かなしいから
かなしいから
泣くのじゃなくて
くやしいから
泣くの
母の言葉が
浮かんだ
本当にかなしいとき
涙は出ない、と
母が亡くなったとき
伴侶の腕にしがみついて
ありったけの奇声あげて
泣いた私
本当にかなしいとき
だったのに
泣いた
本当にかなしかった、のか
浮き上がった疑問符
振りきれなかった
かなしい、は
遠くに向けてそっと寄せる
思いなんじゃないか
誰かへのメッセージじゃないか
母が亡くなったとき
泣いたのは
助けることが
できなかったから
じゃなかったか
異変に気づかなかった
自分ばかり見ていたから
じゃなかったか
泣いたのは
かなしかったからじゃない
くやしかったからだ
どうにもならない
くやしさを
母の三回忌と一緒に
供養した