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05.騎士団長の令息【ブライアン様との出会い】

 翌朝、学院へ向かうと『白バラの門』をピンクブロンドのふわふわがすごい勢いで走り抜けていった。


 あんな髪色してるのって一人しかいないと思うんだけど……ヒロインが猛ダッシュとかアリなの!?


 ぽかんと口を開けていたら、ぽんっと肩を叩かれた。


「この感じはスージー!」


 振り向きながらそういうと、さっきの私と同じようにぽかんと口を開けたスージーが立っていた。


「アーシュラちゃん、おはよう。ねえ、そろそろ幼馴染辞めてもいい?」

「辞めちゃダメだから! 驚かせてごめんだから!!」


 スージーが幼馴染を辞めたら、誰がぼーっとしている私の面倒を見てくれるの!?


 私はぺこぺことその場で頭を下げて謝った。


「わかればいいよ。それで何を見てたの?」

「きれいな貴族様たちを……」

「毎日、顔を合わせることになるんだから、慣れるしかないよ。それより、こんなところに突っ立ってないで行くよ」

「うん」


 私はスージーに促されるまま、『白バラの門』をくぐり、校舎へと向かった。



 スージーと一緒に廊下を歩いていると、中庭から大きな声が聞こえてきた。


「待ってくださいませ!」


 中庭を見れば、レイラちゃんがオレンジに近い赤い髪とルビー色の瞳をした男性を呼び止めていた。


「何か用か?」


 このバリトンボイスはー! 騎士団長の令息のブライアン・マクナイト様の声だ!


 って、え? ちょっと待ってよ!

 ゲームだとヒロインと騎士団長の令息との出会いは、早朝の裏庭のはずだよ?

 騎士団長の令息が素振りをしているところをたまたま見かけたヒロインが『大変ですね』って声を掛けるのが出会いのシーンのはずなのに……。

 なんで、中庭を歩いているときに声を掛けてるの!?


 私が呆然としている間にレイラちゃんはブライアン様に近づいていく。


「さきほどまで素振りをなさってたんでしょう? 大変ですね」

「見られていたとは……」


 ブライアン様はレイラちゃんに見られていたことが恥ずかしかったのか、顔の半分……鼻から下を片手で覆って隠した。


「あの! よかったら、これ使ってください」


 レイラちゃんはカバンの中からハンカチを取り出して、ブライアン様に手渡した。


 えええ!? 場所は違うけど、三枚目の課金スチル【ブライアン様との出会い】と同じ構図になっちゃったよ!?

 よく考えてみれば、途中からゲームと同じ会話になってる。


「ありがとう……」

「あの……私、ワーズワース男爵家のレイラと申します。お名前お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「マクナイト伯爵家のブライアンだ。そろそろ時間なので、失礼する」


 ブライアン様はそういうと中庭からすぐに立ち去った。

 レイラちゃんはブライアン様の背中を見送ったあと、大きくため息をついた。


「すごい茶番だったねー」


 あ、そういえばスージーと一緒だった。


「茶番?」

「そうだよ。だって、あのピンク頭ってさっき、私たちと同じタイミングで門をくぐったでしょ?」

「ピンク頭って……うん。走り抜けてたね」

「いつ、青春男が素振りしてるところを見たんだろうね?」

「あ!」


 スージーの言う『青春男』っていうのはブライアン様のことだろう。


 私たちとほぼ同じタイミングで門をくぐってるなら、ブライアン様が早朝から裏庭で素振りをしている姿を見ているはずがない。

 つまり、レイラちゃんは見ていないのにブライアン様が素振りをしていたと言い当てたことになる。


「見ていないはずなのに素振りしてたとか言い出すとか……あのピンク頭はヤバイわ……アーシュラちゃん同じクラスだっけ?」

「う、うん。同じクラスだよ」

「ああいうのは関わると碌なことがないから、なるべく遠巻きにするんだよ」

「わ、わかった」


 スージーのオカンモードが発動して、レイラちゃんとブライアン様についての話は終わった。


 う~ん?

 スージーと話してて、引っかかる部分があったんだけどな。

 なんだったかな。

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