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ひだまりの国 海底都市の謎  作者: 白波
第3章 都市機能喪失
16/19

第16話 人工都市は停電や災害に加えて、造られたときに想定されていなかった事態が原因の事故に非常に弱いそうです(都市機能低下編)


 海底都市の上にあたる海面では朝を迎えたらしく、微弱ながら採光口から光が入ってきて、徐々に町の中が明るくなってきました。


 避難していた建物の外に出ると、略奪や強盗が行われたのだろうか? 店の窓ガラスは割れて散乱し、店の商品は人んど消えていた。道路へ目をやれば、破壊された電気自動車といまだに停止したままのモノレール…それらが、状況が刻一刻と悪くなっていることを物語っていました。


「一夜で復旧しないとなると、本格的に何かあったみたいね」


 私の横で陽菜が不安げな声をあげ、みかんも静かにうなづきました。


「それにしても、電気がなくなると、こうも町が荒れるのか?」

「まぁ話を聞く限り、町の電気の供給停止は大災害に匹敵するみたいだから、人々の混乱は避けられないんだと思うよ」


 自分の背後で竜也が持論を展開しているさなか、次の異変が起こり始めました。


「電気が…復旧したの?」


 頭上を走るモノレールがゆっくりと動き始めました。

 しかし、それに対して街灯などは、明かりをともす気配を見せません。


「おかしい…モノレールの運転再開の連絡は入っていないのに…」


 連絡が入っていない…となると、偶然電気が流れたうえでの誤作動でしょうか?


 モノレールは、そのまま希望松駅に入っていき5分ほど経過すると、道路の中心が大きな音を立て奈良が開きました。

 突然の出来事に人々は、道路から急いで離れていき、そうしている間にもレールが徐々に下がってきました。


「わかったわ…今回の騒動の原因…」


 みかんがそんなことをつぶやいていました。


「原因って?」


 私が聞くと、みかんは深刻な顔でうなづいた後、こういいました。


「おそらく…都市を管理しているシステムが暴走している…ただの暴走ならいいが、他人に操られているとしたら、大変なことになるぞ」

「大変なことってどういうことだよ!」


 ヴァーテルがみかんに詰め寄り、私もアウラも竜也や陽菜も彼女を一心に見つめます。


「…下手すりゃ電気系統どころか、生命維持系もやられる可能性がある…とりあえず、総合指令室へ向かってみる」


 みかんは、そう言って先ほどの建物へ向けて歩き始めました。

 私たちは、お互いの顔を見て、誰からともなくうなづいてから彼女のあとについていきました。






 北地区希望松庁舎地下…

 あの建物の下をずっと降りていき、北地区の最下層だとかいうこの場所には、地下鉄のプラットホームとアルミ製と思われる車両がありました。


「地下鉄って…動くの?」

「まぁな…一応、こいつだけは総合指令システムとは別だったはずだ。電気さえ止まらなきゃ南地区にたどり着ける。まぁ何十年も使っていないはずだから、動くかどうか怪しいけど…」


 みかんは、地下鉄の運転席に乗り込み、ヘッドライトを始めとした装置のスイッチを次々と入れていき、私たちは、ボロボロの座席に座って待っていました。


「出発します!」


 みかんがわざわざマイクを使って、案内すると列車は独特の甲高い音を立てながら動き始めた。


「結構うるさいな…」

「まぁモノレールに乗った後とね…私は、嫌いじゃないけど…」


 私とアウラは、真っ暗な車窓を眺めながめていて、竜也とヴァーテルは二人で何かを話し始めました。


「どうして、昼なのに真っ暗なの?」


 アウラが純粋な疑問をぶつけてきました。


「それはね…ここが地面の下だからよ。太陽の光が届かないから、昼でも夜でも真っ暗なの」

「ふーん」


 アウラは、納得したのかしないのか、車窓を眺めながらそう答えました。



 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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