ー第3幕ー
バラグーン軍キレム中将を中心とした飛行部隊は木製戦闘機から手りゅう弾を地上に投げ込むと言うシンプルな戦闘部隊だった。だがトリスの歴史に類がない部隊で、その数たるや戦闘機千機という強力さに富んでいた。
部隊先頭を担うキレムはいの一番に東域本陣に到着しそうであった。しかし、その直前に謎の光り輝く遊飛物体と出くわした。よく見れば人間の形をしている。
「何だ? あれは?」
キレム部隊を迎え撃つその者こそがアヴェーヌ・シンドゥであった。
「はっはっは! なんじゃ面白そうな奴らが現れたの! 太陽の光も充分に浴びられたことだし、どれ、其方らにもお裾分けといこうか!」
アヴェーヌは彼女の周りで浮いている光沢を手に集め、光の団子を作ってみせ、それをキレムの乗る戦闘機に向けて投げ込んだ。
「なっ!? なんじゃこりゃあああああああ!?」
キレムは格好つかない断末魔をあげると彼の愛用機と一緒に派手に爆死した。キレムの部隊の戦闘機は地上に手りゅう弾を投げるだけの機能を持った物であり、決して融通の利く代物でない。また部隊機は千機とも近くを飛行して列をなしており、キレム機の爆発を機に千機に及ぶ連続爆破が間もなく始まった――




