第五十六話 白熱!打毬の会決勝!
その後も善戦はしたものの、昌斗たちは三対三で最終ゲームとしては引き分け、試合としては四ゲームの合計得点で十対七となり、惟義チームの勝利となった。
「マサト、あんた最後諦めていたでしょ」
試合終了後、昌斗と琥太郎はフラーレンの元に試合の報告に来ていた。なお武瑠と興壱は即行解散して出店に直行していた。
「…面目次第も御座いません」
「そういうことを聞きたいんじゃ無いの。そりゃあ見ていた人たちは楽しめた凄くいい試合だったと思うわ。けどね、あたしにはあんたが“試合をなげた”ことが気に食わないの」
昌斗自身としては諦めたつもりも、なげやりになったつもりも無かった。そのため余計に眼前で腕を組んでつむじを曲げる皇女フラーレンが分からなかった。
だが否定しても認めてくれそうになかったため、諦めたことにするか
「今、諦めましたごめんなさい~ってことにして早く切り上げようと思ったでしょ」
驚いた。その通りだった
「驚いた、いや驚きました」
「やっぱりそうじゃない!!」
フラーレンがものすごい剣幕で迫る。なぜ自分が今しがた有り得ない失言をしてしまったのだろうか…?
「言っとくけどあたしの直属の騎士にしてやるって話はもちろん無しだから」
「かしこまりました」
昌斗の流れるような応答に拍子抜けしたのか、フラーレンは嘆息した。後ろに佇んでいたメーリアはそろそろ間に入ろうかと思った。
「はあ、まあいいわ。なんていうか、マサトはもっとできた気がしただけ。それだけ」
黙って聞いていた昌斗は何と返そうか迷った。そういった評価をされたことは初めてだったからだ。
沈黙が流れる。
「じゃ、じゃあぼくたちはこれで」
琥太郎はそう言って話を切り上げた。
……
…
十月二日 晴れ
惟義くん達と昌斗くん達のダキュウ(?)の戦いは激戦でしたね。それぞれの馬が駆ける姿は圧巻ですし、手に汗握る展開が多くて見ているこっちも楽しめました。今度は南奧州でやってみるのもアリだと思います。
あ、反応を見る限るだと雨雪さんは惟義チームを応援しているようでした。
惟義くんチームと昌斗くんチームの試合は準決勝で、勝った惟義チームが決勝に上がりました。予定だとその決勝戦で主催者の公爵チームとあたって、忖度して負けることになっていました。
ですが決勝戦に現れた相手は公爵チームではなく、相手は北方辺境伯のチームでした。
惟義くん達の試合の後にもう一つ準決勝があって公爵チームとその北方辺境伯チームはそこで試合をして、公爵は北方辺境伯にコテンパにやられてしまいました。
決勝戦でも惟義くん達チームもボッコボコに負けました。
そうして北方辺境伯が優勝しました。
いや、いやいや。
色々おかしいんですよ。公爵って打毬の会の毎年の主催者なだけに凄く強い人たちを配下にしているんです。もちろんほぼ毎年優勝しているらしいのに今年は全くマークされていなかった北方辺境伯に負けたんですよ?
なんだか気になりますよねー。まあすぐに真相は明らかになるんですけれど。
…
……
決勝戦で惨敗してきた明可は確認するように呟いた。
「あれは、あれはドラクル公だった。間違いない。仮面はしていたが、黒い甲冑とマント、正体を隠す気も無い」
直も首肯する。
「他の三人もあの連携プレーを見るにドラクル公の腹心だろう。何が目的でやって来たのか、どうして北方辺境伯はドラクル公を試合に出したのか、もしくは出さざるをえなかったのか。帝国を裏切ったのか?」
北方辺境伯は帝国の北面を任された大貴族だった。帝国の北の方角の隣国はドラクル公国である。
「“既に北の防衛はこちら(ドラクル)に握られている”そういうことか」
明可はそう言ったが直は違う考えだった。“近々帝国に侵攻するのでその道案内にくだんの北方辺境伯を選んだのだ”。ドラクル公はそう伝えたいのではないか?どうしてそれをわざわざ伝えたかったのか?
「舐められたものだ」
こうなっては優雅にポロなんてしている場合では無い。惟義を中心とする男子、武官連は公爵への挨拶もほどほどに急ぎ南奧州に帰還した。
その日、魁世は帝都でドラクル公と遭遇する。




