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俺とタマゴと・・・  作者: 閑古鳥
2/7

休日なのに・・・

翌朝


結局、昨晩は恨めしげな眼に負けて、ビンを冷蔵庫から出した後、ぬるめのお湯でビンごと湯銭にかけてやることで、恨みがましい視線からは解放されることができた。

電子レンジも考えたが、卵って確か爆発したよな?とか考えると恐ろしいのでやめた。

ちなみにお湯の温度は40℃程度にしておいた。あまり熱くするとゆで卵になりそうだったから。

そしてそのままテーブルにて室温に放置。エサ?知らんがな。


朝日を浴びるテーブルからビンを持ち上げると、心なしか、ぐったりしている。

はて?

温度は大丈夫っぽい。エサは・・・わからん。水か?溶けそうだな。と考えてふと思い当たり、ふたを開けてやる。逃げ出す気力もなさそうだ。

新鮮な空気がビンを満たすと、深呼吸でもするように黄身が膨らんではしぼむのを繰り返した。

とりあえず、呼吸は必要らしい。ラップに穴をあけてかぶせておこう。

さて。昨晩のうちに連絡はしておいたから、早々に向かわなくては厄介なことになる。

問題は交通機関だが・・・

危険物ではないと思うが、電車はなぁ~。

目的地は電車で二駅。そこからバスで40分。バス停から歩いて20分

しばし悩んだ後、自転車を選択した。

まぁどうにかなるだろう。


どうにかなると思っていた30分前の自分を殴り飛ばしたい。

梅雨の晴れ間の今日はそれなりにいいお天気で、絶好のサイクリング日和なのだろう。

だがしかし。

10年前は平気で登れた駅からのバス道路が、きつい坂道として自分の前に立ちふさがっている。

「遠いなぁ・・・」

遠く山の上にそびえる三角屋根を見上げる。

目的地はまさにそこ。

離れて久しい実家だ。

「帰りてぇ」

家でごろごろしていたい。

録画したままのドラマみたい。

布団も干したい。

そうだ。具合が悪くなったことにすればいいじゃないか。

善は急げと、自転車の向きを変えたところで、目に飛び込んできたのは、サンダル履きの小さな足。

恐る恐る目を上げると、小柄な女性がいい笑顔で立っていた。


「・・・は・・・ははっ母ちゃん、久しぶり~」


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