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嗚呼!!なんて素敵な女神様!!  作者: いでっち51号
第5章~Isabelle of the counterattack~
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ー第2幕ー

 トリノ城下町のとある酒場にてアスキンは旧友であるテッシモとアルテッシモの2人と酒を飲み交わしていた。2人はトリノにある村の村長を任されている者であり、アスキンと同じくデュオン公国の役人として長らく仕えた古参だ。



「おい、てめぇら、何でハローズの奴があんなに国王にご愛顧されているのだと思う? あんな若造で頭弱そうなのにさ」



 アスキンは突然静かな声で旧友の2人へ話しかけた。



「何で……ってお前、そりゃハローズ家の御子息になるからだろ?」

「そう思うよな。でもハローズ家の御子息でもあいつは末っ子だ。出世するには早すぎるってモンだろうが」

「何だよ? 勿体ぶらせやがって、何か大きな秘密とかでもあるのか?」

「てめぇら、誰にも言わないと約束できるか?」

「お、おう……。勿体ぶらずに言えよ?」



 アスキンは周囲をキョロキョロ見渡した後に話しを続けた。



「元国王がアルマに撃たれたって言われているよな? その下の階にいた元国王のボディーガードも。でもそいつらを殺したのはアルマじゃないのさ。だってよ、よく考えてみろ、国王はバグラーンに屈服することを何度も口にしてきたのだぜ。それを隠してきたのはどこの誰よ? 自分に都合の悪い奴は全て影武者を使って殺してきた。その殺し役を担ったのはどこの誰だと思うよ? 真相なんてものは案外ちょっとよく見るだけでわかるものだよ……ってアレ?」



 気がつくと店内には誰もいなくなっていた。自分の後頭部に拳銃をつきつけている者を除いて。「国家反逆罪だ。ついてこい!」と言ったのは酒場で店主をしていた男だった。



 店主だった男の誘導のまま、アスキンは店の酒蔵に案内された。




 酒蔵にはさっきまで一緒にいたテッシモとアルテッシモ、そして拳銃を構えたラッセルが待ち構えていた。全てがわかったアスキンは冷や汗を垂らして叫んだ。



「てぇ、てめぇら、う、裏切りやがったな! この薄情者!!」



 店主だった男がカチッと銃をまわす音を鳴らす。するとアスキンは凄い勢いで土下座をした。



「か、勘弁してくれ! 酒がまわって変なこと喋りたくなったのさ! た、頼む、頼むよ、頭、頭とらないでくれ!!」



 ラッセルの銃発はあっさりとアスキンの頭をぶち抜いた。



「ご苦労だったな、テッシモ、アルテッシモ。お前らは約束通り明日から俺の副秘書としてデュオン城に仕えろ。そしてそこのお前、コイツの体はバラして家の真ん前に置いとけ。報酬はテッシモを介して渡してやる」

「ふふ……噂には聞いていたが、生粋のマフィアだな。アンタは」

「あ? 褒め言葉か? まぁ、いい。このやり口はラボルの奴にも教えたからな」

「ラボル?」

「ああ、そうか。お前らはわからないだろうな。今アヴェーヌ地方を荒らして貰っている俺の部下さ。今にみていろ。とんでもなく面白い時代を俺がつくるぜ」



 ラッセルの含み笑いは明らかな悪意と確信をも含んでいた。



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