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俺とタマゴと・・・  作者: 閑古鳥
1/7

納豆に卵を入れたい。

突然崩れた日常。秘密は過去にあったらしい。

『フハハハハハ!見ろ!まるでごみが人のようだ!』

年末の大掃除をする俺の頭上から楽しげな声がする。

声の主は黄色いスライム。

『見ろ!テッシン!まるで逃げ惑う人のようではないか!』

人の頭上でぴょこぴょこと飛び跳ねながら、掃き掃除にアテレコをしていく。

楽しそうだなぁオイ。

よっこいせと掃除機を取り出すと・・・。

『ゆけ!すべてを吸い尽くせ!』

最近見たアニメ映画の影響が随所にみられるな。

俺は一つため息をつくと、

聞こえないふりをして掃除に集中することにした。


いったいどうしてこうなった。


話は数か月前にさかのぼる。


=========================================


どうしてこうなった。

フローリングの部屋に置かれた食卓に行儀悪く肘をつき、目の高さに瓶を掲げる。

昨日食べきって、今朝捨てられる予定だったビンの中には、ウズラの卵の黄身(?)がふにょりと転がり、ぶすくれた目でこちらをにらんでいる。

なんていうか、リアルぐ〇たま?というか黄色いプヨ2。

ちなみに瓶は某有名メーカーのノリの佃煮だ。

きれいに洗ってラベルもはがしたから、リサイクルごみとして収集される運命だった。

それがどうしてこうなった。


まず、なんで朝食の納豆のお供のウズラの卵を割ったら、黄身に襲われねばならなかったのか。

そもそも、なんで黄身が動いているのか。

まだ寝ぼけているのかとも思ったが、驚いて転んだ時にしたたか打ち付けた尻の痛みが現実だと告げている。

よくわからないが、何となくこいつはそのまま捨ててはいけないような気がする。

仕方がないので箸でつまんでみる。生きのいい卵だったらしい。実に挟みやすいなどと明後日のことを考えながら、ビンに詰めたのがつい1時間ほど前のこと。

時刻はすでに7時半。

悩んでいても仕方がない。

こういう時は嫌だが、あいつらを頼るか。ほんとうに心の底から頼りたくはないが・・・ととりあえずは仕事に意識を切り替え、ビンを冷蔵庫にしまい、家を後にした。


11時間後


今日も一日お疲れさまでしたっと、玄関を開け、カバンをソファーに置き、ネクタイを緩める。

軽く口笛を吹きながら、一日のご褒美にビールを取り出そうと冷蔵庫に近づくと、何やら中からカタカタと音がする。

嫌だなぁ・・・。Gかなぁ・・・と部屋の隅に常備されているゴキジェットプロを手に冷蔵庫を開けると―――

緑色になった卵の黄身が、ビンの中で震えていた。


心底見なかったことにしてしまいたい。


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