表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢tube断章、スカイ・エリアス編  作者: grow
断章(本編4.5章) エリアスから見たスカイ
2/39

第2話 エリアスとスカイ



市長室前の廊下は、静まり返っていた。



市長ガラルドが緊張した面持ちで隣に立つ。


私、エリアスは、スカイの登場に心臓が高鳴るのを抑えきれない。




奥から廊下をゆっくり歩き、

解決屋の仲間らしき数人と共に現れた少年


――スカイ。


身なりはスラムにしては整っているが、

平民そのもの。汚れたブーツ、埃っぽいシャツ、


しかしその目は鋭く、底知れぬ光を宿している。


「参上したよ市長、今日は何用ですか?

あれっ?エイラさん?」


彼の声は落ち着いている。

スラムの少年とは思えない堂々さ。

私は一歩前に出て、静かに微笑む。




「先日はありがとうございました。

あなたが、スカイね。改めまして、

私はエリアス・エニーフィート。

この国の第3王女です。」



スカイの顔が、一瞬凍りつく。


目を見開き、仲間たちがざわつく。


「王、王女!?」


「スカイ、どうすんだよ!」



スカイは驚愕を必死に隠し、なんとか平静を装う。


喉をゴクリと鳴らし、深く頭を下げる。


「は、初めまして……王女様。スラムの解決屋を、何用で?」


市長ガラルドが咳払い。


「スカイ殿、王女様はスラムの変化に興味がおありでな。君の功績を、直接聞きたいと。」



私はスカイをじっと見つめる。


彼の目が、私の意図を探るように細まる。

考えながら話す――私の言葉の裏を読み、

逆に情報を引き出そうとしている。


賢い子ね。



「スラムの笑顔、見たわ。あの活気、何が原因?あなたが中心だって、色々聞いてるのよ」



スカイは一瞬警戒の色を浮かべるが、すぐに笑みを返す。


「そうですか、王女様がわざわざスラムまで?

原因は解決屋の仕組みです。依頼を安く引き受け、人脈と知識で解決。みんなの問題が減れば、笑えますよね?」


シンプルな答え。

でも、その裏に深い計算が見える。

私は試すように質問を重ねる。



「興味深いわね。スラムの少年が、あそこまで合理的で……普通じゃないわ。」



スカイの目がわずかに揺らぐ。


「人脈から学んださ。スラムじゃ、生き抜く知恵が命綱だよ」



はぐらかしね。でも、嫌な感じじゃない。

むしろ、興味が深まる。


私はお母様の面影を、無意識に彼に重ねていた。

強い瞳、諦めない光――母の生きていた頃に似てる? 



そんな馬鹿な、気づかないうちに胸がざわつく。


市長が口を挟む。


「王女様、スカイ殿は確かに有能ですが、数値教の目を気にして……」


「わかってるわ。スカイ、あなたを試したいの。私の依頼、受けてくれる?」


スカイが首を傾げる。


「試す? 王女様の依頼ってほどですか?」



私は微笑む。茶目っ気を加えて、からかうように。


「ええ。なんだったら、私の夫になってみる?

スラムの英雄が王族の婿殿なんて、面白そうじゃない?」



「なっ!?」



スカイの顔が真っ赤に染まる。

慌てふためき、両手をブンブン振る。


「戯れはやめてくださいっ!

第一、身分差ありゃしないですし、俺なんか

スラムのガキですよ!年齢だって現実的じゃないっ!」



クスクスと笑いが止まらない。市長も苦笑い。

スカイの狼狽え方が、可愛い。純粋ね。


「ふふ、冗談よ。でも、本気で一緒に仕事してみたいわ。私を秘書として、王族のパイプを使ってみない?」




スカイが面食らう。


「王族と……共同? スラム育ちの俺が?」



「ええ。あなたの実力、信じてるから。どう?」



彼はしばらく考え込む。

私の純粋な好奇心に、確信を持ったようだ。



「……わかった。渋々だけど、これからよろしく、エリアス様」


握手。スカイの手はゴツゴツしていて、温かい。電流のような感覚が走る。



それから、私の変装生活が始まった。



エイラとして臨時秘書に潜入。

解決屋の拠点を頻繁に訪れ、スカイの日常に溶け込む。


変装は完璧――長い金髪を隠し、質素なドレスで。


「エイラさん、今日の依頼は水道の詰まりだよ。スラム奥の婆さんからさ」


スカイの声に、私は頷く。


「了解。どう解決するの?」


現場へ同行。スカイは人脈を駆使し、住人たちを巻き込む。



「おい、叔父さん。この管、昔の井戸から繋がってるよな? この方法で、直せるぜ」



知識の披露に、私は内心驚愕。


「これは……? それ、王宮の魔術書にもないわよ!」


作業中、スカイが笑う。


「知識は生き抜く道具さ。ほら、こうやって圧力を逃がすんだ」


彼はあっさりと完璧解決。


住人たちが感謝の嵐となった。


「スカイさん、ありがとう!」


「エイラさんも手伝ってくれて!」




仕事からもどった後、報告書を分析する。


「この依頼から、王国の経済の流れが見えるわ。スラムの活性化が、地方都市全体に波及するかも。」



スカイが目を輝かせる。



「だろ? 次はこれを改善してさ……」




毎回驚かされる。スカイの知識は合理的で奇想天外。


王宮の本にもない発想。人脈の活用も天才的。


忙しいけど、新鮮。


エイラとして、スカイの側にいる時間が、

楽しくて仕方ない。



ある日、食事中。


「エイラさん、王宮の噂話、聞かせてよ」


「魔術の本で見た呪文、こう活かせそう」


水を得た魚みたい。話が尽きない!



知らない間に視察も終わりが近づく。

私は決意した。



「スカイ、王都で支部開かない?」




解決屋メンバーが目を丸くする。


「王都!?」


「貴族の巣窟だぜ!」



スカイは慎重な顔をする。


「数値教の影響が強い……リスク高いよ。スラムならともかく」



私は胸を張る。


「私がスポンサーよ。一人でも、王族公認。メリット、デカいでしょ?」


スカイは負けを認めて私と握手した。


「……参ったな。エリアス様、よろしく」


こうして王都支部誕生。看板設置の日、

私は隠れて見届ける。胸が、熱く踊る。


「これで、スカイが王都に……!」



でも、心の奥で疑問が膨らむ。



あの知識は異常よ。スラムの少年が、人脈だけじゃ説明つかない。

バラエティが増えていく一方。

王族の私が知らないことばかり。


私は我慢できずにとうとう聞いてしまった。



「スカイ、あなたの知識はどこで学んだの? 本当に」



彼の顔が、バツ悪そうに曇る。


「……夢で学んだんだよ」はぐらかし。


でも、困惑の表情。真実は言いたいけど、

表現できないみたい。


その夜、王都支部に泊まるとスカイから聞いた私は決意する。



スカイの夢の秘密、確かめるわ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ