の頃、うち一つに登山靴にアイゼンを着けて登りました。氷っているので通常装備では無理。




