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第四話 魔王の食事

あの後黒髪は残りの二人を叩き起し、すぐさま逃げていった。


「ふん、最初から逆らおうなどと考えなければあんな思いをせずに済んだものを……」


(ねぇ……)


「うん?」


(魔王って……何?)


この自分の中にいる誰かは、自分のことを魔王だと言った。 しかし、真央の知っているこの世界に魔王など存在せず、魔王という言葉を聞いてから頭を疑問が占拠していた。


「何かと聞かれようと、魔王としか言いようがない」


(そうじゃなくて! この世界に魔王なんて存在しないでしょって話!)


「それはそうだ、私はこの世界の存在ではない」


(はぁ……?)


「私はこの世界とは別、魔界から来た」


訳が分からない、その考えで頭がいっぱいだった。 この人は頭が大丈夫なんだろうかと考えたが、現状が十分訳が分からないので何も言えなかった。


「お前達人間は知らんのだろうが、世界はひとつでは無いのだ」


(はぁ……)


真央は考えるのを辞めた。 理解しようとすればするほど訳が分からなくなっていくのだから、理解しようとしなければいい。


「お前達人間が住む世界が人間界、私達魔族の住む世界が魔界……と言うことだ。 どうだ、理解出来たか?」


(うーん……なんとなく……?)


「ひとまずはそれでいい、さぁいつまでも話していないで、街を見て回ろうではないか」


 (うん......魔王、か......)


 「......ん?」


話を切り上げ、街の探索を再開した。 街にあるものは全て珍しいらしく、魔王はあちこちを見回して歩いていく。


「なるほどな、人間は技術を伸ばし発展したわけか」


(魔界では違うの?)


「あぁ、私達は魔力や、種族や個人が持つ能力を伸ばし発展している」


(へぇ、魔力や能力か)


人間と魔族の発展の仕方の違いを聞きながら魔界がどんな場所か想像していると、急に足が止まった。


(うん? どうしたの?)


「……腹が減った」


(えぇ……)


今は丁度お昼時で、真央もそろそろ何か食べようと考えている時だった。


(じゃあ近くのファミレスでなんか食べよっか)


「お前に任せる、案内しろ」


(はいはい)


暫く歩き、ファミレスのMOCO'Sに着いた。 早速中に入ると客は少なく、すんなり座ることが出来た。


「人間界で食事をするのは初めてだが、何を食べるか……」


魔王は自然な流れでメニューを見始めたので、不思議に思った真央は聞いてみた。


(魔界にも飲食店あるの?)


「馬鹿にしているのか? 魔界にも店ぐらいある」


(へぇ……それは意外だったなぁ)


イメージと違う魔界の事情を意外に思いつつ、メニューに目を通していく。


(あんまり高いの頼まないでよ?)


「分かっている……ビーフシチューの包み焼きハンバーグ……これにしてみるか」


値段がそこまで高くなく、一番興味を惹かれたハンバーグを注文した。


「お待たせ致しました〜、ビーフシチューの包み焼きハンバーグです」


「おぉ……」


「ごゆっくりどうぞ」


店員さんが持ってきたハンバーグからは食欲をそそる良い匂いがしていた。


「では早速」


一口サイズに切ったハンバーグを口に運び、咀嚼する。


「!」


(どう?)


「人間界の食事もなかなか美味いな」


(良いなぁ、僕も食べたいのに……)


この会話を最後に黙々と食べ進めていき、完食した魔王の顔は満足気に見えた。


(食べ終わった? ならもう店を出るよ)


「あぁ、それでは出るとしよう……うん?」


(どうしたの?)


魔王がある一点を見つめていた。 そこには、


(へぇ、今Vtuberとコラボしてるんだ)


「Vtuber?」


Vtuberとのコラボ企画のポスターが貼ってあった。 ポスターには大手事務所のVが描かれていて、詳しくない人でも名前は知っているのではないだろうか。


(興味あるの?)


「魔界にはないものだからな、どういうものなんだ?」


(Vtuberってのは……うーん、上手く説明出来ないなぁ。 見せた方が早いかな、家に帰ったら見せてあげる)


「うむ、では早速帰って見せて貰うとしよう」


支払いを済ませて、僕達は帰路についた。


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