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異世界に行ったら世界のすべてが所有物だった!  作者: カビ封じ
一章 ~博愛無き医師達~ 一節『薬盗りの少年』
5/10

プロローグ お出かけ日和

章を作ります。


 白銀邸が我が家になってから三日。

 あれから自身の名前をナナシと付け、今日も今日とて優雅(タイクツ)な一日をすごしているよ。


 何故ナナシと名付けたかって?

 前世の名前を思い出せないんだよね。

 かと言って、ゲームの女キャラによく使う『エリス』の名前は、なんか今一ピンと来なかった。

 で、名前が思い出せないなら、もう名無し(ナナシ)でよくね?って思ったわけ。


 ナナシって名前、かっこかわいくない?

 てわけで、今の私の名前はナナシです!

 

 そんなこんなでナナシこと私は今、暇しながらコーヒーを嗜んでいる。

 やりたい事が浮かばないんだよね。

 

 窓際でコーヒーを啜りながら外の景色を楽しんでいる。

 今いる場所は西洋建築の建物の三階で、それなりに遠くが見えるんだよね。


 遠くに見える大きな防壁の向こうは、一般市民の区画。

 質素な家や建物ばかりだったけど、そこに住む住人は皆充実感を感じる顔をしていたっけ。

 確かに私の今の暮らしと比べると貧しく苦しい生活だけど、いろいろ楽しそうな風景が馬車の中から見えてたなー。

 

 一口コーヒーを啜り、もう一度外の景色を見る。

 防壁の昇降式の門は閉ざされ、その先の景色は見えない。

 

 ふむ……街に行ってみたい。

 お忍びで。

 

 


 


 そうと決まれば行動あるのみ。

 コーヒーの入ったカップをテーブルに置き、

 

「ちょっといいかしら」

 

 少し大きな声で扉の向こう側に語り掛けた。

 私の声を聞いて、外で待機していたメイドが部屋に入り、一礼する。


「呼ばれましたか?」

「ええ、呼んだわ。マーカスを呼んでくれる?」


 私の言葉を聞いてメイドは「承知しました」と言い、一礼して部屋を退出した。

 それを私は最後まで見届けた後、テーブルに置いたカップを手に持ちコーヒーを啜り、窓の外を見る。

 外は晴天、お散歩日和じゃないか♪


 コーヒーを啜りながらマーカスを待つ事、数十分。

 空のカップをテーブルに置いて無言で外を眺めていたら、扉の先の廊下から此方に向かう足音が聞こえてきた。

 扉がノックされ「入ります」との言葉と共に、扉が開く。

 

「マーカスでございます。いかがなさいましたか」


 私の部屋に入り、早々に要件を聞くマーカスの問いに、


「私街を歩いてみたいの」


 と答える。

 やっぱり引きこもってばかりじゃ退屈だよ。


「こないだ馬車で外を見ていたけど、色々楽しそうな景色だったから一度歩いてみたいの」


 私の話にマーカスは、


「防壁まで馬車を手配しますが、お忍びでしょか?」

 

 と聞いてくる。

 流石、専属秘書だ。

 分かってくれる秘書というのはいいもんだねー。


「ええ、お忍びで行きたい」


 もちろんお忍びで行きたい。

 色々な景色や物を見るためには、お忍びじゃないと見れないだろうからね。

 マーカスは私の言葉を聞き、


「承知しました」


 と一礼する。

 

「馬車の手配と被り物をご用意いたします。しばらくお待ちください」


 そう言うと、マーカスは部屋を退出した。 

 

 さて、一応財布とか準備しようかな。

 金貨とか高額な硬貨ばかりで小銭などは無いから買い物はできないよね。

 まあ、何か役立つかもしれないから持っていこう。

 

 大金貨は十枚あればいいかな?

 あとは……











 この時思いもしなかったよ。

 この世界の街は、あんなにも危険で、あんなにも面白い場所だったなんて。


 大冒険が始まろうとしている。


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