表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実から始まる異世界転生  作者: たまがわ むさこ
現実から始まる異世界転生
1/56

ひきこもりから始まる異世界転生

僕の名前はヒッキー。

28歳の自宅警備員だ。


お気に入りの異世界転生ラノベを読み返しては、僕の才能を生かせていないこの世界はクソゲーだといつも思っている。


「こんな主人公達じゃなくて、僕を転生させてくれさえすれば、もっと上手く世界を救ってみせるのになあ。」


なんだか部屋が明るくなって来た。

もうそろそろ、夜明けの時間なのかもしれない。


今日も一日、世界の行く末を憂えた自分の事を自分で褒めてあげよう。


『夜明けではありませんよ。』

光の中から誰かがしゃべった。


『貴方を異世界に転生します。』

「よっしゃ、キター!」


新しく産まれ落ちた場所は、王都ではないが地方の都市のそこそこの街だった。村でなかっただけましなのかも知れないが、転生ものにしてはなんだか中途半端だ。


産まれた家も王族どころか貴族でさえなかった。それでもそこそこ裕福な商家で、ろくに働かなくても美味しいご飯が食べ放題だったから、奴隷スタートよりは遥かにましなのかもしれない。


これは所謂成り上がり系なのだろうか?

功績を上げ、有名になって、可憐なお姫さまをゲットだぜ!


慎重な僕は焦らずじっくり時期を待つ。"焦る乞食は貰いが少ない"、って言うからね。


成人になった僕は、満を持して今立ち上がる。


先ずは街の近衛兵になるべく門を叩いた。ここから僕の英雄伝説が始まるのだ。


・・・そして見事に、試験に落ちた。


剣術って何?

才能があれば訓練なんてしなくても、チートで無双出来るものじゃないの?


帝国法って何?

地理、歴史、経済、社交マナーにその他諸々。

こんなのが試験に出るんだ。


調べる処か、気にしてさえいなかったから、今初めて知ったよ。


こんなの勉強したって無駄!

僕のラノベの知識の方が絶対に有用に決まっている。


そうだ、冒険者ギルドだ!

異世界無双のスタートなら、やっぱりここからだ。

僕としたことがテンプレを忘れるなんて、本当にうっかりさんだったよ。


僕は颯爽と冒険者ギルドのドアをくぐった。

さて、一番美人さんのいる受付は何処だろう?


数分後・・・

テンプレの新人イビりにボコボコにされて、僕は家へと逃げ帰った。


そしてまた、異世界でもニート生活が始まる。

親がそこそこ裕福でいてくれてありがとう。


挿絵(By みてみん)

本気を出すなら、異世界へ行く前に。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ