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異世界に行ったら世界のすべてが所有物だった!  作者: カビ封じ
プロローグ
4/10

三話 豪邸すわー、私が世界の支配者すわー

まだ名前が無い主人公。

たぶん次回に名付けられるかと。


 馬車に揺られる事数時間。


 日が沈み、石造りの町並みが夕焼けに染まる中、窓から見える町の様子を楽しんでいる。


 街の建物はレンガで出来た小さな家が立ち並び、店や屋台で賑わっているのを馬車の中から見ていた。

 人々が縦横無尽に歩き回り、街には活気が溢れていて、皆充実した日々を送っているようだ。


 私も前世であれぐらい毎日を懸命に生きれたら、どれだけの満足感があったのかな?

 今更そんな事を思っても意味が無いのはわかってる。

 しかし、人は後にならないと結果が見えないのだよ……




 町の様子に変化が現れたのは突然だった。

 馬車が進む大通りは、少し前まで街の住人で賑わう場所だったのに、馬車が大きな物々しい防壁を潜ると、それは現れた。


 馬車が大きな高い防壁を潜ると窓から見えるのは、まるで別世界。

 先ほどまで街の大通りには植物等は見当たらなかったが、防壁を潜ると突然丁重に舗装された大通りに変化し、沢山の街頭樹が立ち並んでいる。

 景観も先ほどの町とは打って変わって、防壁の内側にある建物には基本的にレンガの建物が無く、彫刻された美しい石材の建造物ばかりだ。

 通りを歩く人は極端に少なく、稀に見かけるのは使用人と思しき人たち。

 

「先ほどの防壁より内側が白銀邸の敷地でございます」


 外を見る私に後ろから高官の男性が声をかける。

 あの防壁の内側全てが白銀邸の敷地なのかな?だとしたら、凄い広さだ。


 支配主の為の敷地か。

 つまり、さっきの防壁の内側全てが私の為に作られた空間。

 すべて私の為……

 

「今通過している地区は、白銀邸の補佐官や官僚の宿舎が集まっております」


 白銀邸の補佐官や官僚……私の補佐官や官僚って事だよね?

 何の為に私に補佐官や官僚が付くのだろう?


 彼は言う。


「官僚達は、貴女のお望みを叶える為の存在です」


 私は彼を見た。

 恐ろしく見えてるハズの私に見つめられながらも、彼は私に言葉を続ける。


「この世界は貴女の物です。何も心配せず、ただ命令してくだされば良いのです」


 再び窓の外に目を移す。

 窓の外に居る者は皆、緊張した面持ちで各々の仕事をしている。

 絶対の存在に奉仕する為の空間で仕事をしているからか、彼らは少しの粗相も許されない雰囲気だ。

 

 彼らから見て、私は絶対的な支配者か……

 この世界で、私は何をするのだろう?

 自由度を売りにしたオープンワールドのゲームは前世で沢山遊んできた。

 でも、今の立場は、どのオープンワールドよりも選択肢が多い。

 

 まあ、まず最初にする事はゲームと一緒だね。

 防具を揃えるのと一緒。

 まず最初にする事は、服を着ないと。

 

 



 


 馬車が大通りを進むこと数十分。

 官僚の区画を進んでいたが、突然大きな橋に差し掛かった。

 橋の下は池かな?と思ったが、よく見ると池が橋の向こう側にも続いている為、これは巨大な堀の様だ。

 大きさや遠い場所まで続ているから、おそらく一区画を丸ごと堀で覆っているのだろう。

 

「今渡っている橋の先が、白銀邸宮廷区画でございます」


 私と向かい合って座る彼の説明を聞いている内に、馬車は橋を渡り切った。

 つまり、ここから私専用の宮殿。

 

 私の期待を乗せた馬車が進む宮廷区画は凄かった。

 一言で言い表すなら、楽園。

 

 至る所に技術の粋を集めた美しい建築物。

 大通りの周囲には芝生や花壇、更には噴水。

 町の住宅街の古代エジプトの様な大きな石とレンガを積んだだけの建築物ではない。

 むしろ中世ヨーロッパ並みの技術と美術感だ。

 

 街の住人達が見ると、驚くだろうなー。

 いや、驚くどころではないか。

 失神するかも。




 

 周りの絶景を楽しんでいる内に、馬車は止まった。

 馬車から降りると、目の前には大きな白い豪邸が広がっていた。

 豪邸の入り口まで通路の左右に整列する使用人達。


 女性の使用人は皆メイド服を着ていて、男性は執事服だ。

 リネン以外の布があるんやね。

 安堵。

 

 使用人は、みんな揃いも揃って美男美女。

 良きかな良きかな。

 

 高官の男性は私の追い越し、私の右斜め前で一礼する。


「お帰りなさいませ、支配主様。」


 彼は顔を上げて。私をまっすぐ見た。

 

「申し遅れました。私、マーカスと申します。只今を持ちまして、私マーカスが貴女様の専属秘書となります」


 彼はマーカスと名乗り、私の専属秘書だそうな。


「なんでもお申し付け下さい」 


 マーカスはそう言うと、私をエスコートしながら今後の予定を言う。


「先ずはお召し物をご用意します。それから、各部屋の案内を」


 彼はそう言うと、一息入れ、


「各部屋の案内の後は、何なりと私にご命令を。私が必要な各部署や関連機関に伝達します。」


 マーカスは自身が命令を待機している事を伝えた。






 

 

 深夜、自室の窓際で外を見る私。

 

 あれから服を貰い、部屋を案内された。

 いろいろな種類の服を見せられたけど、どれも豪華な服だったなー。

 その時は、黒を基調として金の装飾がなされたドレスを選んでおいた。


 その後、各部屋を案内され、最後に自室。

 自室は凄かった。

 絢爛豪華の調度品に金銀財宝何でもござれ。

 まあ、だから何?って話だけどね。


 自室の棚には世界中の貴重な価値のワインや様々な高級ジュースが並んでいる。

 私的には、金銀財宝よりワインやジュースの方がうれしい。


 その棚の前には、洗濯機程の大きさの豪華な装飾の箱が三つあり、中には大量の硬貨が入っている。

 最初は何の為かな?と思ったけど、マーカスは現金があると色々便利なハズだと言ってたな。

 買収とかかな?いやでも、自分の命令一つで動く世界に、現金は要るのだろうか……

 まあ、使い道はいつか来るとおもう。


 三つの箱に入ってる硬貨はそれぞれ金貨、中金貨、大金貨で分けて入れられていた。

 金貨は日本円で凡そ十万円前後の価値。

 中金貨で凡そ百万円前後の価値。

 大金貨になると、凡そ一千万円前後の価値だ。

 なぜ前後なのかと言うと通貨は世界共通だが、国によって物価が違うから。

 

 三つの箱に入ってる硬貨は普通に一枚が高額なハズ……

 そんな硬貨が洗濯機程の箱に山盛りかー。

 もしかすると国家予算より多い金額が、この箱に入っているかもしれないねー。


 


 


 立ち上がりベッドに向かい、身を投げる。

 

 モフモフしてて気持ちいい。

 最初の街並みを見たとき、気持ちいいベッドは無理かなって思ってた。

 まあでも、こうしてフカフカのベッドで寝れるのが分かったからいいや。

 

 ベッドに潜り、ぬくぬくと微睡みに潜る。


 自分の名前どうしよう。

 ここまで無名のままだったなー。

 マーカスさんからも「いつかお名前をお教え下さい」と言われてたっけ。

 無名のままじゃ色々不便だし、必須だよね。


 まあでも、明日考えればいいや。

 今は睡眠したいんですー。


 おやすみー。


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