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ひだまりの国 海底都市の謎  作者: 白波
第1章 海底へ
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第6話 みかんと再会しました

 希望松駅前…犬の銅像の前で私たちはある人物を待っていました。


「来た来た! みかん! こっちよ! こっち!」


 陽菜が広場にやってきた人物に手を振りました。


「陽菜! 待たせたわねって牡丹さんや竜也さんまで!」


 そう言いながら、駆け寄ってきている少女こそ、雪草(ゆきぐさ)家の次女…つまり、蓮華(れんげ)の妹にあたる雪草みかんその人です。


「それにしても、こんなところでみかんに会えるなんて…あれ? でも、そうなるとすみれは、どうしたんだろう?」

「すみれって…蓮華には会ったの?」

「うん…地上(うえ)で少しだけ…。」

地上(うえ)か…やっぱり海底(こっち)にいるのは少数派みたいね…。」


 陽菜が天井を見ながらそうつぶやきます…


「でも、こっちの世界でもたくさん知り合いができたから、わざわざ探しに行ったりしないけど…。」


 そう言いながら、陽菜は私の方を向き直りました。


「でもさ…できればなんだけど、あなたも海底(こっち)に住んでくれるとうれしいかな…みかんだってそっちの方がいいだろうし…。」

「…私としては、別に牡丹がいてもいなくても変わりないけどね…そもそも、道を決めるのは牡丹なんだから、強制はしませんよ…。」


 いつの間にかこちらに来ていたみかんが意見を述べました。


「そうね…この都市全体をじっくりとみて考えようかな…ここに定住か、旅を続けるか…。」

「その方がいいですね…一時の情緒で後悔する羽目になっても大変ですので…さてと、せっかくですので、中環状線に乗って南地区にでも行きません? ちょうどお3方に見せたいものがありますので…。」


 南地区で見せたいもの?

 いったいなんでしょうか?


「ちょっと! 南地区ってどういうこと? モノレールが整備されてるのって北地区だけじゃない…西や東ならまだしも、南は暗いし、道路だってまともに整備されていないじゃない…。」

「まぁ牡丹が海底にもぐった理由を探るためとでも言っておきましょうか? ちょうど陽菜に見せたいものがあるわけだから、牡丹の件はあくまでついでだけど…。」


 そう言いながら、みかんは、希望松駅の方へ歩いていきました。






 さて、私たちを乗せたモノレールは、東の方へと向かっています。

 車窓を見ると天井近くまで伸びていたビルは、遠くの方に見えるだけとなり、すぐ目の前には住宅街に変わり、今は、何もない空間が広がっています。


「ご利用ありがとうございます。まもなく終点の…。」


 終点の駅への到着を知らせるアナウンスを聞きながら、私たちは降りる準備を始めました。


「この辺に来ると、本当に何もないのね…。」

「えぇ…もともと、このあたりも開発する予定だったんだけど、最近、少子高齢化が進んでてさ…新興住宅街を作ったところで売れるわけでもないし、西部の農作地帯も耕作放棄地が増える一方だから、開発するのは、結構難しいのよ…。」

「そうなんだ…。」


 少子高齢化って…そんなところまで日本と似てるんですね…

 私は、眼下に広がる風景を見ながらそう思っていました。






 北外(きたはずれ)駅の改札を出ると、そこには、車が一台止まっているだけで他には何もありませんでした。


「あれ? まだ、迎え来てないみたいね…。」

「そうなの? じゃあしばらく待ってるしかないか…。」


 私が近くにあったベンチに座ろうとしたとき…


「北上牡丹だな?」


 車から降りてきたとみられる男の声をかけられました。


「だとしたらどうするんです?」

「少し話がある…来てもらえるか?」


 男がそう声をかけると、陽菜がやって来ました。


「あなた達! どこのだれか知らないけど、突然何よ!」

「我々は、あなた方に危害を加えるつもりはありません…ただですね…。」

「ただ? 何?」


 男は、陽菜の気迫にしどろもどろしているといった状態です。

 そんな時、男の懐に入っているとみられる携帯の着信音がしました。


「もしもし…はい、はい…えっ…しかし…はい…かしこまりました…。」


 電話を切った男は、私たちの方に向き直ってこういいました。


「今回は帰らせてもらう…だが、我々としてはいつか君と話をしたいとだけ言っておこう。」


 男を乗せた車は、その場から走り去って行きました。


「なんだったんだろう?」

「さぁ?」


 男たちの事も気になりましたが、その後、みかんが見当たらないことに気づいたので、周辺を探すことにしました。

 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします

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