ことの発端-終-
「…….ん…ふゎぁ……ん?」
朝6時に起床した舜はなにか違和感を覚えた。
いつものことだけど、本当どうにかしてほしい!思春期男子高校生だぞ!?しかも朝だよ!色々とまずいって。あえて言わないけど色々。
「おい、義姉さん!むにゃむにゃ言っててなんも起きないじゃん。てか、これ起きてるのにむにゃむにゃ言って誤魔化そうとしてるんじゃないよな……」
「…ぉ…き…むにゃむにゃ………て………ない…よ……」
いや、喋ってるよ!会話成立してるよ!寝ぼけてたとしても辛うじて起きてるよ!はぁ…もうこの義姉だれかもらってくれねえかな。
「まぁいいや、朝ご飯作ろっと。あ、弁当もだわ。料理できる人増やしたい…」
文句を言いつつもなんだかんだ朝ご飯、昼食のお弁当を作り終えた。
ちょうどいいタイミングで零華と姫良が起きてきた。
「おはよぉ…」
「みんなおはよ!」
なぜか姫良だけいつも朝からテンションが高い。本人は普通だと思っているらしい。
「おはよう……義姉さんは…あ、きた」
「ぉ……はよ…」
広愛は姫良とは違い、いつも朝はテンションがものすごく低い。
オレと一緒に寝ないと普通なのに一緒のベッドにいる時はいつもこうなる。理由は読者の皆様に任せるとしよう。うん、それがいい。
「オレはもうご飯食べて準備終わってるからみんなもはやくな」
「「「はーい」」」
全員の支度が終わり、一緒に高校へと向かう。一緒に行くのに抵抗があった舜も今では慣れたのか、なにも気にすることなく登校している。嫉妬や羨望の眼差しはいつものことである。
こいつら現実と理想じゃなかなかちがうこともあることを知らんのか。
ため息をつきながらも4人で雑談をしながら学校についた。
教室に向かう途中でイケメンが黄色い声をかけられている。
あいつほんとに人気で羨ましいわい、あー、妬ましい妬ましい!
イケメンがこちらに気付いた。
助けてほしいそうにこちらを見ている。
よし、教室に行こう。
「おい!舜!無視するなぁぁぁ!!!」
あのイケメンの友達の舜ってだれだ?さぞかしかっこいいであろう。オレではないな。
しばらく無視しているとニタニタと嫌な笑みを浮かべながら向かってきた。
「神谷舜!……もしかして嫉妬か?」
「ちげえよ!このイケメン!モデルにでもなって人気になって街中あるけなくなってしまえ!!!!」
「いや、もうそれ10割褒めてるから。確かに街中歩けなくなるのは嫌だけど褒めてるようなものだから。」
嬉しそうな顔でつっこんでくる。
まぁ嫌いじゃないし、素直に褒めてるんだけどね、街中歩けなくなるくらいの代償は払ってほしいよね。
「まぁとりあえず教室入ろうぜ」
一緒に教室へ向かってくれることが嬉しかったのかニコニコしながら隣を歩いてる。
「「おはよう!」」
「おはよ〜、夕鈴くんに舜くん」
そう、このイケメンは高校で初めてできた親友とも言える瀬奈夕鈴という。なんというか、とにかくさわやかで茶髪がとても似合っている。サッカー部に所属しているが、1年からすでにレギュラーとして試合に出ているとか。成績も毎回上位である。
神様のステータスの振り方を教えていただきたいよ、まったく。
ちなみに挨拶を返してくれたのは花巻愛美。誰にでも分け隔てなく仲良くできるクラスの人気者だ。気配りもできてなかなかモテる。
「おはよ!」
「おはよう」
愛美は不思議そうにオレ達の後ろやらをみている。
「どうした?」
「零華ちゃんと姫良ちゃんはどこかなぁーっと思って」
なんだそんなことか。後ろになんかいるのかと思っちゃったよ。
「あいつらなら義姉さんと3人でどっか行ったぞ。トイレとかじゃないか?」
「そっか!珍しいなと思ってね」
まぁ確かにいつも一緒ってイメージは強いのかもしれないな。
しばらくしてから零華も姫良も教室に入ってきた。
ちょうど同じタイミングで担任の先生も入ってきたようだ。名前は早川沙由里。まだ24歳と若手ながら時に厳しく時に優しくと、生徒から信頼され慕われている。
「おはよう!SHRするから席につけよー」
オレもこの先生を尊敬している。色々と理由はあるが、今はいいだろう。
いつも通りの出席確認や必要な連絡を終えて授業が始まる。それからしばらく舜は考え事をしていた。
ん〜、アレはなんだったんだか引っかかる。
舜が気にしているのは昨日の3人の様子がいつもと違うことや今日の朝3人でどこかに行ったことだ。
気にする必要がないと言われればそれまでだが、いつも一緒にいる舜にとっては違和感に繋がっていた。
そしてなんだか今日は視線を感じる。
夕鈴がちょっかいを出してくるのはいつものこととして、どうも零華と姫良の様子がおかしい。
集中して考えことをしていると時間はあっという間にすぎる。
「それじゃ今日の連絡は以上!気をつけて帰るように」
委員長が号令をかけ、挨拶を終える。
すっかり放課後である。
いつも通り帰ろうとするが、いつもの様子と違う義姉さんまでも教室に入ってきた。
3人ともオレに用事があるようだ。
なんだろ、え、なに、オレなんかしたっけ。すっごいこっちみてるよ!ヒソヒソなんか話してるよ……これオレいじめられないよね、大丈夫だよね。
怯えながらも舜は3人に声掛けにいく。まだ近づいてることに気付いてないらしい。
「……ど、どーした?」
「ん?え?なんかあった?!どうしたのよ!?」
明らかにおかしい。
「シュンどうしたの?!ん?!」
明らかにおかしい。
「しゅんちゃん?!ええええとなんのことかしら〜?」
明らかにおかしい。
義姉さんに関しては吹けもしない口笛を吹こうとしている。
3人とも明らかにおかしい。
そして3人はアイコンタクトをしてなにかを決断したようだ。
怖いって、なんかおかしいって。てか、3人とも焦り方おかしいだろ!嘘下手くそすぎだろ!正直者かよ!
「「「えーっとー………」」」
何か同じことを言おうとしているようだ。不安にながらもおうむ返しする舜。
「……えーっとー?」
これ絶対おかしいよ、すごいカミングアウトされるやつだよ。え、オレ嫌われるようなことしたっけ、大丈夫かな。てか、普段から適当に接してるからもっと優しくしろとか?いやいや、でもオレ結構優しくない?ご飯ほとんど毎日作ってるよ?あれ、オレご飯しか作ってない?あれ、大したことしてなくない?してなくなくなくない?やべーよ、これ嫌われちゃってるやつだよ。泣いちゃうよ?16歳だけど泣いちゃうよ?………もういいよ、人想いにいってくれぇぇえぇぇ!
「「「好きです、付き合ってください!!!」」」
あれ?ん……どゆこと?WHY?思ってたやつと違うんだけどぉぉぉぉ!!!!!!
前話の後書きで書いたことは次話で書きます!
思ったよりも発端までに色々とあったからね、うん。てことで次話をお楽しみに!