ー第12幕ー
翌朝、皇室ラジオにてギリーは国王退位を世に伝えた。国主は国家最高顧問のカガム・ハリウッドへ委託した。ラジオ後、彼はカガムとソーヴァンに対面するようにしてソファーに腰掛けた。
「良かったな。これでこの街、この城はお前のものだな」
「良かったな、じゃねぇよ! てめぇドコ座っている!」
ギリーは床に正座になって座りなおした。
「おい、てめぇ金庫の中が空になっているじゃねぇか? どうしたよ?」
「いや、これからの生活が……」
「生活が何だよ? 俺達だって体張って働いてここまできた。これから一市民になるのなら、まずそこから始めろよ! 馬鹿!」
「はい、すみませぬ……」
「明日までに持ってこい。それで国王暗殺が見過ごされるのだからよしと思え」
ソーヴァンより穏やかな口調で諭されてギリーは大王会議室を出た――
大王会議室を出たギリーはフラフラしながらも家族のいる裏庭へと向かった。
「これは!?」
裏庭では額に穴をあけて遺体となった彼の本妻と3人の子供達が横たわっていた。
「家族旅行でも行こうとしたのか? 残念だったな。それは叶わぬぞ。ギリーよ」
右手の茂みより現れたのは女神アヴェーヌ。
「くっ! 殺されてたまるかっ!」
ギリーは懐から銃を取り出して発砲した。しかしアヴェーヌを護る光体ベールに弾かれてしまい、光体粒子が集まってできた縄に彼は捕らわれた。
「国王、いや元国王にして罪人、ギリー・デュオン、チェックメイトですわ」
「貴様は……」
今度は左手の茂みから人間が現れる。冷血の紅姫、イザベル・ラベルス。
「貴様が殺したと言うのか……」
「ええ、キリアン女王より処刑の任を授かりましたわ」
「ふん、大層な役だな。いいだろう。その銃で私を撃ち殺すがいい。もはや覚悟などとっくにできておるわ」
「ええ、とっとと済ませたいですわよ。でもせっかくの機会ですし、楽しんで貰おうと思ってね」
「?」
ギリーはその後アヴェーヌの力によって浮かされ馬車に乗せられた。




