黒蜻蛉(クロトンボ)
残酷表現に御注意ください。
少女は酸素が薄まっていく部屋の中で目を覚ました。木造建築物の焼ける臭いが鼻を刺し、その次に来たのは・・・・・血肉の焦げる異臭だった。生物本能的に、少女は手元の蝋燭に火を灯した。そこには・・・・・解体された父母の血肉が、新室の床に散乱していた。ベッドや壁、床に飛び散った人間の血液は火力によって急速に水気を失い、強力な引火性物質へと変わっていく。肉や臓器も同様に・・・・・・。
「おかあ・・・さま? ・・・御父様!!」
状況を理解した少女の目に、悲しみが浮かんだのは一瞬だけだった。
「誰だ?まだいるんだろ、出て来い、私が御父様や御母様と同じ目に合わせてやるぞ・・・クフフ・・・フハハハハハハハハ!!!!!」
「おやおや、このような幼子が復讐を唱えるとは世も末ですね。よほど強い執着をお持ちのようだ。どうです?私を駒に使いませんか?」
「・・・・・」
何時しか、暗い寝室の闇に溶けるが如し燕尾服と肩まで掛かる黒髪をまとい、背に蜉蝣の如く美しい薄羽根を持つ、蒼白なる顔面の男が、彼女の目の前にいた。
「貴方は私と似ている。僧でもない人間が頭を丸め、火を噴く筒のような道具を持って清国に戦を持ちかけ、あっけなく殺されてゆく様はとても醜く、汚らわしい。そうは思いませんか?旧大韓帝国皇帝が第十三皇女、無為様。おっと、申し遅れました。私はサカキ、死神にございます」
「確かに、お前は私と似ている。命じよう、我が僕となり、我の定るままに破壊の限りを尽くせ。我か、汝の命が尽きるまで」
「御意、小皇帝」
知性、バトル、人情・・・・全てにおいて完璧な小説を作りたいと思っていました。学生であるこの身でございますが、若者の成長を小説を通し傍観して頂きたい次第でございます。