第4話 光あふれる公園に行きました
さて、正式なパスカードを発行してもらった私たちは、陽菜がおすすめスポットに案内してくれるとかで、モノレールに乗っています。
「お客様にお願いいたします。駅構内及び列車車内では、魔法の使用および喫煙は禁止されております。ご理解とご協力をお願いいたします。まもなくルーメン中央公園。ルーメン中央公園。お出口は右側に変わります。危ないですので、ドアから手を放してお待ちください。この駅を出ますと、次は終点のルーメン。ルーメンです。」
案内放送が入ると、陽菜は降りる準備を始めました。
それを見た私たちも急いで準備を始めます。
「次の駅で降りるの?」
「そうだよ! 言ってなかったっけ?」
微塵にも聞いていない気がします…
なんというか、陽菜は昔からこういうところがあるので、気を付けなければなりません…
「なんだか、この町にいると、この世界に魔法が存在するって忘れそうになるな…。」
「そうね…不思議…日本にいるみたいだけど、なんか違う…海底にいるからかな?」
海底都市…なぜ、海底にこのような町が作られたのでしょうか?
私たちを乗せたモノレールは、ルーメン中央公園駅の構内に入りました。
ルーメン中央公園は、中央と言いながら北地区の端にありながら、その場所は、上から光が差し込み明るい場所でした。
「ここは、光を取り込む採光口のすぐ下だから、このへんでも特に明るいのよ…まぁ痴女に比べれば暗いのかもね…。」
陽菜は、そう言いながら天井を見つめます。
上の方を見れば、ドームにぽっかりと穴が開いていて、そこから光が差し込んでいるように見えました。
「採光口ってここだけなの?」
「違うわ…ここだけじゃなくて、都市の各所に設けられているのよ…でも、真下に市民公園が整備されてるのってここぐらいかもね…。」
そうですか…それにしても多数の採光口と、この周辺海域の現象とは、何か関係があるのでしょうか?
しかし、単に採光口にぶつかっただけならば、そのあたりを迂回すればいいだけで、どうしても北に行けないという事態にはならないと思います…
それと、もう一つ気になるのは、仮にスティーリアの言う通りに北へいけないのならば、あの時、なぜ、ヴァーテルは、流氷に乗って流されていたのでしょうか? (ひだまりの国 第1話より)
「疑問は増える一方ね…。」
「疑問って?」
「まぁいろいろよ…スティーリアが言ってた壁の件もそうだし、私がこっちに来た状況も少し気になるところがあるから…。」
私は、そう言いながら周りを見ました。
すると…
「あれって…。」
「どうしたの?」
アウラが、私の方を振り向いて話しかけました。
「いや…なんでもない…かな?」
「そうなの?」
確かに、今あの子がいたような…気のせいですね…こっちを見ていましたし、仮にいたとしたら、私に話しかけないわけないですし…
「誰か知り合いにそっくりな奴でも見つけたか?」
「うん…でも、気のせいだったみたい…。」
私は、話をしているヴァーテルと陽菜の方へ歩いていきました。
「なんだったんだろう?」
「さぁ?」
私の後ろで竜也とアウラがそんな会話をしていました。
その後、しばらく公園内を散策した後、私たちは、レジャーシートを広げてお弁当を食べることにしました。
「それにしても、用意がいいね…こんな量のお弁当を…。」
「まぁ知り合いに頼んだのよ…それで、できたって言う連絡が来たから、転送魔術で届けてもらったって言う訳なのよ! 早く食べましょう!」
陽菜は意気揚々とふたを開けてお弁当を食べ始めます。
その中身はと言うと、さすが海の中と言うべきでしょうか?
お弁当は、魚介類が中心で野菜や肉は申し訳なさ程度にしか入っていませんでしたが、この世界に来て初めて、あるものを口にすることになりました。
「やっぱり日本人は、白米だよな!」
「そうだね!」
「…初めて見るものだな…。」
「アウラもー! でも、おいしい!」
この世界に来てから初めてお米を見ました。
懐かしい味を味わっている横で、ヴァーテルやアウラがもの珍しそうにおにぎりを食べていました。
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