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メイドで始まる異世界転生(1)
「ごめん下さいまし!家政婦紹介所から参りました、市原と申します。」
私の名前は市原秋子。ベテランの域に入った家政婦だ。
見たところ敷地は軽く100坪を越えているようだ。庭の芝は綺麗に手入れがされている。松の木もあるから庭師は通いで3人といったところか。他人事ながら水撒きの水道代が気になるが、あそこに井戸が見えているから、地下水を電動ポンプで汲み上げているのだろう。
屋根や装飾は贅沢に銅板を使っているのか。既に緑青色の良い感じを醸し出している。
屋敷の造りは予想通り総檜。襖を開けると全ての部屋が繋がるのだろう。今時珍しい、良い造りの日本家屋だ。
家政婦には保守義務がある。前の家庭では、その欺瞞ぶりに我慢が出来ず、洗いざらいぶちまけたところで首になってしまった。反省はしているが、後悔はしていない。
今日も紹介所に戻ったら家政婦仲間と暴露大会だ♪
保守義務って何ですか?
ここだけの話って何ですか?
そんなのを信じるくらいなら、サンタクロースを信じた方が夢があって良いです。




