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夢tube断章、スカイ・エリアス編  作者: grow
断章 世直し新婚旅行編
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第8話 マリナス共和国 3



~海賊の襲撃と分裂の港~



翌朝、マリナスの海に衝撃が走った。


海賊の襲撃――領海の至る所で小型船が被害を受け、

漁網や荷物が略奪された事件が、港町中を駆け巡った。


スカイとエリアスのもとにも情報が届く。

大使館の通信室で、職員が青ざめた顔で報告。


「クライム殿、エイラ殿! 大変です! 

レニール殿の海運業も被害を受けました。

海賊が三隻の小舟を襲い、網と荷物を奪って

逃走……全乗員が怪我です!」



スカイが拳を机に叩きつけ、


「くそっ! 選挙直前に海賊だと!?

マリナスの領海で何やってんだ!」



エリアスも顔を青ざめさせ、


「レニールさんたちが……!

すぐに港へ行きましょう!」



一方、ガドリン首相が緊急声明。


「海賊討伐確認まで、漁業と船舶運送を

全面停止!緊急事態宣言を発動します!」


と全国放送。だが、漁業関係者と海運同盟が猛反発。


漁師長が怒鳴る。


「食い扶持を止めんのか!?

海賊ぐらい俺たちが叩く!」


海運リーダーも追随して、


「首相の命令なんか知るか!自警船団を発足だ!」


首相の制止を無視し、民間船が独自に海賊捜索へ。


港は混乱の坩堝と化す。市民の間では、

不安からレオナルド議員支持が急伸。



「軍艦を作れって言ってたレオナルドが正しい!」


「海軍が必要だ!」



ただ、中には


「レオナルドのマッチポンプじゃねぇか?」


と不穏な噂も。



疑心暗鬼がマリナスを蝕み始める。



スカイとエリアスは港へ急行。

波止場は騒然とし、負傷した船乗りたちが手当てを受けている。


中心で、レニールが取引先に必死に深々と頭を下げていた。


「申し訳ありません!!大事な漁師網を海賊に奪われるこの失態、全て俺の責任です!! 被害額は私の方で全額弁償させてください!!

どうか、どうかお願いします!!」 



取引先の漁師が、苛立ちを爆発させる。


「そんなこと言われても、網がねぇと魚が獲れねぇんだよ!!

金返っても漁できねぇ、生活かかってんだぞ!!

まさか……親父さんのために海賊とグルじゃねぇだろうなっ!?」


その言葉に、レニールの怒りのトリガーが引かれる。

目が血走り、取引先の胸倉をガシッと掴む。

(ドスの効いた低声で、震えるほど激しく)


「今、なんつった!? 俺たちが海賊とグルだと!?ふざけんなよ!!今までお前らの荷物を運ぶこと、一度でも欠かしたか!?

無ぇだろ!? しかも親父のためだと!?

あのクソ親父がそんな卑劣な真似したなら、

俺がこの手でぶっ殺してやるよ!!」



周囲が凍りつく。


取引先がビビり、レニールの手を振り払う。


「ふ、ふん……と、とにかく、もうお前のとこは金輪際使わねぇよっ!! 

二度と来んな!!」



レニールは両拳を握り締め、歯を食いしばる。


「くそっ……くそぉ……!!」


周囲の視線が痛い。船乗りたちが心配げに声をかけても、反応なし。

スカイが恐る恐る声をかけると、レニールがハッとして顔を上げる。今にも泣き出しそうな顔で、困った笑みを浮かべて、


「……ははっ、情けないとこ見せちまったな。

クライム、エイラ……大声出して、すまねぇ。

本当に……俺、ダメだよな……」


スカイがレニールの肩を叩き、


「バカ言え、レニール。あんな奴の戯言、

気にするな。お前は悪くねぇ。海賊が悪いんだよ」


と励ます。



エリアスも優しく寄り添い、


「レニールさん、立派よ。

私たちと一緒に考えましょう。」


と手を握る。


レニールが涙を堪え、頷く。




一方、レオナルドの選挙事務所は人で

溢れていた。大半が支持の声。


「レオナルド議員、海軍を作ってくれ!」


「海賊をぶっ潰せ!」



ただ、

「お前が海賊雇ったんじゃねぇのか!?」

と喚く輩は支持者から袋叩き。



「黙れ売女!」


「議員を侮辱すんな!」と罵声の嵐。


事務所内で、職員が嬉しい悲鳴。


「すごいですよ、レオナルド議員!

この調子ならガドリン首相に勝てそうです!

海賊のおかげで風向きがこっちに!」



しかし、レオナルドが不機嫌に一喝。 

机を叩き、声を荒げて、



「何を言うかっ!!犯罪者に感謝する愚か者

がどこにいる!?

いずれにせよマリナスが攻撃されてることに変わりはない!海賊の情報収集を急げっ!!

今すぐだ!!」




職員たちが慌てて散る。


レオナルドは一人残り、懐中時計の蓋を開く。


裏側に、三人家族の肖像画。


椅子に座る幸せそうな女性、

女性の膝の上で5歳くらいの幼いレニールが

母を嬉しげに見上げ、

女性の隣に若きレオナルドが自信満々に立つ。


女性の絵をじっと見つめ、心の中で


「エミリアよ……。

お前の愛したマリナスは、

必ず……私が……っ!!」




ガドリン首相の執務室。

書類の山に頭を抱える。

額に手を当て、疲れ果てた声で、



「なんてことだ……

よりによって選挙前に海賊騒ぎとは!


漁師や海運業の連中は制止を聞かず、

国民からは不安と苦情の嵐。

このままじゃ選挙自体できるかどうかも

わからんぞ……!!」


部屋の隅で、ララが心配そうに父を見つめる。


「お父様……レニール……っ!!どうか、無事でいて……」



マリナス共和国は混乱の渦中。海賊の影が、選挙と恋をさらに複雑に絡めていく――。




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