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俺とタマゴと・・・  作者: 閑古鳥
4/7

親父との会話

不穏な空気を感じたらしい父の救いの一声で、昼食が始まる。

少し早い夏野菜の煮びたしに、そうめん。

あっさりとした食事はいっきに疲れた胃に優しい。

食後にお手製の羊羹と麦茶を堪能し、さてそろそろ帰ろうか・・・と思ったときに、リュックに手が触れた。

すっかり忘れてたわ。


ビンをポケットに忍ばせ、流しで洗い物に立つ親父の横に並ぶ。

親父はこう見えて、中学校の理科の教師だ。

きっと何かわかるだろう。

だがしかし、話の糸口が見つからない。

考えあぐねていると、

「最近どうなんだ?」

視線は洗い物に注いだまま、変わらぬ優しい声で語りかけてくる。

「あ~。まぁまぁかな。」

仕事にも不満はない。

人間関係もそれなりに。

たわいのない日常の報告。

それなのに、この親父様

「なんか、困ったことでもあったのかと思ったぞ」

ときたもんだ。

なんだってうちの親はこう鋭いんだ。

「あ~・・・。」

隠していてもしょうがないか。

「あのさぁ。ウズラの卵って、孵るんだっけか?」

少し遠いところから攻めてみる。

「・・・スーパーのかい?」

8%くらいだったかなぁ~と今度は天井を仰ぎながら答えてくれる。

「それがどうかしたのかい?」

いつの間にか食器は洗い終わっていたらしい。

手を拭きながら、こちらに向き合い、目を見てたずねてきた。

大事な話は相手の目を見て。

変わらぬ我が家の掟である。


これなんだけど・・・とビンを見せる。

あぁ、どう見たって雛じゃないのはわかっているさ。

親父は不思議そうにビンを眺めて、

「空っぽだよ?」

と言った。

あれぇ???



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