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群蒼列伝~高校生二十三名は召喚された異世界で征服戦争を開始した~  作者: 大ミシマ
第一章 高校二年クラスΛ改め、群蒼会

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第十二話 要塞之原の戦いⅡ

 惟義達の義勇軍一行は開城したディーオン要塞で戦勝会を開いていた。

 各部隊の指揮官から一般兵にまで酒が振る舞われ、城塞の大広間は男達の喧騒と酒気で溢れかえる。

 惟義は大広間の上座に座り、大の大人達から酌を受けた。

 惟義達は勿論未成年である。だがそんな事も忘れて明可も直も興壱も酔いが回っていた。


 便所と言って席を立った惟義はなんとはなしに城壁内を歩く。

 惟義は軍事に知見があるわけではいが、内部を歩いただけでこのディーオン要塞が守り易く攻め難い城塞であることは分かった。

 ディーオン要塞は帝国が造ったものであり、今回の異種族連合が攻めてきた時にまともにその要塞の機能を発揮できずに無血降伏、今度は帝国の義勇軍に立ち塞がる要害となるところだった。

 もし透を軍師に採用してあの要塞を素通りして敵を誘引する作戦を実行しなければ、こうもうまくいって無かっただろう。

 惟義は要塞の窓を見ながらそんなことを思っていた。


「おやおや御大将様、そんなところにいては風邪をひきまっせ」


「…うむ、確か“霧島屋”の霧島殿でしたな」


 惟義に揉み手で近づく小柄な男、名をキリシマと言う。

 惟義達が義勇軍を率いて異種族に占拠された帝国旧領を解放し始めた初期において、食糧の補給といった後方支援を願いでて惟義に近づいた。

 こうして宴会ができるのも現在大量の酒を飲めているのも酒の肴があるのも霧島屋と呼ばれる銀行業や酒造業などを幅広く取り扱っているキリシマが酒や肴を提供してくれたところが大きい。


「ところで霧島殿、ここまで色々と尽くしてくれるのは有り難いのだが、我々に何を望むのだ?」


 惟義の言にキリシマは目尻を細める。


「はっはっはぁ…やはり流石の御大将ですな。お願いしたきことは一つです」


 キリシマは惟義に一つの地図を見せる。


「皆さんがいる帝都から南の半島、ココはディーオン半島と言うのですがここから海を渡ってコチラ、そう異種族の住まう大陸のあるところです。

 ここの“黒耳長人”をコレヨシ様の勢力下において欲しいのです」

 ……

  …

  ディーオン要塞の急造りの執務室にて惟義は興壱と対面していた。


「という訳で黒耳長人のところに行って欲しい」


 興壱は手を上げて反抗する


「いや、いやいやみんなで行けばいいやん。なんで俺だけ海渡って敵地に単身行かなきゃいけないんだよ。」


「安心しろ渡るのは海というより海峡だし、船は大商人の霧島殿が用意して送ってくれる。」


 そういう問題じゃ無い、だが興壱の反論を意に介さず惟義は続ける。


「俺と透と明可と直はもっと南下しないといけない、全員でゆっくり行ける程時間は無いんだ」


 惟義は魁世の指示の書いてあるノートをひらひらとさせる。


「そもそもどうやって俺一人で黒耳長人を支配下?開国?通商?させるんだ?」


「聞くところによると黒耳長人は弓矢を得意とする種族らしい。お前の弓の腕に惚れ込んで仲良くしてくれるかもしれない、どうだやってくれるか?」


 興壱は顔を渋くして頭を掻きながら答える。


「あー分かったよ!俺じゃないといけないんだろ」


 こうして興壱の黒耳長人への単身遠征が決まった。

 ……

  …

 こうして惟義率いる義勇軍はかなり好調であった。

 魁世のノートを惟義なりに守って帝都から結成された軍隊を順調に南下、占領地を解放していた。それは惟義を主として明可、直が部隊を統率し自身も武を誇ったことも大事なことであったがディーオン要塞郊外での一戦やその後の掃討戦含め、宗方透の戦術的才能に寄るとこが大きかった。


  透は誰かから軍事学や兵学と呼ばれるものを習ったわけでも読んだわけでも無い。

 たまたまこういった状況下で開花した才能である。

 これは魁世は全く予想していなかった。魁世の透への認識といえば不思議ちゃん程度のもので、まさかこうした軍略の才能があるとは思ってもみなかった。


 魁世は自分が思っている以上に細部の詰めが甘い。




「久しぶりね。新納魁世」


 魁世は目の前に伊集院雨雪が現れたことに驚きの次に怒りが先に来た。

 寧乃は何故報告してこない!そうだ琥太郎は!琥太郎は何をしていた!

 寧乃には秘密裏に通信の魔法によって帝都のクラスメイトの様子を適時報告させていた。

 魁世は雨雪他多数のクラスの女子を傭兵団基地に留め置かせることを足柄琥太郎に厳命していた。

 琥太郎は大柄で筋骨隆々にも関わらず、気が小さい上に女性に弱い。魁世そのことはよく知っていたつもりだったが、まさかこんなに早く琥太郎が陥落するとは思わなかった。


「け、結構来るのが早かったね…そっそうだ白湯とか飲むかい?」


 魁世は必死で作り笑った

 雨雪も笑っていた

 良かれと思ってやったつもりだった、自身の考える計画はいずれにせよ碌でもない。それを雨雪が許可するとは思わなかったし、自分が何も言わずに消えて内容を隠して勝手に行動することを雨雪が許容するとは考えられなかった。

 言い訳は沢山ある。

 もしかすると既に受け入れてくれているかもしれない。


 そんなことは無かったのだが


 とりあえず雨雪は魁世に地面に正座するよう命ずる。魁世はすんなりと、叱られる飼い犬の如く、言われた通りにした。


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