ー第2幕ー
先陣のアルマ部隊及びプレシオ部隊が隕石落下を受けて殲滅した知らせは間もなくキリアンとドグマのもとに届いた。
「本気か。そんな手段を使ってくるなんて……」
「バラグーンはそんな奴らだよ。今さらビックリしたって仕方ないさ」
「姉者! どうしてそんなに平然としていられるのだ! 2千万の軍隊が今ここに向かってきているのだぞ! 空飛ぶ兵器まで飛んできていると言うのだぞ!」
「空飛ぶ兵器か。イザベルが空飛ぶ女神が我々の味方だとか言っていたな」
「何だって? イザベルがどうしたって言うのだ!」
「まぁ、落ち着けドグマよ、イザベルから無線が入った。今からアタシとアンタの部隊は“山を急いで登って撤退する”ようにとのことだよ」
「撤退!? 山!? ここは高原だぞ?」
「嘘だと思うなら外を見てみな! アホンダラァ!」
ドグマはすぐにテントを出てデュオン城方面を見た。あった。そこには漆黒の土砂でできあがった大きな山があった。本陣にいる誰しもがざわついていた。
呆気にとられるドグマ、すぐ背後にキリアン現れて諭した。
「あのコ、准将らしいじゃないか。せめて中将ぐらいにするよ。アタシならね」
「これは……現実なのか……あの女は一体……」
「ほらっ! ぼさっとしない! 全軍に指令を出しな! アンタの役目だろ!」
「は……はっ! 承知した姉上!」
ドグマはすぐにマイクを手に取り、本陣全域にその指令を届かせた。
『これより我が全軍はこの山を登って撤退する! 案ずるな! これは逃げではない! 我が軍の戦略だ! 我が軍の運命を授けし“勝利の女神”と共に戦おう! さぁ、登れ! 急げよ! デュオンの同志よ!!』
ドグマの指令を聴き、ニンマリとしたキリアンは空を仰いでぼやいた。
これはとんでもないものを見せてくれそうだね――




